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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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従兄話 オスカー7 手紙について思うこと

交換した手紙を読み終わると僕は溜め息を吐いた。ミルフォードとまた手紙を取り換える。

うん。予想通りの内容だった。失言を謝っているのと、もうこんなことはしないと、ミルフォードに許して欲しいと、帰ってきてほしいと・・・。

延々と続いてるんだもん。いい加減にしろよな。


「で、どうするの」

「なにが」

「懇願してんじゃん」


それには何も答えずにミルフォードは笑顔を見せた。


「オスカーは。謝罪を受け入れるの」

「それは・・・」


つい、答えを言い淀んでしまう。きっと言わなくてもミルフォードはわかっているよね。


「それは?」


おい!言わせる気かよ。ここには僕達だけでなくてみんないるんだぜ。

仕方ないから渋々口を開く。


「受け入れたくないけど、受け入れるしかないだろう」

「そうなんだ。でも、駄目だよ。まだ、早いよ」


思わず口があく。その僕の手から兄が手紙を抜き取った。読んだ後姉に渡しながら言った。


「ミルフォードに賛成。言葉は真摯に見えるように並び立てているけど、真剣みが足りないね」


その言葉を聞いてミルフォードも自分が持っていた手紙を兄に渡した。


「なんだこれ。謝る振りして懇願だけじゃん。反省してないよね」


どれどれという感じに手から手に手紙がわたっていく。手紙を読んだ叔父上がミルフォードに訊いたんだ。


「お前はどうするんだ」

「まだ、反省してないようですから、ほうっておきます」

「いいのかよ」


つい、声が出ていた。それにミルフォードが笑顔をみせる。


「いいのですよ。ここで甘い顔を見せたらつけあがりますから、一度とことん落ち込ませましょう」


その言葉に最後に見た王子達の姿が思い浮かぶ。


「ブッ」


思わず吹き出してしまった。


「どうしました、オスカー」

「あっ、いや、最後に見た王子達の姿を思い出した」

「ああ。アルフレッド王子は呆然としてて、カークライトは涙でグシャグシャな顔をしていたというあれですか。そんなに笑えるのなら僕も振り返って見ておけばよかったな。その方がダメージも大きかったかもしれないし」


こいつは~。やっぱり良い性格してんじゃんか。

はあ~、あの王子達じゃ太刀打ちできないだろうな。もしかして一番敵に回してはいけない奴はこいつか。

そんなことを思っていたら、ミルフォードがにこやかに笑ってきた。


「何か失礼なことを考えてませんか、オスカー」


慌てて僕は首を横に振ったのだった。


あの日から20日。ここについて10日目の事だった。父がフォングブルクに戻ってきたのは。

父が言うにはすべてこちらに任せてもらえることになったそうだ。

最初父から話を聞いたベルンハルト陛下はたいそう怒り、リングスタットに宣戦布告すると息巻いたそうだ。それをミルフォードが戦争を起こさないために動いたことを聞いて自分を恥じて、その後はミルフォードの案を支持すると言われたとか。サンフェリスが過激な行動に出ないとわかって、僕はホッとした。


そして同じ日、フォングラムの館には来客があった。

宰相の息子で、母と学園で同級生だったコンラート・ディナン・レグルスという人だった。彼は息子で僕たちと同い年のアルザス・ルーファニア・レグルスも連れてきていた。


父や叔父達が話しをしている間、僕たちはアルザスと一緒にいた。僕たちはコモナー氏から講義を受けているところで、それに彼も入って来たんだ。最初は解るのかよって思っていたけど、彼は難なく理解して質問までしやがった。それに、楽しそうにコモナー氏が答えていたのには軽いショックを受けたんだ。


講義が終わった後、ミルフォードと楽しそうに話す彼の姿を見て、こいつもミルフォードのことが好きなんだと思い嫌になった。そんな僕の気持ちも知らないで彼が話しかけてきた。


「今回はご愁傷さまだったね。あのバカにはいい薬になったといいたいけど、ちゃんと理解してないから無駄になったね」


あれ? こいつ、なに?


「やはり理解してないのかい」

「そう。って、なんで、知ってるのミルフォード」


ミルフォードはどこからかあの手紙を取り出して(僕の分も)彼に渡したのだった。

彼は黙って読んだ。読み終えると手紙を僕に渡してきた。


「アルザスはどこまで聞いてるの」

「カークライトがとてもひどい暴言を吐いて、そのせいでサンフェリス国と、戦争になるかもしれないってことかな。フォングラム公爵家もサンフェリス国に味方するために領地に帰ったとか」

「それは噂。それとも真実として流れているのかな」

「前半は真実として。あの場にいた近衛が大臣たちの前で証言したからね。後半は噂だけど、かなり信憑性が高い噂になってるよ」

「そうしないためにここにいるのに。政府高官もボンクラばっかか」

「まだ、お爺様がいるから大丈夫だよ。父も陛下から内密に頼まれているし」


そう言って彼はニヤリと笑った。



167話です。


・・・。

なんでアルザスがいるんだっけ・・・。

ああ、そういえば、ミルフォードだけじゃなくてオスカーとも仲がいい設定にしていたっけ。


おお、オスカー偉いぞ。

作者も忘れかけてたことを思い出させてくれて。


と、いうところで、また、次話で。


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