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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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16-2 隠し扉

私は絵を動かして扉になっているのを確認したの。それから鍵穴があることも。

でも、この時は扉を開けることはしなかったわ。

急いで元通りにすると、私はみんながいるクラーラお姉様の部屋に戻っていったの。


そして、次の日の夜。寝る挨拶をして寝室に行き、鍵を取り出そうとしたら、サラエさんが物音に気が付いて顔を出したの。なんとか誤魔化してベッドに入ったけど、眠れないまま横になっていたらサラエさんがそっと部屋に入って来たのね。私が寝ているのを確認して出ていったけど、これじゃあ隠し扉を開けられないと思ったわ。隣にいる誰かに物音で気付かれるかもしれないから。


そんなことを考えながら寝たからか、夜中に目が覚めてしまったの。もしかしたら今がチャンスかもとベッドから出ようとしたら、微かに扉が閉まる音がしたの。私は寝ているふりをしたら、誰かが部屋に入って来たわ。手燭の灯りが近づいてきて、私の様子を伺ってホッと溜め息を吐いて離れていったの。もう1人いたのか小声で話しているのが聞こえてきたわ。


「どうだった」

「よく眠っているし、顔色も悪くないわ。息も普通だったし」

「そう、熱を出された様子はないのね」

「ええ。今回は大丈夫なようよ」

「まだ、安心できないわ」

「そうね。今夜と明日の夜に熱を出さなければ大丈夫かしら」

「そうだと思うわ」

「じゃあ・・・」


寝室の扉が閉まる音がして、会話は聞こえなくなったの。


うん。ごめんなさい。こんな時間まで来るなよ、とか、思っちゃいました。

私の体調を気遣ってのことだったのですね。仕方がないので今夜と明日は諦めますか。

でも、どうかな? 早く起きたら隠し扉を開くことができるかしら。


ただ、目覚まし機能なんてないのよね、この時計。

何とか自力で頑張りますか。


と、思ったのですがやはり無理でした。3日の朝は早起きできませんでした。

で、今の、4日の早朝にやっと隠し扉を開くことが出来たというわけです。


本。

実際には本ではなかったです。それは立派な装丁の日記帳でした。

書かれていたのは、セリアテスが7歳になってから王宮のお茶会に行く前の日まで。

書いてあるのも毎日ではなくて、何か心に残ったことがあった時のみ。


私の誕生日は6月12日でした。その誕生日パーティーのことから書き始めていました。

書かれたことを読んで、何故クラーラお姉様達に贈り物を用意したのかが解りました。セリアテスなりの気遣いからだったのですね。あと、ビアンカとの関係。セリアテスもビアンカのことは気にしていたけど、切っ掛けがつかめなくてあんな感じだったこと。ローザ様とは気の置けない仲だったようで、お互いに言いたい放題だったこと。


それから、セリアテスにはもう取り巻きがいたこと。だけど、セリアテスは彼女たちのことを好きではなかったみたい。親戚?係累?って言ったかしら。時々名前が出てきたから数えたら6人もいたわ。

ということは、これから私も彼女達と会うのかしら?ううん。会わないといけないのよね、きっと。


とりあえずざっと見て、時計を見たらもう5時54分です。

小箱から鍵を取り出して隠し扉を開け、日記をしまいます。そして扉を閉めて鍵をし、絵を元通りにして天蓋もめくれているところがないのを確認してから、小箱を鏡台に戻しました。そしてベッドの中に戻りました。


横になりながら先ほどの内容について考え・・・ようとしましたが、それよりも先に考えなくてはいけないことがあるので、今は考えるのはやめましょう。


夕べおじい様に言われたことを考えなくては。


夕食の後、今、リングスタット王国におこっていること。・・・みなさまから話は聞いていたから予想はしていたけど、各国から私に会わせろという問い合わせが殺到していること。

それから、私の知識・・・ボタンやホック、料理のレシピのこと。みんなの暮らしが楽になるのなら好きにしてと言いたいけど、あの神官とのやり取りにもあった、利権の問題。

おじい様も何らかの基準を設けた方がいいだろうとおっしゃっていました。

おじい様はわしらに任せておけと言ってくれたけど、それではいけないと思うの。


私は・・・この3日考えていたの。

何故女神様は私を「愛し子」と言ってくれたのか。

それから何故、私の「言葉をよく聞きなさい」と言ったのか。


やはりこれは彼女の記憶に関係しているのでしょう。

そう、あの乙女ゲーム。まだ、確証は持てないけどここはあのゲームと似た世界。女神様があのゲームに似せて創られたのかもしれない世界。

でも、ゲームの世界ではないわ。だって、あのゲームの世界なら私におきた(・・・)ことは起こらないはずなのだから。イレギュラーにしても女神様が降臨なさって私を「愛し子(いとしご)」にするはずないわ。


でも、私を「愛し子」にしたのは意味がある事よね。

では、他の誰でもない私を(・・)「愛し子」にしたのは?

みんなと違うことは、なに?


それは彼女の記憶。

この世界でない、あちらの世界を知っていることよね。



203話です。


秘密の鍵を見つけて、隠し扉を開きました。


です。


なのですが、中身については後回しになります。

昨夜にじい様に言われてことについて考えてます。


また、次話でお会いしましょう。

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