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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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従兄話 オスカー15 従妹の体調について思うこと

翌日の夜に、祖父から連絡がきた。王都の館の警備に人が必要という事で僕たちの護衛として何人か連れて行くことになった。王都に連れて行く者の人選を母が執事長と警備隊長と相談をして決めていた。


もう一泊フォングブルクに宿泊して王都リングスフォルトに向けて出発した。6日で王都に着いたけど、迎えに来たアーマド叔父上に話しがあると止められた。そして、フォングラム公爵家のセカンドハウスに案内されたんだ。

そこでこれまでに起こったことを叔父上が説明してくれた。アーマド叔父上はどちらかと言うと武人で、そういったことは苦手なんだと思っていた。だけど、意外なことにとても分かりやすい説明だった。多分当事者じゃない事も大きかったのだと思う。


セリアテスは本当に記憶を失くしてしまったようだ。家族の顔は何となく覚えていたようだけど、自分の名前さえわからなかった。そのせいなのか今までとは違う考え方をするようになったらしい。それがなんで「アラクラーダの神子」疑惑に繋がるんだ? 予知? 魔物の大量発生? それは何時起こってもおかしい事じゃないだろう。

はあ~?セリアテスの変化に舞い上がった王子達が口説いてたって? あのボンクラ、いや、ボケ王子共め~。アーマド叔父上達に会ってもわからなかった・・・。思い出せたことがあった。誕生日にミルフォードからもらったリボンとドレスのこと。じゃあ、しばらくすれば思い出せるかもしれないんだ。


その後のお爺様達とルートガー公爵家と会って、お爺様達のことは自分の祖父母とわかったこと、ルートガー公爵家のことは思い出せなかったことを話して、叔父上は重い溜め息を吐いた。

その後の話に僕たちは皆、顔色を変えた。


まず、フォングラム公爵領で最近発見されたお茶の製法。それをセリアテスが知っていた。そして、紙を折って作った「オリガミ」を見せられた。子供の遊び道具と言っていたけど、紙を使って遊ぶとしたら絵を描くことだと思っていた僕達には、こんな発想は出来ない。

そして、セリアテスが魔力暴走を起こした話は、母と姉が卒倒しそうになった。いや、その前は楽しそうだったんだけど・・・。そうなった原因は服を改良しようとしたことにあったそうだ。確かに服を着る時にあちこちを紐で縛るのは面倒で仕方がない。前に、シャツの紐をちゃんと縛っておかなくて、出かけた先でシャツがはだけて直すのが大変だった。僕達男はまだいいよ。女性のドレスは背中で縛るから女性一人じゃ着替えができない。一般の女性服は違うようだけど、貴族が着るドレスは形を整えるためにも紐をたくさん使っていると聞いた。そして、それを隠すために腰にサッシュを巻き、後ろで大きなリボンにするのが今の流行だったよな。ほんと、女性は大変だ。


セリアテスは幸いにも事なきを得たとは言うけど、魔封じの腕輪をさせてしばらく様子を見ることになったそうだ。ただ、困ったこともでてきたそうだ。セリアテスに魔力制御を早く教えたかったけど、そうもいかないらしい。セリアテスは目を覚ましてから2~3日おきに体調を崩しているんだって。軽い微熱らしいのだけど、そのために叔父上達もどうしたものか判断しかねているとか。


本来ならあり得ないことなんだ。僕達貴族家の者は病気になりにくい。それは、魔力量が多ければ多いほど、身体が丈夫になるからなんだ。余程たちの悪い流行り病にならない限り、病で亡くなることは少ないだろう。それよりも怪我による傷から悪いものが入って亡くなることの方が多いんだ。だから、セリアテスの体調が安定しないのはおかしいんだ。一体セリアテスはどうしてしまったのだろう。


そして、魔力暴走から2日後に皆がセリアテスを怒らせた話をして、アーマド叔父上の話は終わった。

セリアテスはこの日をとても楽しみにしていたようなんだ。スクワーレ伯爵令嬢って言ったっけ。彼女を家に招待していて、たしか初めて家に招待をしたようなんだけど、ソフィティア叔母上とウルリーケおば上が

それに異を唱えるようなことを言って、一緒に来ていたローザ王女とやり合って、怒らせたんだったよね。


そう。これだけでもセリアテスが変わってしまったのがわかる。前の彼女は嫌なことは嫌とはっきり言っていたもの。彼女の誕生会も、彼女の取り巻き達が参加したいと言ったけど、きっぱりと断っていた。その後、取り巻き達を招待してお茶会を開いたそうだけど、僕達に会えなかったことに不満を漏らしていたと、手紙に書いてあった。大切な従兄に紹介できるような性格していると思っているのかしら、と姉に宛てた手紙に書かれていたと姉が言った。それから「係累にあたる者達だからって、セリアテスはやさしすぎるわ」と言っていたのが、印象に残ったのをおぼえている。


いや、叔父上の話は終わりじゃなかったんだ。最後に僕達にこんなことを訊いてきた。


「お前たちに訊きたいことがある。セリアテスは倒れてから7日間目を覚まさなかった。目が覚めてから6日間王宮で過ごした。その7日後にスクワーレ伯爵令嬢と勉強をしようと約束したんだ。その約束した日は10月20日。では、セリアテスが倒れた、王妃のお茶会は何日に開かれた?」


一瞬何を言われているのか分からずに、姉と兄と顔を見合わせた。



175話です。


そういえばオスカー話は思うことでサブタイトルをほぼ、揃えちゃったな。

あまり意図してたわけじゃないんですよ。

ただ、オスカーが僕はこう思うんだ!と言ってくるので、じゃあ思うことにするかと・・・。

ただ、次話は思うことにはなりませんでしたが。

次話で、オスカー話が終わります。


さあ、次からはセリアちゃんです。

運命が動き出す・・・だと大袈裟ですが、周りが動き出します。

やっと、セリアちゃんの取り巻き令嬢が出てきます。

あっ、出てくるけど、次からではないです。その前にクラーラの彼が出てきますから。

・・・これも次にはでてないけど。


やばい、墓穴を掘っている気がする。


それでは、また、次話で。

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