母話1-2 娘の変化と、暴走と
お母様
お、お母様はね・・・
という話・かな?!
娘が目を覚ましたと連絡がきたとき、夫と私は両陛下と話をしておりましたの。
もちろん娘のことについてでしたわ。
今まで娘に起こったようなことは、聞いたことはございませんし、文献にもないことでしたの。
なんといってもプラチナブロンドという髪の色は今までに1人もいなかったらしいのですわ。
結局何も答えがでないまま黙り込んだ時に、その知らせを受けましたの。
すぐに夫と私は娘の所に向かいましたわ。
不安に駆られていたのでしょうね。廊下を歩きながら夫と口論をしてしまいましたわ。
つい、夫をなじるようなことを言ってしまいましたの。
夫の横顔は余裕があるように見えて、心配していたのは私だけのようにおもってしまいましたのね。
廊下を歩きながらの私たちの口論に、すれ違う人が驚いていましたわ。
でも、そんなことに気が回りませんでしたの。
・・・そうですわね。私、疲れていたのだとおもいますわ。
そうして部屋に辿り着き、私は娘を見て驚いて立ち止まってしまいましたの。夫も同じように立ち止まっていましたわ。
娘が泣いておりましたの。それも息子に縋りついて。
私たちを見て一瞬驚いたようにも見えましたが、すぐにまた泣き出してしまいましたわ。
「お、おかあしゃま・・・」
可愛い声で私に呼びかけ、左手が私の方に伸ばされましたわ。
私はすぐにそばに行きましたら、娘がしがみついてきましたの。
おもわず、体がビクッとしてしまいましたの。
私はどうしていいか分からずにおずおずと抱きしめましたわ。
「おかあしゃま?」
と私の顔を見上げながら呼びかける娘が可愛くて、
「セリア!」
と一言言ってギュッと胸に抱きしめてしまいましたの。
自然と涙が溢れてきて私も泣いてしまいましたのよ。
そうしていたら、夫と息子の会話が聞こえてきましたわ。
「ミルフォード、これは一体・・・」
「父上、セリアは目覚めたときに知らない所にいたので、混乱したようです。私が部屋に入った時に私の顔を見て安心したのか、泣き出してしまいました」
夫がそばに近づいてきましたの。
私の左肩に片手を置き、セリアの頭をもう片方の手で優しく撫でていましたわ。
「おとうしゃま」
娘の呼びかけに夫が固まったのがわかりましたわ。私の肩に置いた手に少し力が入りましたもの。
「何だい、セリア」
「あのね・・・ここ、いやなの。・・・ウウッ、・・・おうち、かえるの~」
夫と目を見交わすと、夫の言いたいことはわかったので頷きましたの。
「わかったわ、セリア。すぐに家に帰りましょうね」
私の言葉を合図に夫と息子は動きだしましたの。
夫は扉の外にいた我が家の執事に馬車の用意を言いつけましたわ。
息子は大きなショールを見つけて私の所に持ってきましたわ。
「母上、これでいかがでしょう?」
「ええっ、これならいいでしょう」
「セリア、すぐ帰ろうな」
娘を大きなショールに包み夫が抱き上げて、部屋を出て行こうとしましたら、侍女に遮られたのですわ。
もう1人の侍女の姿が見えないので、誰かに知らせに行ったのでしょう。
足止めされて機嫌の悪い夫に責められて、侍女が青ざめていくのがわかりましたわ。
廊下に出ると急いでこちらに向かってくる方達が見えましたの。
夫が舌打ちをして、反対方向に向かって歩き出しましたので、息子と共に後をついていきましたわ。
後ろの方から何か言っていらっしゃる声が聞こえますが、無視することにしましたわ。
娘の願いを叶えることのほうが大事ですもの。
廊下の角を曲がったところで夫の前に女官長が立ちはだかりましたわ。
夫が対応していますが、彼女の言葉は正論過ぎて看破できそうにありませんでしたの。
私も夫に加勢しましたが、こちらの言い分を聞いてくれませんでしたわ。
私の友人なのにあんまりですわ。
気が付いたら、女官長の後ろに近衛騎士がおりましたの。
後ろから来た人たちにも追い着かれてしまいましたわね。
あら、国王陛下も彼らの後ろから現れましたわ。
また夫が舌打ちをしましたの。不機嫌なのを隠そうともしていませんわね。
陛下も夫の顔を面白そうに見ていましたわ。
結果としては、部屋に戻ることになりましたわ。
国王陛下の御言葉には、逆らえませんもの。
まあ、無理を通そうとしたことは解っておりましたものね。
15話目です。
順調に話が進んで(?)います。
展開的には足踏みしてますが、家族目線が終わらないと次に進めないので、もうすこし気長にお付き合いください。
お母様の暴走は7日間の心配の裏返しです。
あと、すごく疲れています。
自覚してないけど・・・。
次回もお母様目線です。
今回もお付き合いくださりありがとうございます。
ブックマークをしてくれた方が80件超えました。
とてもうれしいです。
それでは、次回で。




