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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第2章 女神様の愛し子になってから
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14-6 お母様と王宮料理長

その言葉に顔を上げた料理長が言葉を返してきました。


「だがな、ミリアリア。あの小生意気なセリアテスがここまで変わっているとは思わないだろう」


はっ?い?

えっ、えっ?え~っ!


「お母様。フッフス料理長とどういう関係なのですか」


フッフス料理長とお母様が顔を見合わせました。

あれ、そういえば2人は同じ濃いめの金髪にエメラルドの瞳です。


「ま、まさか兄妹・・・」

「違うわよセリア。マキシミリアム、あなたも椅子に座って頂戴。話しが出来ないわ」


フッフス料理長が私達の向かいに座りました。

アドニーさんが私達にお茶を出してくれました。

お母様がアドニーさんに部屋を出るように言っています。

3人だけになったところで、お母様が料理長に言いました。


「マキシミリアム、まずは自己紹介をして頂戴」

「・・・本当に忘れてしまったのか」

「あなたはどこまでセリアのことを聞いているの」

「王妃のお茶会で倒れて、目が覚めた時には記憶を失っていたのと、髪の色が変わったことくらいか。ああ、あと、セリアテスのありがたい言葉を実践するとか。それから、昨日の女神様が降臨なさってセリアテスを愛し子と言ったくらいかな」

「まあ、合っているわね。それじゃあ自己紹介してくださらないこと」


お母様に言われた料理長が背筋を正して私を見ました。


「私はマキシアム・フッフス。リングスタットの王宮で料理長をしている」


ん?あれ?名前が違いません。

私が首をかしげると料理長が笑って言葉を続けました。


「本名はマキシミリアム・サノク・ヴァイスコップ。ニアンガラ国の公爵家の出だ」

「はっ?」


と、言って大きく口を開けた私は悪くないと思います。

それを見て料理長が声をあげて笑い出しました。

それをお母様が睨みつけます。


「マキシ!」

「クックッ。いや、悪い。見事なばか面で、とっ、とっ。いや、ほんと、何も話してなかったのか」

「言えるわけないでしょう。こんなこと」

「あー、まあ、すまん。クックッ。そうだよな。言えるわけないか」


と、まだ笑っていましたが、笑いを収めると一回息を吸って吐き出し、真面目な顔で私の方を向きました。


「君の母であるミリアリアとは従兄になるんだ」


私はその言葉にお母様の顔を見ました。お母様は頷きました。


「私の母は現ヴァイスコップ公爵の妹なのよ。マキシミリアムはその嫡男だったけど、成人と同時に国を飛び出してしまって。リチャードお義父様が彼を見つけてこの国に連れてきたのよ」

「本当に、リチャード様には感謝している。あそこで会えなかったら、母に会えないまま後から亡くなったのを聞かされるところだった」

「そうね。あなたをこの国に連れてくるためにニアンガラ国まで行ってくれたのですもの。おかげでヴァイスコップはクルーニーが継ぐことになったのだし、後顧の憂いも無くなってよかったのではなくて」


料理長はその言葉に頬をポリポリと掻いてそっぽを向きました。

チラリと私を見ると。


「あの日は悪かった。いきなり作ったことがないものを作れといわれたのと、ここんところのむしゃくしゃしてたのもあって、思わず当たっちまった。本当にすまなかった」


はあ~。そうだったのですね。だから、王宮で会った時に親戚の子供だからあんな言い方になったと。

でも、お母様はそうは思わなかったみたいです。


「だからって、子供にあんな口の利き方はないでしょう」

「だから、悪かったてば。俺も、ああなってからのセリアテスと初めて会って戸惑っていたんだよ」


ん?そういえば私のことを小生意気とか言ってましたよね。


「前の私は生意気だったのですか」

「ああ、まあな。大人相手でも、正論をズバッと言ってそのままスタスタ行っちまってたな」


・・・言い逃げですか。私。


「それはあなたがセリアをからかうからでしょ」

「突っかかってくるほうはどうなんだ」

「でも、あなたは大人でセリアは子供なのよ。同じ目線で相手しないで頂戴」

「はいはい。もうしませんよ」

「それで、セリアに謝りにきただけなの」


お母様が私が固まっている間に話しを変えてくれました。

それを受けてフッフス料理長は真面目な顔に変わります。何か表情が豊かな方です。


「それが目的だが、ちょっと知恵を借りられたらと思ってきたんだ」

「セリアの?」

「ああ。お嬢ちゃんならいい案が浮かぶかなと思ってな」

「私で、力になれるのでしたら」


その答えに料理長が破顔しました。笑うと人懐っこい顔になります。


「最近王宮に勤めるものから食事に不満が出るようになっていてな。替わり映えしないということらしい。それで、この間のコンポートがすごく好評で、お嬢ちゃんが言うようにその液を使って肉に味付けをしたら、すごく好感触だったんだ。あの後、他にもできないか考えているんだが、一向に浮かばなくてな。で、お嬢ちゃんの知恵を借りに来たというわけだ」


確かに、昼食会の料理は塩味で統一されていて味の変化がありませんでしたね。でも、ソースを何とかするだけで、食べられた味になると思います。


「それでしたら、お肉にソースを添えるとかすれば変わると思いますけど」

「ソース?なんだそれは」


あっ、その説明からですか。



182話です。


フッフス料理長・・・偽名でしたね。マキシミリアムなんて名前じゃあ素性がバレますものね。

それから、新しい国の名前が2つ出てきました。どちらもリングスタットから北東の方にある国です。


もう一つ、前のセリアちゃんのことを小生意気発言。

これは、まあ、想像できるとは思いますが、完璧な淑女を演じていたセリアちゃんが、心を許せる相手は少なかったんですね。親戚という事もあり、彼には素の部分をかなり見せていました。

というより、あの性格の彼がセリアちゃんに会うとからかいまくっていたんですけど。

それで、彼に反発して小生意気に・・・。


まあ、裏事情はこんなところですかね。

さあ、次回はあの人が出てきます。別のところで話題の人です。

誰でしょうね~。


それでは、次話で会いましょう。


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