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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
172/444

従兄話 オスカー11 跡継ぎについて思うこと

王太子であるアルベルト様も、王子達とさほど変わらない時間にお亡くなりになられたそうだ。

王太子妃のキャロリアナ様は事故の時にほぼ即死だったと後から聞いた。救いはほとんど痛みを感じずにお亡くなりになられたことだろう。

サンフェリス国は悲しみに包まれた。僕も兄上も放心していた。

陛下と父上は悲しみを振り払うように公務に没頭していた。


王太子一家の葬儀には各国から使者が送られてきた。そのほとんどが王族か公爵家の者達だった。

最後の別れの時にキャロリアナ様の棺だけは蓋が開けられることはなかった。遺体の損傷がはげしくとても見せられたものではないと、前の日に聞かされて、蓋を閉めたまま僕たちは対面した。僕たちが離れた後、母上がどうしても顔が見たいと言い、父と共に対面をしたが蓋を開けたとたんすごく取り乱された。

お婆様に取りすがって泣く母の姿に僕たちは何も言えずに立ち尽くしたのだった。

葬儀が終わると使者たちは僕たちにお悔やみを言って、それぞれの国に帰られた。

最後までセルジアス叔父上が残っていたけど、後はこの国の問題だとお爺様に言われて、リングスタットに帰って行った。


祖父母はひと月近くサンフェリスに滞在した。母上を心配してのことだった。あそこまで落ち込まれた母上を見るのは初めてだった。

葬儀の後、王宮は跡継ぎの事でもめにもめた。

父を含む上の人はベルンハルト陛下に新しい妃をもらってもらい跡継ぎを設けて欲しがった。陛下が王妃様を亡くしてからそろそろ8年になる。まだ、陛下はお若いから今から跡継ぎを作って、父上が後見すると言ったんだ。

だが、陛下と宰相は父上に後を継いでもらいたがった。自分は王妃を今でも愛しているから、他の女性を王妃の座に据えたくないと言っていた。それに父には兄上と僕という跡継ぎがいるし、王子の友人に選ばれたくらい優秀だから過分なく務めをはたせるだろうとも。

陛下の期待はうれしいけど僕はそんなことを考えたことはなかったから戸惑っていた。


葬儀から20日後。母上と僕たちはベルンハルト陛下とお茶を飲んでいた。父上はどこかの国の人と外交の仕事をしているはずだ。このお茶は最近フォングラム公爵家で発見された新しい飲み物だ。前回母上が気に入りフォングラム公爵家から分けてもらったものだ。お茶を楽しんでいたら陛下が話しかけてきた。


「カテリア。君の率直な意見を聞きたい。私はジークフリートに次の王になってもらいたいと思っている。君はそれについてどう思う」

「私はジークの意見に従いますわ」

「ジークが是と云えば君は王妃になってくれるのだね」

「ええ。是と云えばですが」

「カテリア、よく考えてみたまえ。ジークが王になり君が王妃になることは、リチャード殿の助けになるだろう」

「それは、そうですが」

「もちろん無理強いをする気はない。だが私の子は亡くなったアルベルトただ一人。あと、私の後を継ぐ資格があるのはイアソートかジークフリートだけだ。イアソートは行方知れずになってかなり経つ。そうするとジークフリートしか残っていない。ジークがどうしてもいやだというのなら、ローラントかオスカーを私の子として後を継いでもらうしかないだろうな」


陛下の言葉に驚いて僕は陛下を凝視した。陛下は姉を見た。


「クラーラは王女になるのは嫌かい」

「私は構いませんわ。ですが、陛下。いえ、伯父様、王家のためにどこぞへ嫁げという話は無しでお願いしますわ」

「それは考えてないよ。クラーラの想う人に嫁げばいい」

「まあ、それでは何の問題もありませんわね」

「ちなみに誰か想う人がいるのかい」

「ええ。ファラントですわ」

「ファラント・オブラインか。それは是非とも一緒になってもらわなくてわな」

「まあ、伯父様にも賛成していただけますの」

「ああ。どこぞのボンクラ貴族に嫁がせるより「黒狼」がこの国にずっといてくれる方がはるかに利になるだろう」


姉はとても嬉しそうに笑った。


「では、ローラント。お前はどうだ」


その言葉に兄はとても真剣な顔をした。


「伯父上。私は父が後を継ぐのを辞退したのなら、私が伯父上の後を継ぎたいと思います」


その言葉を聞いて伯父上も笑みを消し真剣な目を兄に向けた。


「それは何故。と聞いていいか」

「はい。私はロデリックの最後に立ち会い彼の言葉を聞きました。ロデリックは最後までこの国と陛下のことを案じていました。そして、後を頼むと私に言い残しました。私はそれから考えました。確かに陛下はまだお若いから妃を娶り新たな子を設けることもできるでしょう。ですが、私には懸念があります。いえ、ロデリックと共に見つけたものです。もし、それが現実になったら、幼い王子では対処できないでしょう」

「懸念とな。それはなんだ」

「魔物の大量発生です。魔物の大量発生と言われるものは、約40年前のリングスタットで起きたものを最後に起こっていません。今、もし、それが起こったら、どうなることか」

「たしかにそうだ。今回アルベルト達が事故に遭ったのは、実はそれの調査もかねていたのだ」

「キャロリアナ様の療養のためとおききしましたが」

「表向きはな。最近北方の野生動物達が狂暴化していると報告が来てな。あちらの国を刺激しないためにもあまり表だって調査に人を派遣するわけにはいかなくてな」


伯父上は苦い笑みを浮かべたのだった。



171話です。


・・・。

すみません。また、・・・から始まりました。


前話でロデリック王子に頼まれたこともあり、ローラントが真剣に考えて答えを出しました。

ローラントはロデリック王子より2歳上ということもあり、弟のようにかわいがっていました。成長するにつけ王子として真面目に頑張る姿に感銘し、一生仕えようと決めていました。

弟のマーカス王子も素直ないい子で、オスカーの行動を小さい時からフォローしていました。

王子達を亡くした2人はしばらく気が抜けた状態でしたが、リチャードのおかげで回復しました。

まあ、母親の落ち込みがすごかったので、自分たちが母親を支えなくては。と思ったのも大きかったのですが。


えーと、もうひとつ。

クラーラの想い人の名前が出てきました。

オスカー編が終わったら出てきます。さて、彼の目の色を何色にしましょうかね。

髪の色はもちろん・・です。

えっ、隠さなくても判るからちゃんと出せ。

はい。すみませんでした。

ですが、黒髪には何色の瞳がいいですか?


ご意見をお待ちしてます。


それから、もう1つ。

また、リクエストを募集したいと思います。

月光の姫と信望者たち(仮)がもうすぐ200話になります。

と、言ってもこれで171話なのですが・・・。

まだ、先になりますが、200話達成記念に番外編にアップしたいと思います。

なんでもいいですよ。


こちらもお待ちしています。


では、また、次話で。



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