表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
174/444

従兄話 オスカー13 緊急連絡について思うこと

僕の心配は杞憂に終わった。

いや、それよりもとんでもない事が起こったんだ。


あれは、10月9日の事だった。この頃には僕たちは王宮ではなくキャバリエ公爵邸に戻っていた。

誕生日を迎えたから僕は10歳になったんだ。


祖父から緊急連絡がきたとき、父は王宮に行っていなかったから、母が話しをしていたんだ。

僕はその時、たまたま遠話の魔道具を置いてある部屋の前を通りかかったんだ。扉がちゃんと閉まってなくて声が聞こえてきて、いけないと思いつつ立ち聞きしてしまったんだ。


「なんですって。本当にそんなことが。・・・ええ、そうですの。では、封印が解けてしまったと。・・・違う・・・いえ、まだわからないのですわね。・・・記憶を失くしているの。一時的ではなく。・・・それもまだわからない。・・・そうですわね。実際にこの目で見ないことには。・・・ええ、わかりましたわ。こちらも急ぎ向かいますわ。・・・はい?フォングブルクの館に寄れ。・・・ええ、そうですわね。そこで情報を・・・わかりましたわ。ええ・・・それでは、お父様お母様もお気をつけて」


何? 何のこと? 

でも、もしかしなくてもリングスタットに行ける。じゃあ、ミルフォードに会えるんだ。


僕はそんなことを考えながら扉に身体をつけて立っていた。

だから、部屋から出ようとした母に見つかってしまった。


「あなた達、聞いていたの」


えっ、と思って後ろを向くと姉と兄もいた。話しを聞くのに集中して後ろに来ていたのに気がつかなかったなんて。


「はい。でも、何が起こってますの。急ぎフォングラム家に向かわなくてはならないのですわよね」

「ええ。説明する前に、あなた達も支度をして頂戴。今から王宮に向かうわ。馬車の中で話してあげるから」


登城するのに見苦しくない服装に着替えると、急いで王宮に向かった。連絡をしていたからかすぐに国王の執務室に通された。そこには父が待っていた。母は祖父から聞いたことを伝えている。途中で2人の顔色が変わった。そして、僕たちは部屋を追い出された。


馬車の中で聞いた話は、セリアテスがリングスタット王妃主催のお茶会で怪我をして、その後倒れて7日間目を覚まさなかったこと。目を覚ましたセリアテスが記憶を失くしてしまったこと。あと、何故か魔力量が増えて髪の色が変わったこと。だったよね。

僕達を追い出してまでするような話じゃないよね。そう思っていたら。


「心配だわ。セリアテスは大丈夫かしら」

「大丈夫だと思うよ、姉さん。もっと大変なら叔父上ももっと早くに連絡してくるよ。それこそ転移門の使用許可をもぎ取ってさ」

「それもそうね。ねえ、髪の色が変わるっていう話は聞いたことがあるかしら」

「う~ん。記憶にないなあ~。オスカーは?何かそんな感じの話見た覚えはある?」

「僕もないよ」

「じゃあ、やはりそこね。私達に聞かせられない話は」

「そうだね。怪我をして高熱を出すっていうのは聞いたことがあるしね」

「あと、魔力量が増えたこともだよね」

「でも、魔力量が増えることは、滅多にないけど、ありえないことじゃないでしょう」

「問題になるとしたら、増えた量の多さだろうね」


その後は3人とも黙り込んでそれぞれ考え事に没頭していたんだ。


途中で母上が戻ってきて僕たちは屋敷に帰ることになったんだ。父上はまだ、陛下と話をしているそうだ。

屋敷に戻った僕たちはリングスタットに行くための準備をした。だけど、この日は父は王宮から戻ってこなかった。

次の日の夜中近くになって、やっと父が王宮から戻ってきた。

そのまた次の日の朝早くに僕たちは屋敷を出発した。

王都を出るまでは普通に馬車を進めたが、門を出て門が見えなくなったら母上が浮遊の魔法をかけて馬車を走らせた。そして、外に声が漏れないように魔法をかけた。


「お前たちに話しておかなくてはならないことがある。これは大事な話だ。我々と、リチャード様、セレネ様以外とは話さないように。約束できるか」

「もちろんですわ、お父様。お爺様たちの秘密を話してくださいますのね」

「まあ、そうだな」

「話していただける年齢に達したということですか。それとも、そこまで緊迫したことが起こっているとか」

「そこまで、構えなくていいよ。ローラントは先読みしすぎだ。ただ、リングスタットで何が起こっているか分からない。私達では動けないことも、お前たちならできることもあるだろうという判断だ」

「ベルンハルト陛下も知っておられることなんですか」

「オスカー、全部は話されてないようだったが、リチャード様からかなり詳しくきいたそうだ。そして、今回のことをかなり危惧されている。サンフェリスに起こったことがリングスタットでも起こるのではないかとな」


父の大袈裟な言い方に姉と兄と目を見交わす。姉が代表して口を開いた。


「何の事ですの、お父様」


父は溜め息を吐くと母をチラリと見た。母は父に頷いただけだった。



173話です。


さて、物語の核心に近づいてきました。

いろいろ語ってくれてますね。

次話の方がもっと語ってますが・・・。


質問が来る前に補足しておきますかね。

サンフェリス王家。彼らはフォングラム公爵家の役目を知っています。なので、とてもフォングラム公爵家に協力的です。カテリアとジークフリートが結婚した時にとても喜んだのがベルンハルト陛下です。出来れば、リチャードの妹達と結婚して義弟になりたかった人です。

リングスタット王家には厳しい目を向けてます。次話で、リングスタット王家のことを知ったジークフリートはかなりお怒りモードになります。理由を聞いて怒りを収めますが、納得しきれなかったので、会った時にああいう態度になりました。


他に気になることなどあればご質問ください。


それでは、また、次話で会いましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ