13-15 ・・・理不尽。・・・不機嫌になってもいいですか
フォンテインの大神殿? この前も言っていましたが、そこが女神様を祀る総本山なのでしょう。
神官長の言葉におじい様がニヤリと笑いました。
「女神様が大神官にお言葉を届けてくれたのだな」
「はい。それで詳しく話を訊きたいと言ってまいりましたが、こちらの状況を伝えまして、落ち着きましたらこちらから連絡すると返しておきました」
「そうか。わかった。今セリアテスから民衆にただ移動をしろと言っても、指示に従わないだろうといわれての。そこで、神殿より何時から発表がある事と、聖光は女神様が降臨なさったということも伝えたらどうかと言われたんだが、レオポルド神官長はどう思う」
「確かに、先にそこまで情報を与えておけば、民衆も指示に従うことでしょう。ですがよろしいのですか」
「セリアテスが隠せないのなら発表するのも手だと言ったぞ」
「セリアテス様が・・・。わかりました。お言葉に従います」
「では、何時に発表するかの」
「午後の3時でどうでしょうか」
「騎士団長。王城にいる騎士たちに民衆に伝えて誘導させろ」
「はい」
騎士団長は一礼して部屋を出ていきました。
神官長は持ってきた魔石をテーブルに並べました。私も一緒に見ました。色がついた魔石があります。
青、赤、黄、緑、水色、オレンジ色、紫色、桃色。色の濃淡がありますが大体この8色に別れます。それから、色が付いていない透明なもの。これは何色と云えばいいのでしょうか?
「やはり青いものから選んだ方がよろしいですか」
「そうだのう。セリアテスはどう思う」
おじい様が私に問いかけてきます。私は無意識に魔石に手をかざしながら考えます。
「広場に声を届ける。声を伝えるのは・・・空気の振動?・・だっけ。青の濃いものは水の気配が強い。赤は火。黄は・・・雷?あっ、でもこれは違う。土?・・・これとこれに強い風の力を感じる・・・。でも透明なのは純粋な魔力を感じるわ。じゃあ、これでもいいのかしら?」
小さくつぶやきながら魔石を1つ1つ見ていきます。その中に薄い緑?碧?翠?の魔石と薄い水色の魔石にに強い風の力を感じます。
これだと思い顔をあげておじい様の顔をみました。おじい様は驚愕の表情で私を見ていました。
「おじい様?」
「あっ、ああ。その魔石か、セリアテス」
「はい。この石とこの石に強い風の力を感じます。風の力を使えば声を遠くに届けられますよね」
「そうだな」
「いくつの広場にスピーカーを設置しますか。その数に分けないといけませんよね」
「ああ。セルジアス」
「神殿前広場も入れて念のため10カ所に設置するつもりだよ、セリア」
「そうですか。じゃあ11個に分けなくてはならないですね」
先程から人の出入りがひっきりなしです。
私は、ふと、思い出しました。そういえば今は何時になったのでしょう。と。
時計を探して部屋の中を見回しましたら・・・ありました。
ボードの上に手の込んだ飾りのついた置き時計がありました。
「11時56分」
なのですね。
「あら、もうそんな時間でしたのね。リチャード卿、一休みしませんこと」
「だが」
「セリアテスを休ませましょう」
「私は大丈夫です。それよりも、聖堂のみなさまはどうしてますか」
「まだ、動けないから待機しているはずよ」
「みなさまに飲み物やお食事は」
「ああ、そうね。どうしましょう」
あら、みなさまが顔を見合わせて悩んでいます。
「各家に連絡させて軽食を届けさせますか」
「いや、逆に混乱させるだろう」
「神殿で用意はできませんの」
「この人数では作るのに時間がかかりますし、その前に材料が足りますかどうか」
そっか、備蓄しているものがそんなにないのでしょう。
「それに皆様の口に合うものをご用意できるかどうか」
「王宮から料理人を呼びますか」
「それも時間がかかるだろう」
えーと、とりあえず軽食でいいのよね。じゃあ。
「あの、民衆にお願いしてパンを届けていただいたらどうでしょうか」
「はっ? 民衆に?」
「だって広場に集まっている方々のせいで身動きができないのですもの。多分3時から発表があると言っても動かない方はいますよね。ですが、こちらからお願いすればそのために動いてくださる方がいるのではないですか。もう、女神様が降臨したと話しているのですよね。なら、女神様の愛し子の私が、望んでいると云えば用意してくれませんかね」
言っているうちになんか理不尽におもいました。つい、投げやりな口調になっちゃいました。
王妃様まで、口をあんぐりと開けて私を見てます。
おじい様が私の顔を見て訊いてきました。
「セリアテス。その、いいのか」
「ええ。どうせこのあと話すのなら、今でも後でも変わりませんもの。使ってください」
どうにでもなれという気分のまま言ったら、おじい様が笑い出しました。
「クックックッ。女神様の愛し子様がお怒りじゃ。皆の者。民たちにも手伝わせるとしよう。広場前が空いたら、聖堂にいる貴族は一旦家に帰す。どうしても残るというのなら、しばらくは王宮に出入り禁止とする。よろしいか、国王陛下」
「はい、構いません」
あら、私が不機嫌なのがわかっちゃいましたか、おじい様。
152話です。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
前話の151話の後書きに言葉を書くのを忘れました。
これでわかったと思いますが、私は今、話数を入れて予約をしてから、編集で後書きを書いてます。
でないと、補足があった時に忘れてしまうことがあって・・・。
そんなのいらないとか言わないでくださいね(笑)
神殿話、伸びましたね。入れておきたい話があとからあとから湧いてくるんですよ。
だから、ここで信奉者はいらないのに・・・。
増やしてどうする!(-"-)
活動報告にも書きましたが、ちょっと頑張り過ぎたのか疲れてきたので、神殿話が終わったら更新のペースを落とします。 毎日はちょっと無理かな? そろそろまた、見直しに入りたいので。
あっ、補足!
最後の所でセリアちゃんが不機嫌になりましたよね。理不尽の投げやり口調!
セリアちゃんが気がついたんですね。なんでこうなっているのかに。
で、ああなったと!
あっ、わかりません? 最後の方の言葉の情景を思い浮かべていただければわかると思います。
それでは、また次話で。




