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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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父話1-2 貴族の常識とは・・・

ルーツはどこでしょう?


それは、ここです。

私の目から見ても両親は夫婦仲が良かった。

周りの貴族たちも母のことを軽んじた対応をすることなく、それどころか敬意をもって接しているのをみて、子供心に不思議に思っていた。

私は、高位貴族になるほど魔力量が多く、尊敬されると家庭教師から教えられていた。

だから私は、祖父が騎士爵で魔力量が少ない母のことを、軽んじていてまた恥じていたのだと思う。

家庭教師の彼は伯爵家の三男で、貴族の誇りに溢れた人だった。

公爵夫人に母が相応しくないとおもい、私に吹き込んだのだろう。


このことが発覚したのは、我が家での園遊会でのことだった。

大人と離れ、招かれた貴族の子供たちと交流を持っていたときに、誰かが母のことを軽んじた発言をしたのだ。何人かの子供たちは青ざめた顔で見ていたが、私は何も言わずに曖昧に笑っていた。

それに調子に乗ったのか、公爵家の夫人にふさわしくないと、言い放ったのだ。

流石にその発言は言った場所が悪いと思い注意しようとおもったが、私が口を開く前に姉が猛抗議を始めた。途中から抗議の矛先は私に代わってしまったのだが・・・。


騒ぎを聞きつけた大人たちがそばに来て、事情を聞いてきた。話したのは姉の友人だった。

発言者よりも、第三者のほうが客観的に話せるだろうということだった。

話を聞いた大人たちの何人かの顔色が悪くなっていった。

馬鹿発言の親は謝罪していたが、子供の言ったことだから気にしないと言われてほっとし、子供がそういう発言をするということは、その家がそういう見解であるということで、付き合いかたを考えさせてもらうと言われて頭を項垂れていた。


園遊会を続けられる状態ではなくなってしまった。

お開きになり、片づけは召使いに任せて改めて話を聞かれた。

まず、姉が話しをして、次に私からも状況を説明した。


事情を聞いた父は私になぜ何も言わなかったのか尋ねてきた。

私は自分が思っていることを、正直に話した。不思議に思っていたこともついでに聞いてみた。

家族の驚愕の顔は今でも忘れられないくらいで、それほどの衝撃だった。

私がこの考えに至った理由を知るために、いろいろと聞かれた。

そうして、家庭教師が原因と分かり、彼は解雇されることになった。


次に来た家庭教師は博識な人で、彼からいろいろな事を学ぶことができた。

彼は前の家庭教師の考え方を否定しなかった。貴族の中にそういう考えが多いと肯定した。

だからといって、その考えが正しいことだとは言わなかった。

私がその言葉を実感したのは成人して王宮に勤めるようになってからだった。



娘のセリアが、魔力量が多くないことを知ったのは、わずか3歳のときだった。

それから、娘に請われるまま様々な教師を招いた。

7歳になった時には、周りから淑女と認めるくらい素敵なレディになっていた。

娘が頑張ったのは、母のようになりたい、母に認めてもらいたいという思いからだったとおもう。

妻は娘の事を愛していないわけではなかったが、接し方が冷淡だったとおもう。

息子には、話しかけているのをよく見かけた。娘にはあまり話しかけていなかったようにみえた。

娘から話しかけても、大したことでなければ適当に切り上げていることも多々あったとおもう。


娘に不思議なことにが起こった始まりは、王宮で開かれた王妃主催のお茶会だった。

息子と共に参加し、妻も隣室で貴婦人たちのお茶会をしているはずだった。

いつものように王宮の一室で執務を行っていた私のもとに、娘が怪我をしたと連絡がきた。

大した怪我ではないということだったから執務を続けたのだが、しばらくして娘が倒れたという連絡がきたのだった。

娘が寝かされた部屋に駆け付けると、王妃と妻と息子、医師が詰めていた。

すぐに辞去しようと思ったのだが、王妃が娘の目が覚めるまで動かさない方がいいとおっしゃってくださったので、そのまま寝かせておくことにした。


まさか、7日間も目を覚まさないとは思わずに。



18話目です。

いつも読んでくださりありがとうございます。


パパの幼少時の話で、・・・偏った知識は偏見になる。

かな?


パパが説明してくれなかったので、補足を。

パパの兄弟は、姉と弟です。

姉は他国の公爵家に嫁いでいて、弟は侯爵家に婿入りしています。


人が違えば見方が変わるとはいえ、ここまで違うんだなとおもいましたね。

もう少し妻のこと、見てあげようよ。


まあ、無理かぁ~。

誤解と思い込みがあるからねぇ~。

次回で語ってくれるかな?


では、次回で。

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