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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
プロローグ
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セリアテス・クリスチーネ・フォングラム公爵令嬢とは

初めて空想を文章にしてみました。短編でなく連載という無謀なことをしています。

もしよろしかったらお付き合いください。


 セリアテス・クリスチーネ・フォングラム公爵令嬢は、7歳にして立派な淑女だった。

 貴族令嬢としての礼儀はもちろん立ち振る舞いも優雅。

 同じ年頃の子供を持つ貴族から子供の手本になってほしいと謂われるくらいに完璧だった。


 おかげでもう取り巻きとなるご令嬢が6人もいた。

 フォングラム公爵家で開かれた茶会に、フォングラム公爵所縁(ゆかり)の貴族が招かれ、その中からセリアテスの遊び相手として選ばれた令嬢達だった。


 ただ、セリアテスの性格はとても残念なことになってしまっていた。

 公爵家の令嬢ということで、蝶よ花よと可愛がられた結果、高飛車で高慢ちきな我儘お嬢様となっていたのである。


 そんなある日、王宮で開かれた王妃主催のお茶会に高位貴族の令息、令嬢達が招かれた。

 この国の王家には王子が3人、王女が2人いる。

 まだ、どなたにも婚約者はいないので、顔見世を兼ねたお見合いパーティーとしてひらかれたのだ。


 それに社交界へのデビュー前では出会いは限られている。

 貴族の中にはすでに婚約が決まっている者もいたが、それはごく少数であった。


 セリアテスも兄と共に参加していたが、彼女は非常に不満に思っていたようだった。

 参加している人数が多くて、最初に挨拶をした後に王子達と話すことができなかったのだから。

 セリアテスは身分的にも自分が一番婚約者にふさわしいと思っていたので、この状況に我慢出来なかったようだ。

 その実、他の令嬢のように自分から王子達に話しかけることはしなかった。

 セリアテスは王子達が自分に話しかけてくるのが筋だと当たり前のように思っていたのだろう。


 そうして、王子たちから少し離れた場所で令嬢達と話をしていたが、一向に王子たちが話しかけてくる気配もないのでつまらなくなり、他の令嬢達を誘い庭園に向かうことにしたようだ。


 咲き乱れる様々な花を見ているうちに、セリアテスは心が落ち着いてきたように見えた。

 セリアテスは家に無い花に見入っていた時に、彼女の後ろで驚いたような声が上がった。

 声がしたほうを向こうと振り返りかけたら、走ってきた令嬢達に押されて倒れてしまったのだ。

 運悪く石があって左のこめかみの辺りをきってしまった。


 慌てふためく令嬢達と召使達に、ちょうど他の令嬢達と庭園に来た王子達が指示をだし、セリアテスは医務室へ連れて行かれた。

 途中、庭園に向かっていた兄と、別室で付き添いで来たご婦人方と子供達を待ちながら話しをしていた母も、知らせを受けて合流した。


 二人は一緒に医務室に付き添い、治療をした医者から傷は大したことはないと聞いて安堵したのだが、あまりにもセリアテスの顔色が悪いことから先に退出することを母が王妃に伝えにいくことになった。


 待っている間にセリアテスの顔色は青ざめた色から紙のように白くなっていった。

 あまりの顔色の悪さにベッドに横になるように医者が告げて、兄に手を引かれてソファーから立ち上がりかけたセリアテスは「あ・・・あたまが・・・」とつぶやいて倒れてしまったのだった。


 そうしてセリアテスは7日間目を覚まさなかったのだった。



(宮廷書記官 グレアム・ビンステッド 記)



とりあえずプロローグです。

読んでいただきありがとうございました。

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