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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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16-1 秘密の鍵

挿絵(By みてみん)


今日は11月4日です。

私はまだ暗い時間に目が覚めました。サイドテーブルにある時計も暗くて見えません。

私はイメージしながらそっと呟きました。


(ライト)


イメージは蛍のような小さな光。それが私の目の前に浮かんでいます。

その光で時計を見るとまだ5時前でした。

私はそっとベッドから出ると、鏡台のそばにいきました。

よくしたもので、光も私について移動しました。蛍をイメージしたからなのか、微かに上下しているのには笑みを誘われました。


鏡台の引き出しから小箱を取り出しました。箱を開け隠しになっているところから鍵を取り出します。

その鍵を持ってベッドに戻りました。ベッドに乗ると今度は頭側の天蓋をめくり壁にかけられた絵をずらします。現れた扉に先ほどの鍵を当てドキドキしながら鍵を回しました。

カチリと音がして鍵が開きました。そして扉を開けました。

中には本が1冊入っていました。その本を取り出すと扉を閉めて絵や天蓋の布を元通りに戻しました。鍵も小箱に戻しました。

布団に入りうつぶせになりながら、本のページをめくっていきました。


私がこの隠し扉に気が付いたのは3日前のことです。

いえ、その前に鍵を見つけたことが隠し扉を見つけるきっかけでした。


私には王宮から戻ってきてから、ほぼずっと侍女の方がついていました。最初は歩くこともままならない状態だったので仕方のない事でした。ですが、人の手を借りなくても歩けるようになっても、必ず誰かが私のそばにいるのです。それが貴族としては当たり前なのかもしれませんが、中々慣れませんでした。欲しいものは動かなくても持ってきてもらえるのです。なんか、どんどん駄目人間になって行く気がしました。


うん。これが当たり前に思うようになったら、悪役令嬢まっしぐらですよ。傲慢で我儘な高飛車悪役令嬢!

間違ってもなりたくないです。改善しようにも、侍女さん達は「私達の仕事ですから」と私のいう事は聞いてくれませんでしたし。


侍女さん達の言い分もわかります。大切な?お嬢様が王宮で倒れて、王宮を辞するまで看病することも叶わずに待つことしかできなかった。だから戻られた私に誠心誠意尽くしたい・・・と。


でも、違うのよ。そういうことじゃないのよ。


・・・話しがそれました。


そういうわけでいつも私のそばには誰かしら居たのですが、あれはフィリナ様達と初めて勉強をした・・・次の日のことでした。着替えが終わり鏡台の前に座って髪を整えて貰っていた時に、少しの間一人になりました。すぐに戻ると言われたので、私は鏡台の引き出しを開けたりして中を見ていました。そして、隠すように奥に入れられていたあの小箱を見つけました。それを見た時にドキリと心臓が跳ねました。


きれいな可愛らしい箱でした。それを出した時にキュリアさんが戻ってきました。それを見たキュリアさんが私のことを期待の眼差しで見つめました。私は首をかしげましたら、すぐに落胆の表情が浮かびました。

話しを聞くと、セリアテスはこの小箱をとても大事にしていたそうです。とても大切な物が入っているのだろうと思っていたそうです。中身については侍女の方も誰も知らないとか。


髪のセットが終わり、気を利かせたキュリアさんが隣の部屋に行ったところで、蓋を開けてみました。中には可愛い花をかたどったブローチが入っていました。ですが、それを見ても何も思い出すことはありませんでした。なので、蓋をしてしまおうとした時に手を滑らせて小箱を落としてしまいました。幸いカーペットが引かれたところに落ちたので、傷はなさそうでした。小箱を拾い上げ、ブローチを入れようとした時に違和感を感じました。箱の中、底の部分がわずかにずれていました。


心臓が凄くドキドキしてきました。そっと底を触ると動いて外れました。中には鍵が入っていました。隠してあるという事はセリアテスにとってとても大事なものの鍵です。私は底を元通りにしてブローチを入れ、キュリアさんを呼びました。キュリアさんは箱の蓋が開いていることで、私の秘密を知ることになると慄いていましたが、私がブローチを見せると安心して6歳の誕生日にお兄様に頂いたと教えてくれました。


それからはこっそりと部屋の中を調べたのですが、鍵がかかっているようなところはどこにもありませんでした。ですが、中々一人になれない私が調べるのです、自分の部屋だけでも調べきれるものではありませんでした。長期戦を覚悟して、年内に見つかればいいなと思うことにしました。


それが女神様に愛し子と言われたあの日。館に帰ってみんなが来て、いつかの様にクラーラお姉様の部屋で寝ることになって、部屋にものをを取りに来た時にあの絵がある事を知ったの。いつも天蓋の布に隠れていたからそこに絵が飾られているとは知らなくて、枕を持ち上げた時に勢い余って投げてしまい、それが絵をずらしたわ。そう、枕が当たってカタンと音がしなければ気が付かなかったことでしょう。


天蓋をめくり絵を見つけて驚いて、傾いたのを直そうとしたら扉らしいものを見つけた時のドキドキはわかってくれるかしら?



202話です。


今話はセリアちゃんの独白?かな。


では、また次話で。


2020.6.10

頂いたイラストを挿絵として挿入しました。

ゆきさん、ありがとうございます。

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