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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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母話1-3 娘の可愛さに思うこと

 部屋では侍女が待っていて、娘を着替えさせて身支度を整えてくれましたの。

 娘は先ほどの騒動でベッドの上に起きて座っているのも辛そうでしたので、クッションで楽になるようにしてくださいましたわ。

 軽い食事も用意してくれたのですが、娘はスープしか飲みませんでしたの。

 スプーンを持つのも辛そうでしたので、私がスープを飲ませましたのよ。

 娘はすまなそうにしていましたが、嬉しそうでもありましたわ。

 その様子がまたとても可愛くて、侍女の方たちが羨ましそうにみておりましたわ。


 そうして、小1時間ほど時間が経った頃に夫と息子が部屋に戻ってきましたの。

 他に国王陛下と医師たちと学者と魔術師長も一緒でしたわ。


 夫が娘にまだ何も話していないから話をさせてくれと言いましたの。

 ・・・いけませんわね。

 肝心なことを話していないなんて。

 どうも私たちはおかしなことばかりしていたようですわ。


 夫が何があって娘が王宮にいることになったのかを話しましたの。

 娘は黙って聞いていましたわ。

 話を聞き終わり娘は首をかしげながら問いかけてきましたのよ。


「あの、魔力ってなんですか?」


 私はすごく驚きましたの。

 あの娘が? 魔力について解らない?

 え、なにを言っているの?


 魔術師長が娘に魔力について説明したけど、どうやら本当に解っていないようだわ。

 私は混乱しながら周りをみると、みんなは目と目を見交わしあっていましたわ。

 魔術師長が他にも分からないことはあるか聞いていましたの。


 なんでしょう?

 娘の言葉を聞きたくないわ。


「あの、私は・・・どこのだれで、何という名のものでしょうか?」


 娘の言葉に室内にいる人たちは騒ぎだしましたわ。

 私たちは娘のそばに行きましたの。


「セリア、私たちのことがわからないのかい?」

「ああ、なんてことでしょう」

「でもセリア、僕達のことお父様、お母様、お兄様って呼んでたよね?」


 娘の手を握ると涙が浮かんできましたわ。

 息子の問いかけに、娘は思い出すように、ゆっくりと答えていましたの。


「えっとね、名前は思い出せないのだけれど、お顔を見た時に、私のお兄様だと思ったの。もちろん、お父様、お母様を見たときも、そう思ったの」


 嬉しい答えを聞いて頬がゆるみかけて、でも笑っている場合ではないと引き締めましたの。

 きっと泣き笑いのような顔になったとおもいますわ。

 誰かが「記憶喪失?」とつぶやきましたの。

 陛下方は私に一礼して深刻な顔をして部屋を出て行きましたわ。

 私はベッドに腰かけて、娘を胸に抱き優しく髪を撫ぜましたの。

 息子も反対側に腰かけて娘の手を握っていましたわ。

 私たちは「大丈夫よ。大丈夫だからね」と言い続けていましたわ。

 そのうちに娘は眠ってしまいましたの。


 3時間ほどしたら娘が目を覚ましましたわ。

 私は心配で娘から離れることができずに、眠っている娘の手をずっと握っていましたの。

 起きた娘に水を飲ませ、一息ついた様子に安堵していると、私を見て小首をかしげて微笑みましたの。


 なっ、なんですの?

 なんでそんなに可愛いんですの。

 そんな顔をされたら・・・。

 ああ、駄目ですわ。顔が赤くなったのが分かりますわ。


 私の様子を見て小首をかしげながら、息子に目線で問い掛けていますけど・・・。

 息子も同じように赤くなってしまいましたわ。

 これは元気になったら注意しておかないといけませんわね。


 娘が空気を変えようと質問をしてきましたの。

 前の髪の色と今の姿を見たいということでしたわ。

 息子と顔を見合わせてしまいましたの。


 気を利かせた侍女が手鏡を持ってきてくれましたわ。

 息子が手振りで娘に鏡を見せようとするのを止めていましたの。

 先に前の髪の色のことを話しておくのでしょう。


 話しを聞いた娘は、どうやらピンと来ていないようでしたわ。

 そうして鏡で今の姿を見たら驚いた後、「かわいい」と小さくつぶやいていましたわ。


 しばらくすると、夫が戻ってきましたの。

 医師の診察は明日になったことと、もう数日王宮に泊まることになったことを娘に告げましたら、娘が泣きそうになりましたの。


 他の部屋になるけどみんなも王宮に泊まっていると教えたら安心したようでしたわ。


 夕食はこの部屋にて家族で食べることになりましたわ。

 きっと王妃か女官長の計らいでしょう。

 夫が娘を膝の上に抱き、私が食べさせてあげましたのよ。

 なんだかこういうのも楽しいですわ。


 夕食後、私たちは本当に今日一日可笑しかったことを自覚しましたわ。

 本当にそろいもそろって娘に名前を伝え忘れるなんて・・・。


 この後娘が眠るまで部屋にいたけれど、とてもいたたまれませんでしたわ。



16話です。


お母様の話終わります。


次はお父様の話です。

この国のことやフォングラム公爵家のことが少しわかります。


ということで、次もよかったらお付き合いください。


ブックマークをしてくれた方が90件超えました。

この話を投稿しはじめて7日目です。

こんなにたくさんの方に気にしていただけてとてもうれしいです。


馬鹿みたいに毎回ブックマークの話をしていましたが、100件を超えた時点で書く回数をひかえようと思います。

その後は50件か100件ずつ増えたら書かせてもらおうかな。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

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