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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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従兄話 オスカー8 問題解決について思うこと

僕はもう何と言っていいかわからなくなった。

僕はここに来る前は自分は出来る奴だと思っていた。自分と並べる同い年の奴なんていないと思ってたんだ。

それがどうだ。いとこのミルフォードは僕より視野が広くて大人でも一目置く意見が言えるし、彼、アルザスもミルフォードに聞かれたことの意味をすぐに理解して、必要な事だけ返している。


これが井の中の蛙というやつか。ほんと、世の中は広いや。


そんなことを思っていたら彼が訊いてきた。


「どうかしたの、オスカー様」

「いや、なんでもない」

「呆れたんだろう。サンフェリスの王子達とのあまりの違いに」

「そうだよね。自国の王子との違いに嫌気もさすよね」


って、何気にひどい事言ってるよな。お前たちには王子達を敬う気はないのか。


「あのさ、尊敬できない奴を敬う気になれるわけないだろう」

「そうだよ、オスカー。このままじゃ僕たちはあの救いようのないバカの側近にならなくちゃいけないんだよ。今の内に少しでも良くしようとしたっていいだろう」


ミルフォード言葉がひどい。

ん?あれ、じぁあ、あれは僕を貶められて憤ったんじゃなくて、王子をどうにかするいい機会だと・・・。


何て思ったらアルザスに背中を叩かれた。


「そんなわけあるかよ。こいつは自分が認めたやつ以外に対する対応はひどいんだから。一見穏やかで笑顔でいるから気付かれないけど、今回のように自分の内側の奴を攻撃されたら報復は徹底的にする奴だから」

「僕、口にだしてないよね」

「顔に出てるよ」

「なんか仲いいよね」

「ん?ああ、違うって。こいつに俺の地がバレて、こいつはこいつで俺とサンフェリスのいとこが似てるとかいって一緒に居ただけだって。あんなボンクラ王子の相手するよりミルフォードと話した方が楽しいし」


えっ、それって。

ミルフォードはアルザスのことを「余計なことを言うな」とど突いている。


へへっ。なんだ、そういうことか。


じゃれ合いが終わって真剣な話に戻った。


「アルザス、カークライトはどうしてる」

「俺にまで泣きついてくるからうっとうしい」

「だけど、わかってないんだね。自分が引き起こしそうになったことについては」

「ああ。お爺様も言っていたけど、説明しても意味を理解できてないんだと。それよりもミルフォードに嫌われたと泣き喚いてる」

「ハァ~、仕方がないな。僕がさとすしかないか」

「待てよ。それは最終手段にしとこうぜ」

「まだ、何か手があるのか」

「君達には手紙を書いて欲しいんだけど」

「公式に返事をしろと」

「いや、違う。俺が直接渡すから」

「私的にか。それで、何と書けばいい」

「一応、返事のていを擁して、別れの挨拶を」

「そんなんでいいのか」

「大丈夫だろう。ちゃあんとやったことを理解してから手紙を書けと加えててくれれば」

「ああ、そういうことか。じゃあ、下書きするから」

「僕は。何と書けばいい」

「オスカー様は思ったことを書いていいよ。あっ、でも、謝罪を受け入れるようなことを絶対匂わせない様にね」

「わかった」


僕とミルフォードは手紙を書き上げるとアルザスに見せた。言葉を直されたりしながらそれぞれ1枚の紙に書き上げた。兄上はずっと面白そうに僕たちを見ているだけだった。


その日はレグルス親子もこの館に泊まっていった。そして翌朝早くに王都に向けて馬で帰って行った。

それから10日後また王子から手紙が来た。今度は真剣に謝罪をしていた。ミルフォードにも前回とは打って変わった内容の手紙が来ていた。アルザスがうまくやったようだ。


僕たちはまた、王都に向かって馬車を走らせた。今度は軽量化の魔法を使って大急ぎで戻ったんだ。


王都に着いた翌日、王宮に行った。

謁見の間にて大勢の人に見られながらカークライト王子は僕とミルフォードに謝罪した。

それから、もう3日彼らと交流をして僕たちはサンフェリスに帰国したのだった。


帰国して間をおかずにミルフォードから手紙が来た。あの後の王子達の様子とアルザスのことが書かれていた。最後におまけのように問題が書いてあった。僕はその問題を解くとすぐに手紙を書いた。そして最後に同じように問題を書いておいた。


それから約1ヶ月後またミルフォードから手紙が来た。最初に前回僕が解いた答えが合っていたことが書いてあった。次に僕が送った問題の答えが書いてあった。それから、近況について。セリアテスが可愛い話がほとんどだったのには笑った。そして、また問題が最後に書いてあった。


また前回のように問題を解いて答えを書く。それから、ミルフォードが書いた答えが合っていることも書いておく。そして近況を書いた。


僕たちは約1月おきに手紙のやり取りをしたんだ。

そして、1年に一度はリングスタットに行った。

そんなことがあの後4年間続いたのだった。

僕はずっとこれが続くと思っていたんだ。



168話です。


とりあえずカークライトが引き起こした事件が片付きました。


・・・それからオスカーにも変化が起こりました。自分についてわかったようです。


他に何かあったかな?

思ったよりオスカーの5歳話が長くなりました。この後、今につながる話になります。


では、次話で。


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