父話1-3 変化を見守って・・・
えーと、暴走 の回?
でもなんか冷静。
娘は高熱を出し王妃のいうように動かすことが危険な状態になった。
医師がいうには原因が分からないそうなのだ。
怪我した時の状況も、その後の診察で不具合を起こしそうなものは取り除かれたというし、娘の持病ということはないし、呪いということもあり得ないということだった。
見守るしかない日々が続いたのだった。
3日目の午後、娘の変化に気が付いた。
髪の色が少しずつ薄くなってきて、それと共に髪に輝きが加わってきたのだ。
今までにこんな話は聞いたことがなかった。
生まれた時に魔力量はきまっている。
鍛錬次第で増えることはあるが、それでも徐々にであり、このようにあからさまに増えることはない。
我々は困惑し娘の変化について話し合った。
答えがでないまま、むなしく日々は過ぎていった。
5日目には、王宮に部屋を用意していただけたので、家族で泊まることになった。
娘の変化はまだ続いている。
6日目。熱が下がってきた。
娘の髪の色は月光を思わせるプラチナブロンドになってしまった。
7日目。私は妻と共に国王、王妃、宰相、魔術師長、医師、学者、大臣たちと、娘の今後について話をしていた。
娘が目を覚ますまでは結局どうこうしようもない、という結論しかでず皆黙り込んでしまったときに、娘が目を覚ましたと連絡がきた。
妻と共に娘の所に向かったが、ふとした弾みに妻と口論になってしまった。
最初は娘が目覚めたことを喜び合っていたはずだったのだが・・・。
娘がいる部屋に着いて中に入り、娘を見てその姿に衝撃を受け、おもわず立ち止まってしまった。
娘の変化を見ていたはずだが、寝ている時と起きている時ではこんなにも印象が違うものかと驚いてしまったのだ。
娘に呼びかけられて、妻が動いたことで、私も我に返り息子に問いかけた。
「ミルフォード、これは一体・・・」
「父上、セリアは目覚めたときに知らない所にいたので、混乱したようです。私が部屋に入った時に私の顔を見て安心したのか、泣き出してしまいました」
息子の言葉に頷いて娘のそばに近づき、妻の肩に右手を置き、左手で娘の頭を優しく撫でた。
「おとうしゃま」
娘の可愛い声に動きが止まってしまった。
(こんなに可愛い声をしていたか?いや、久しぶりに声を聞いたからそう思っただけだな。
不安そうな顔をみていたら、何でも言うことを聞いてやりたくなってきた。
家に帰りたい?ああ、もちろんすぐに連れ帰ってやろう)
妻と目を見交わすと、言いたいことはわかったようなので、
「わかったわ、セリア。すぐに家に帰りましょうね」
という妻の言葉を合図に動きだした。
執事に馬車の用意を言いつけ、娘を大きなショールに包み抱き上げて部屋を出て行こうとしたら、侍女が立ちふさがってきた。
侍女の言葉に口元に微笑みが浮かぶ。だが、口をついて出たのは、冷たい言葉だった。
言葉を紡ぎながら、自分が怒っていたことに気が付いた。
侍女に八つ当たりをしているのは分かっていたが、足止めされるわけにはいかないので、言わせてもらう。
廊下に出ると急いでこちらに向かってくる者たちが見えた。
つい舌打ちをして、反対方向に向かって歩き出した。
後ろの方から何か言っていたが、無視をして歩いていく。
廊下の角を曲がったところで女官長が待っていた。
彼女は正論で私たちを足止めしてきた。
返答しようにも、彼女の姿を見て冷静になってきた私は答えられずにしどろもどろになってしまった。
妻も加勢してくれたが、こちらの態度が間違いなので聞いてくれそうになかった。
とうとう後ろから来た者たちに追い着かれ、その後ろから国王も現れた時点で、家に帰るのを諦めた。
ついまた舌打ちをしたが、国王が面白そうに人の顔を見ているのには、腹がたった。
娘をもとの部屋に送り、侍女に詫びのつもりで一礼して息子と共に部屋を後にした。
会議室につくと、部屋を出た時と同じ面々が待っていた。
私は先ほどの暴走を詫びた。
それを、ひとしきり国王にからかわれ、程ほどで王妃の仲裁が入り、そして状況説明に入った。
まず、先に娘に会った息子が説明し、続けて私が娘の様子を話したが、話を聞くにつれ皆の顔が渋い顔になっていった。
高熱による意識の混乱による幼児退行という見解は私にも納得できるものだった。
侍女が娘の支度ができたというので、娘の部屋に向かい話を聞くことになった。
19話目です。
読んでいただきありがとうございます。
父、なんかおかしくなってない?
本当は切れ者のはずなのに。
次回で父話終わります。
ここまで書いてなんですが、自分の構成力のなさに悲しくなりました。
セリア、兄、セリア、母、セリア、父にすれば、セリアの目覚めと王宮だよ?編を終わらせられたなと・・・。
これから日々精進していきたいと思います。
よろしければ、お付き合いくださいませ。