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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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従兄話 オスカー14 秘密の事情について思うこと

「そうだな、まずは先にこの話をしておくか」


そう言って父上が話したのは、立太子を受け入れたことだ。年が明けたら各国に公布するそうだ。

それと、王太子一家の最後に立ち会えたことは誰にも話すなと言われた。僕たちは間に合わなかった、彼らの最後の言葉を聞いていないと。

納得できなかったけど、とりあえず頷いておいた。


それから、父上からではなくて、母上が話してくれたこと。それは想像さえしたことがないことだった。

この世界に関わる話で、女神様のこと、聖王家のことなどだった。そして、アラクラーダの名や神子の真実。リングスタットの・・・いや、フォングラム公爵家が、ううん。リチャードお爺様がしてきたこと。違うな。今もしていることだ。彼の家の役割はそんなにも重いものだったなんて。だから、王太子一家の最後に立ち会えなかったことにするのかと、納得したのだった。


夜が近づいてきたので、無理をせずに早めに宿を取って僕たちはその日は休んだ。


次の日も街を出発して直ぐに浮遊の魔法をかけて旅路を急いだ。

今日の話は祖父と祖母の話からだった。祖母の血筋の話を聞いて僕たちは驚いた。それに関係した話も、すごかった。うん、人間驚きすぎると単純な言葉しか出てこないよな。でもそれで、5歳の時に聞いた母の言葉に納得したんだけど。


馬を休ませるためにも何度か休息を取りながら進んでいく。話しを聞いた僕はそれがまどろっこしくて仕方がない。早くリングスタットに、いや、フォングラム公爵家に行きたかった。


祖父母の話の次はセルジアス叔父上とミリアリア叔母上の話だった。まさか、ミリアリア叔母上にも秘密があって、それを本人が知らないとは思わなかった。だからミルフォードは特別なんだと納得したら、それは大間違いだったんだ。


この日の話はここまでだった。もっと聞きたかったけど、母上が疲れているのが分かったので、その日も早めに宿を取り休んだのだった。


次の話はリングスタット王家のことだった。この話は父上も初耳だったのか真剣に話を聞いていた。途中に聞かされた話で父上が母上の言葉を止め声を荒げていた。


「もし、それが本当ならリチャード様は何をしていたんだ」

「あなたが言いたいことはわかるわ。でもね、クロフォード陛下のお言葉でもあるのよ。本当なら私を選ばなかった時点でお父様が動くべきだったとおもうわ。でも、陛下はあの子(・・・)を残されたのよ。父も弟もあの子(・・・)を守るために、王家を守るために動いているのよ」

「・・・あの子(・・・)とは誰だ」

「そうね。それを話すためにももうしばらく話を聞いて頂戴」


父はその後、母が語るリングスタット王家の事について何も言わずに聞いていた。王家の事を語り終わった母に父が聞いた。


「では、その子は本当ならセリアテスの婚約者になるはずだったんだな」

「ええ。いいえ、違うわね。セルジアス達はそのつもりで接しているはずよ」

「守りは万全か」

「もちろんよ。父たちに抜かりはないはずよ」

「しかし、この話を国王が知らないとは」

「・・・そうね。知る機会はいくらでもあったわ。そして意味を知れば私を・・・。今更言っても仕方がないことね」

「そうだな。では、今回のセリアテスのことも何か秘密があるのか」

「・・・」

「カテリア?」

「ごめんなさい。それは明日話すわ」

「・・・そうだな。先ほどは悪かった。疲れただろう。少し休むといい」

「ええ。ありがとう。あなた」


そう言って、母上は父上にもたれ掛かり目を閉じた。そのどことなく苦悩をにじませた表情が気になったが、父上が何も言わないのに聞けるわけはなかったのだった。

でも、これで謎は解けた。あのバカ発言のもと、本当なら母上はリングスタット王妃になるはずだったこと。王が母を選ばなかったからバカ王子のあの発言になったのだということを。


翌日、母は中々話をしようとしなかった。国境を越えてリングスタットに入ってからぽつりぽつり話し始めた。セリアテスの話は今までの話の中で、一番普通だった。いや、その言葉は間違いか。それまでの話の流れから生まれからして普通じゃない。だから、セリアテスを隠すことにしたんだ。お婆様と同じに・・・。


それはわかる。わかるけど、じゃあ、なんでセリアテスはあんなに努力しなければならなかったの。しなくてもいい苦しみを与えたの。母上はそれが判っているから言いたくなかったんだ。


姉上も話を聞いて、涙ぐまれていた。でも、何も言わなかった。これは誰かの責任を問う話じゃない。

ただ、納得ができないことがある。なんで、ミリアリア叔母上にセリアテスのことも内緒なんだ。いくらセリアテスを産んだ時に体調を崩したからってその後に話せば良かったじゃないか。そんなことをしたから、親子関係がうまくいかなかったんだろう。


翌日にフォングブルクの館に着いた。祖父母が言いおいていたからか、執事長以下とても歓迎してくれた。

旅の汚れを落としてゆっくりしていると、祖母から連絡がきた。祖母たちはアルンスト侯爵家にいるそうだ。祖母たちが集めた情報を訊いて、2~3日ここでゆっくりするように言われた。母はすぐにも出発したかったようだが、まずはセリアテスの様子を見てからと言われて、僕たちのフォングブルク滞在が決まったのだった。



174話です。


前話の後書きに書きましたが、この世界の秘密を語ってます。・・・ぼかしてますが・・・。

祖父母のことは番外編の恋とはなんぞや?に書いてますので、本編だけを読んでいる方は良ければ読んでみてください。今話の秘密部分をかなり語ってますので・・・。セリアちゃんに秘密なのでまだ、本編では語れないんですよ。


えーと、外伝で語るネタがいくつか入ってきました。例えば、ミリアリアの話。これは本編は最後の方で明かされますので、かなり先のことになりますね。リングスタット王家のこともですね。


あと、1~2話でオスカー話は終わる予定です。まだ、書き上げてないので、何とも言えませんが・・・。

でも、それ以上長くするつもりはありません。


また、次話で、お会いしましょう。

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