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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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従兄弟 オスカー4 馬車の中で思うこと

ミルフォードはまだブツブツ言っている。

今回僕が来るのが楽しみだったとか、カークライトのバカぶりに呆れたとか言ってるけど。

うぬぼれ、じゃないよね。

ミルフォードは僕のことを好いてくれているんだよね。


「あのさ、ミルフォード。君って本性を隠してるの」

「はあ~。オスカー何か誤解してない。別に隠すほどのものは持ってないつもりだけど」

「うそだ。だっていつもニコニコして穏やかな振りして、それがあんな・・・」


冷たい目。こいつがあんな目をするとは思わなかった。もしかしてあれがこいつの本当の姿。

ミルフォードが溜め息を吐いた。


「穏やかな振りなんてしてないよ。・・・そうか、そんなに冷たい目をしてたんだ」


そういったこいつは落ち込んでいるように見える。

えっ、さっきのあれは、演技だったとか。

ミルフォードがもう一度溜め息を吐いた。


「さっき言った下手したら両国が戦争になりかねないっていうのは本当だけど、本音は僕のいとこを侮辱しやがってこの野郎!って気持ちが強かったんだよ」


そらしていた視線が交じ合った。

どちらからともなく吹き出していた。


「君ってバカなの。王子の側近の座を捨てるほどの事じゃないだろう」

「オスカーもバカだろ。頭良いくせに周りが見えてないよね」

「大きなお世話だよ。いいのかよ。今頃王宮は大騒ぎだぞ」

「別にいいよ、そんなもの。いとこと伯母を馬鹿にされて黙ってられるか」

「まあ、そうだよな。部屋を出る時のあいつらの顔・・・」

「もしかしてみたの」

「ちょっとだけ。アルフレッド王子は呆然とした顔をしてて、カークライト王子は涙でグシャグシャな顔をしていたよ」

「これに懲りて反省してくれればいいのだけど」

「反省したら許すの」

「どうしようかな。その前に父や伯父上の出方しだいかな」

「お爺様もいるよ」

「そうだった。忘れてた」


2人で顔を見合わせた。そして、お互いニヤリと笑ったのだった。


「「ねえ、どうしようか」」


僕たちの声がピタリと合わさったんだ。


「それじゃあ、家に帰って報告だね」

「オスカーはしゃべるなよ。僕が何があったかいうから」

「・・・父上達すぐに帰って来るかな」

「帰って来るだろうね。ついでにアーマド叔父上も来るんじゃない」

「うっ。そこまで広がるかな」

「そうだな。このことで王宮に激震が走っただろうね」

「まあ、仕方ないか。ほんと解ってなかったよね、あいつ。家は代々続いた公爵家じゃないのに」

「判ってないからああいうことを言ったんだよ。それで、どう提案した方が丸く収まると思う?」

「それ、大人に丸投げでいいんじゃない」

「それをしたら父上達は容赦なく王家を追い詰めるよ。とにかく戦争にならないようにしないと」

「うん。ミルフォードは何かいい案があるの」

「いい案ってほどじゃないけど・・・。さっきさ、フォングラム公爵家に対する侮辱としてきただろう」

「うん」

「だから、父上達を説得してしばらく出仕を控えて貰おうかと思って」

「・・・それをするとどうなるの」

「たぶん、外交に支障が出るだろうね」

「叔父上ってそんなにすごいの」

「ん~、父もそうだけどお爺様の手腕が凄かったそうだよ。今でも、この国に来た大使達が王宮より先にうちに挨拶に来るとか、わざわざお爺様の所に寄ってから王都に来たり帰郷するとか言われてるし」

「・・・そんなに凄かったの、お爺様」

「うん。フフフッ。そうだ、出仕しないのなら領地に戻っていた方がいいよね。今年はまだ領地に行ってないし。うん。セリアにも領地の空気を味あわせてあげよう。フフフッ」


って、笑っているけど。

おい、ミルフォード。なんか、笑みが黒いんだけど。

いいのか。それで。


フォングラム公爵家についてひとまず居間で(母上達の問いをかわしながら)くつろいでいると、父上達が戻ってきた。ミルフォードが言ったとおりアーマド叔父上とルートガー公爵も一緒だった。

ルートガー公爵はミルフォードの母のミリアリア叔母上の妹と結婚しているから親戚なんだけど、もしかしなくてもかなりまずいことになってるのか、あいつ!


皆が揃っている前でミルフォードが何があったのか話している。

ちゃんと客観的に話してくれていたと思う。

隣で聞いていた僕もそう見えたんだと思うくらいに淡々と説明していた。


まず、僕が昨日の事をカークライト王子に謝罪したこと。きちんと謝罪して王子も受け入れたこと。それから王子が調子に乗り出して、僕のことを貶めるような発言をしたこと。

王子が「サンフェリス国はずいぶん臣下に甘い国なんだね」と言ったと告げたら、父の眉がピクリとした。続けて「子供だからまだ礼儀も何もなっていないのか」発言には母上の眉もピクリと動いた。

そして、僕が反論をしないで黙っていたら「ああ、そうだ。君の母親は父上に選ばられなかったんだったよね。年上で気が強くて自分至上主義の女だったって。そんなだから子供のしつけもできないんだね」と言ったとミルフォードが告げると、祖父母と叔父上達から怒気が立ち上った。


その後のミルフォードが立ち上がって言った王子達とのやり取りを告げてミルフォードの説明は終わったのだった。



164話です。


天然腹黒で会ってるかな? それとも無自覚腹黒かな?

えっ? どちらも同じ。 はい。すみませんでした。


というか、王子様は? さわやか王子様をどこにやった。

私の恋心を返せ~!


という、ボケは置いておいて。

うん。何か仲良くなってきたよね。


それでは、次話で会いましょう。


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