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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
152/444

13-14 民衆を・・・誘導するには・・・

私の言葉に何とか声を絞り出した方がいます。


「ですが、魔石は声を伝えるもので・・・」

「違うのではないですか。魔石は目印みたいなものだと思いますけど」

「目印?」

「魔石を割ったものは元が同じものだから引き合います。それを媒体にするように遠話の魔道具が作られたのではないですか。ならば複数の物に同じ魔石を使えば同じ効果が得られるとおもいます」

「だが、それでうまくいくのか。スピーカーからの声の大きさの調整などは・・・」

「みなさまは、何のために魔法があると思っているのですか。それは私達が調整すればいいのではないですか?」


私がそう言いましたら、みなさま呆然となさいました。その中から笑い声が聞こえてきました。


「クククッ。そうだのう。何を難しく考えていたんだか」


おじい様が廊下の扉を開けました。


「ユーリック来てくれ」


あれ、執事長も来ていたのですか。クリスさんだけでなくて?


「お呼びでしょうか、リチャード様」

「今セリアテスから聞いたのだが、こういったものが作れるか」


そう言って私が言ったスピーカーの説明をしています。用途も含め説明を受けた執事長はあっさりと頷きました。


「ええ、作れます。簡易でいいのなら材料が揃えば、30分で出来るでしょう」

「そうか、じゃあ、まずは人数の把握か。おっ、いいところに。騎士団長。民衆の大体の人数はわかるか」

「報告によりますと神殿前広場に入りきれない者が通りに溢れています。神殿から1キロ以内の道は路地裏まで埋め尽くされているとか。今は大体3万人くらいですかね。まだ、神殿に向かってくる者もいるようです」

「誰か王都の地図を」


神官?の方が部屋を走って出ていきました。

お父様がおじい様のそばに来ました。


「神殿前広場には1万人は入れますね。ここから一番近い広場がメルク広場で大体5千人くらいですか。次にバヤン広場も5千人。それから・・・」


収容人数の把握ですか。さすがお父様です。


「魔石は。それなりの大きさの方がいいのでしょう。神官長、程よい大きさの魔石はございませんの」


おばあ様もおじい様のそばに寄り会話に加わりました。

おばあ様に問われた神官長が頷きました。


「お待ちください。すぐにお持ちいたします」


神官長も部屋を出ていかれました。入れ違いにさっきの神官の方が紙の束を抱えて戻ってきました。

お父様達はテーブルの方に行きます。テーブルの周りに座っていた子供たちはみんな立ち上がり隅の方にいます。

そのテーブルの上に地図を並べていきます。

・・・だから大きい紙を作りましょうよ。そんなパズルみたいに並べないで・・・。

いや、もっと縮尺の小さい地図を作ればいいじゃん。彼女が習った日本地図。あれみたいに国全体から、都道府県別、または市町村別みたいなやつ。その土地の駅前には繁華街の地図があったりしたじゃん。そういう用途別のを作ろうよ~。


おじい様が騎士団長に民衆の誘導の話をしています。

と、顔をあげて王様達の方を見ました。


「いつまで呆けているんだ。動く気がないのなら部屋から出ていろ!」


おじい様が一喝しました。

その声に我に返ったみなさまがテーブルの周りに集まります。


「申し訳ありません、リチャード様。ご指示をお願いします」

「やることは3つ。まずは民衆の移動。これは外から誘導させる。次に簡易スピーカーの作成。これはユーリックが分かるから彼の指示に従ってくれ。そして王城に連絡して魔術師長以下魔術省の職員を呼び寄せろ。他は、またあとから考える」

「わかりました。宰相、王宮に連絡してくれ」

「はい」


みなさまが動き出しました。おじい様とお父様が騎士団長と民衆の誘導について話しています。

私はそばに行きました。


「おじい様、準備にはどれくらいかかりますか」

「そうだの、早くて1時間かのう」

「民衆に他の広場に移動してください、だけでは動いてくれないと思います。なので、今から2時間後に神殿から発表があるから広場に集まるようにと言う風に、伝えたらいかがでしょうか。それとその時どこどこの広場に行けば声が聞けると云えば、みなさま近い所に集まっていただけるのではないでしょうか。それから、聖光を見て集まったのなら女神様が降臨なさったことも先に伝えたらどうでしょうか」

「フム。確かに一理あるの。だが、いいのか。セリアテスのことも話すことになるのだぞ」

「隠しても貴族の方は知っていますし、各国の大使方もいらっしゃいました。隠せないのなら堂々と発表してしまうのも手ではないかと思います」

「フッ。さすが、わかっておるの。安心せい。女神様にも言われたからな。セリアテスはわしらが守るからの」


おじい様、その笑顔は・・・凄みがあります。


神官長が戻ってきました。


「リチャード様、フォンテインの大神殿より連絡がきました。女神様がお声をお届けになられたそうです」

「ほう。して、なんと」

「はい。セリアテス様が女神様の愛し子であること。セリアテス様の自由を妨げることを禁ずること。女神様の御名を偽りの名で騙り、女神様の神意を捻じ曲げた者たちに罰を与えるように。とおっしゃられたそうです」



151話です。



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