14-4 勉強も基本の基・・・からですね
ファラント・オブライン様は近衛騎士なだけあり、エックハルト騎士団長を彷彿とさせるものがあります。
オブライン様は苦笑されると立ち上がりました。
「それでは行くかの」
おじい様の声に皆様馬車に乗り込みました。魔術師長はお父様と一緒にフォングラム公爵家の馬車に、おじい様はキャバリエ公爵家の馬車に、エグモント叔父様はアルンスト侯爵家の馬車にそれぞれ乗り込み王宮へと向かいました。
私達は居間に戻りお茶をいただきました。
みなさまが一息つくとおばあ様が私に訊いてきました。
「セリアテス、今日は体調が良さそうね」
「はい。朝からとても気分がいいです」
「それは良かったわ。ところでね、いろいろあったおかげで進まなかった勉強を始めようと思うのだけど、何かやりたいことの希望はあるかしら」
えーと、どういう意味でしょうか。
首をかしげているとおばあさまが笑い出しました。
「ホホホ、いきなりそう言われても困るわね。一応決めていたのはマナーは私達が教えるということね。今までの様子を見ていて、マナーは出来ているけど意味は判っていないようだから。それを実際に行いながら意味を教えていくわね」
そう言われてみればそうです。何となく体が覚えているようですが、その意味はわかっていませんね。
なので、頷いて了承の意味を伝えます。
「それから、魔法は先生が見つかったからこれはいいわね」
えっ、本当に魔術師長から教わるで、いいのですか?
「それから、今まで教わったことはお前たちが先生になって教えてみなさい」
これはお兄様達に向かっていいました。
「僕たちがですか」
「ええ、そうよ。今までセリアテスに使った教材をすべて用意したそうだから、それを使って教えなさい。まずは、クラーラとアマリア、お前たちからね」
「はい」
「わたしもですか?」
「そうよ。アマリアが3歳くらいに習ったことだから、あなたでも教えられるわよ」
その言葉にアマリア様が目を輝かせました。
「次にローラントとギルベルトに教えてもらうわよ」
この言葉にギルベルト様も目を輝かせました。
・・・おばあ様、うまいです。2人も私の力になりたそうにしていたので、それを汲んでのことでしょう。
「その後はミルフォード、オスカー、シュレイン、ビアンカには1人づつやってもらうわ」
もう、おばあ様は最高です。
それならば、お兄様達に教えていただきたいことがあるのですけど、言ってみようかな。
「あの、おばあ様。一つ行いたいことがあるのですが」
「まあ、何かしら」
「その前に、お兄様。毎朝運動をなさってますよね」
「運動?剣の稽古のことかな」
「それはどういう事をなさっているのですか」
お兄様達と顔を見合わせた後、私に訊いてきました。
「それを訊いてどうするの」
「私も剣の稽古をしたいです」
「お待ちなさい、セリア。女の子が、まして貴族の子女が剣を振り回すものではないわ」
「でもお母様、今から習っておけば学園に入ってから習うよりいいですよね」
そう言ったら、みなさまハッとした顔になりました。
「そうね。セリアテスの言う通りね。まずは私達の意識を変えなくてはならないわね。ミルフォード、あなたたちがやっていることを教えて頂戴」
おばあ様の言葉にお兄様達が頷きました。
「そうですね、まずは素振りをしてそれから剣を打ち合わせます」
「走り込みはしないのですか」
「走り込み?えーと、馬で走るのではなくて」
「自分の足で走らないのですか」
「ああ、そうだね。屋敷の周りを走るよ」
「準備運動とかは?」
「えーと、準備運動?」
「体をほぐすような動きです。屈伸したり、腱を伸ばしたり」
言葉と共に立ち上がって膝を曲げてしゃがんだり、腕をあげて回したりします。
「・・・似たような動きはするけど・・・」
「どれくらい稽古に時間をかけますか」
「朝は軽くだよ。その後に兵士たちと一緒に訓練に参加してるから」
フムフム。じゃあ私が考えているのと同じくらいの運動量ですかね。じゃあ、後で紙に書いてみましょう。
「セリアテス、剣の稽古をするにしても順番にしていきましょうね。いきなり剣を扱わせるわけにはいかないわ」
「はい。おばあ様」
ええ、もちろんですとも。
それから、今日の大体の予定を決めました。
それが終わるとお婆様に言われました。
「では、あなた達はサロンに移動なさい。まずは最初のお勉強ね」
サロンに移動すると本と紙の束とノートが置かれていました。
私が一番前の長テーブルに座ると隣にビアンカが座りました。
アマリア様が張り切っています。
最初の授業は文字の読み書きです。
・・・えーと、一言いいでしょうか。
文字は違うのになんで平仮名みたいに50音なんですか?
いや、50音とは言い過ぎだけど、ほんとにあ、い、う・・・何ですよ。
これも、前にアラクラーダの神子が伝えたのですかね。
180話です。
やっと勉強が始まります。
ただ、セリアちゃんの理解力の確認をするためにも、こちらも基本から入りました。
という回でした。
では、また、次話で。




