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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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宰相話3 苦言を呈してみたが

自分に質問が来るとは思わなかったのか、ジークフリート様は一瞬虚を突かれたようでした。


「セリアテスの知識の価値。そうだな・・・ボタンとホックは10万ガルド。ベルトは50万ガルド。リンゴのコンポートは200万ガルド。マヨネーズは5000万ガルド。このプリンに至っては1億ガルド以上だしてもおしくないな。だが、これは今、示されているだけの知識でしかない。セリアテスの知識は・・・いや、セリアテス自身の価値は、はかることなどできないな。・・・なるほど、だから女神様はセリアテスを愛し子にしたのか」


ジークフリート様はセリアテス嬢から伝えられたものに値段をつけていきました。そしてセリアテス嬢の価値に気がつくとため息と共に言われました。ですが最後に呟かれた言葉は、隣にいるリチャード様と私にしか聞こえなかったことでしょう。いえ、セルジアス殿は聞こえたとはおもえませんが、何を言ったのか分かったようです。そしてレイフォード陛下の方をチラリと見ました。陛下はそれには気付かず、ジークフリート様が言った値段について考えておられるようです。陛下の眉間のしわが深くなりました。

私は溜め息にならないように息を吐くと言葉を続けました。


「ジークフリート様、ありがとうございます。さて、これを放置すればどんなことになるかは想像に難くないとおもいます。何らかの基準を設けるべきだとおもわれますが」

「そうね。セリアテスの価値は計り知れないわね。宰相の言う通り基準になるものが必要だと思いますわ。それで、フォングラム公爵家はどう考えていらっしゃいますの」


王妃殿下が問いかけましたが、リチャード様は黙ってセルジアス殿を見るだけです。


「フォングラム公爵家としては・・・答えようがありませんね」


セルジアス殿の答えに視線が彼に集まりました。


「どういうことかしら」

「このことは私達で決めることではないでしょう」


セルジアス殿は何となく嫌そうに答えます。視線は陛下の方を向いていましたが、陛下がセルジアス殿を見てきたら目を合わせないように視線を外しました。

陛下はそれに気が付くことなく言葉を話されました。


「確かに我々で決めていい事ではないな。まずはセリアテスの意思を確認するべきだろう」


その言葉にセルジアス殿とジークフリート様が少し意外そうな顔をしましたが、すぐに表情を消していました。


「では、どういたしますか」

「明日、セリアテスには王城に来てもらい、彼女の意思を確認することにしたい。彼女の体調はどうだ、フォングラム公爵」

「今朝も不調を訴えておりませんでしたし、今の時点でも館から連絡がこないので、大丈夫でしょう」

「では、明日、セリアテスが体調を崩さなかった、王宮に来てほしいと伝えてくれ」

「承知いたしました、陛下」


セルジアス殿が陛下に臣下としての礼をしました。それを見て陛下は何か言いたそうにしましたが、表情を引き締めるとジークフリート様に挨拶をして、王妃様と共に部屋を出て行かれました。

それを見送った後、我々も小部屋を出ましたが、私はリチャード様に声を掛けて宰相室まで来ていただきました。


部屋に入るとこの前の様に休憩と称した人払いをしました。リチャード様は、また前と同様に結界を張ってくださいました。


「飲み物をご用意しましょうか」

「今はいい。それより話とはなんじゃ」

「お判りでしょう、リチャード様。リチャード様だけでなく皆様、陛下にきつすぎます」

「ほう、そうかのう」


私の言葉にリチャード様はとぼけられました。理由は判っておりますが、これではあまりに陛下が不憫すぎます。


「リチャード様、陛下は陛下なりに頑張っております。確かに理解が出来てないこともありますが、こちらがそれを教えれば解ってくださいます」

「教えられなければ解らないようでは、駄目ではないのかのう」

「リチャード様。誰もがあなたの様に出来るわけではないのですよ」

「わかっておるわい。だが、一国の王なのだからもう少し期待してもいいだろう」


期待。・・・言葉通りなら私もここまで悩みません。


「ところでの、大使達の動きはどうじゃ」

「各国共、表立っては動いていません。各国からは直接王宮に問い合わせが来ているのみに留めているようです」

「やはり様子見かの」

「フォングラム公爵家に直接接触してはいませんか」

「まだ、手紙のみだの。大使達は神殿にも来ていたから、下手なことをして女神様の怒りを買いたくないじゃろう」


そういって、リチャード様は笑いました。

私はリチャード様を見つめました。

リチャード様は私の顔を見て笑うのをやめました。


「どうしたんじゃ、ジョシュア。真剣な顔をして。何か困っていることがあるのか」

「リチャード様にお聞きしたいことがあります」

「なんじゃ」

あの子(・・・)は今、どちらにいらっしゃいますか」



200話です。


やっと書き上がりました。

なろうさんの接続障害、妨害だったんですね。なんてはた迷惑な。


おかげで書き上げたのに投稿できなくて・・・消えました。


ですが、実は投稿できなくて良かったのかもしれません。

前の内容は無理やりにまとめたもので、納得していない部分があったんです。

体調不良もあり、じっくりと考えて今話が出来ました。


宰相様の話はもう1話になります。

今話も楽しんでいただけたのならうれしいです。


では、また、次話で。

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