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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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12-10 体が弱くなった・・・気がします

最初はみなさまの言い合いに目を丸くして見ていましたが、疲れていたのかだんだんボーとしてきました。


「あれ、セリア」


そう言ってお兄様がそばに来てくれました。ソファーの後ろに立って私の額に手を当てます。


「やっぱり。少し熱が出たかな」


その言葉にみなさま大騒ぎとなりました。


「大変だわ。誰か、叔父様達に連絡を」

「誰か部屋を用意するんだ」

「大丈夫、セリア。辛かったら言ってね」

「とりあえず横になったほうが・・・」


みなさま右往左往しています。お兄様が私の前にきて顔を覗き込んできました。


「辛い?セリア」

「いえ、ボーとします」

「横になる?」

「・・・横になると起きれなくなりそうです」

「じゃあ、どうしようか」

「・・・お兄様、肩を貸していただけますか」


小さな声で言ったら隣に座ってくれました。お兄様の肩に頭を預けます。そのまま目を閉じました。

ほー、と、息を吐き出しました。

ああ、そうか。私は昨日から緊張していたのね。

お兄様の隣は・・・安心します。


周りが何か騒いでいますが、お兄様が「シー!」と言ったら静かになりました。

そのまま私は眠ってしまったのでした。


目が覚めた時にはベッドの中でした。部屋には誰もいませんでした。

額には濡らした手巾が乗せられていました。

う~ん。無理をしたつもりはないのですが、知らないうちに無理をしていたのでしょうか。

ベッドに起き上がって・・・着替えさせられていました。パジャマです。

両隣にクマとウサギのぬいぐるみがありました。

思わず笑みが浮かびます。起きていると少しクラクラするので、熱が出ているのでしょう。


前の私はこんなにしょっちゅう熱をだしたのかな。

それとも、変わってから弱くなったのかしら。

う~ん。考えても仕方がないですね。


もう一度ベッドに寝ます。

そういえば、あれはなんだったのでしょう。


『オスカー・エルハルト・サンフェリス。サンフェリス国の第2王子!』


突然浮かんだあの言葉。

おかしいわ。あのゲームにはサンフェリス国の第2王子は出ていなかったわ。

じゃあ、ここは乙女ゲームの世界じゃないの。

偶然似ただけの世界なの。

わからないわ。どうやったらここが乙女ゲームの世界なのかそうじゃないのかわかるのかしら。


その時扉を叩く音がしました。


「はい」


返事をするとお母様が部屋に入ってこられました。


「目が覚めたのね、セリア。気分はどう」

「熱のせいかボーとします」


お母様が額に手を当ててきました。


「そうね。先ほどより熱があがったかしら。どうしましょう。このまま王宮に泊まった方がいいかしら」

「それは・・・。できれば家に帰りたいです」

「そうなの?王妃様はこの部屋を好きに使ってくれていいと言っていたのよ」

「でも、うちの方が落ち着けるので・・・」

「わかったわ。うちに帰りましょう。それより水分をとりましょうか」


お母様の言葉に人が部屋から出ていく気配がしました。寝ている私からは見えなかったのですが、侍女の方がいたのでしょう。お母様に支えられながら身をおこしました。お母様の顔を見て安心したのか体の力が抜けています。水を飲みまた横になります。そういえばみなさまはどうしたのでしょうか。


「お母様、伯母様たちは」

「皆他の部屋にいるわ。男の方はまだ会議中ですけどね」

「・・・あの、お母様。先ほどの服の説明。あれは・・・あれでよかったのですか」

「何か変だったかしら」

「だって、御前会議だったのですよね。ファッションショーをしてる場合ではなかったのではないですか」

「大丈夫よ、セリア。ちゃんと必要なことだったのよ」

「えっ?」

「今、お父様達が話し合っているのは学園のことなの。あなたも言っていたでしょう。今の服では有事の際にすぐに行動ができないと。だから、あの服を作ったのよね。この後7年で学園の生徒を。いえ、それだけではないわね。魔物の大量発生が起こるなら、7年後までに戦えるように準備を整えなければならないわ。学園に通う子供たちの指導はもちろん、私達貴族も先頭に立たなければならないでしょう。国民にもいざという時のために対処法を考えなくてはならないわね」


お母様の言葉に血の気が引いていくのがわかりました。もしかしなくても、私の一言から大事になっています。もし、魔物の大量発生が起こらなかったら、どうなるのでしょう。


「お、おかあさま」

「大丈夫よ。そんな顔をしなくてもいいのよ。そうね、セリアはまだ知らなかったわね。記憶を失くす前のセリアも知らなかったはずだわ。お爺様がおっしゃっていたでしょう。この世界には魔物がいて、何年かごとに大量発生が起こっていたって。でも、お爺様が参加なさった討伐から40年以上起こっていないのよ。そろそろ起こってもおかしくないのに、私達は平和に慣れ切ってそのことに思い至らなかったの。だからね、あなたの言葉はちょうどいい警鐘になったのよ。それにこの国だけでは済まないかもしれないわ。そうなると全世界にも公布しなければならないでしょうね」



133話です。


さて、ゲームフラグ?です。オスカーはゲームの攻略キャラなのでしょうか?


今回のセリアちゃんが熱をだした話。私の体験を思い出して書きました。

私は子供の頃、何かイベントがあると毎回その後に微熱をだしていました。

遠足、運動会、史跡や工場の見学、キャンプ(今は宿泊訓練ですかね)、修学旅行。

そう、全部校外に行くイベントです。熱をだして行けなかったということはなかったのですが、帰ってきたら必ず熱をだしてました。ただね、一晩寝ればケロリと治っていたんですよ。

翌日寝込んだのは、小中のキャンプのあと。親は山の中と家の辺と気温が違ったから軽い風邪を引いたんだろうといってましたねぇ。

だから、自分が身体が弱いと思ったことはなかったんですよ。

大人になって子供の頃の話が出た時に、「あなたは体が弱かったから心配したのよ」と言われて、「そんなことなかったよ」「いーや、弱かった」のやり取りのあと、↑を言われて・・・。

そう言われれば、そんなこともあったな。あれ、会社勤めしてた頃、土、日にたまに寝込んだのって・・・。えっ?うそ。

メンタルは強い方だと思っていたけど、全部身体に出てたんですね。

親には感謝しましたね。熱をだした時に何も言われなかったんですよ。私が「疲れたから早く寝るね」に「お休み」の一言だけ。何かいうともっと熱を出すのがわかっていたからだ、そうです。

「病は気から」を体現したような子供だったそうです。


思い出話はそろそろやめましょうか。


それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。

また、次話で会いましょう。

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