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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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1日目の真夜中の2 人には言えない検証は、まだまだ続く……

 住んでいたアパートが、火災に見舞われたから、腐女子として隠したいものは焼けてしまったと思いますわ。

 それだけでも、安心して死ねたと思いますのよ。

 ただ、両親には先に死ぬという親不孝をしたな、と思ったのが最後の記憶でしたわね。


 そうよ。

 これだけなら、記憶を無くすことは、なかったわ。


 もう、本当になんですの!

 あの乙女ゲームというものは!!!

 乙ゲーは! 彼の国が舞台の話ならまだいいですわ。

 ツンデレ話もヤンデレ系もかまいません。

 でも、あれはないと思いますのよ。


 我が国みたいに王侯貴族がいる世界で婚約者のいる方と恋愛して、最後に告白されてハッピーエンドだなんて、私たちを馬鹿にしていますの?

 それも、もっとひどいのは、ハッピーエンドでも悪役令嬢が身分剥奪の上国外追放!!

 バッドエンドでは、しょ、処刑って! 怖すぎですわ。


 確かにそうなるゲームは悪役令嬢と呼ばれる王子の婚約者の公爵令嬢が、ヒロインに数々の嫌がらせをしていましたが、あれは公序良俗をわきまえないヒロインと、婚約者を顧みない王子が悪いのであって、悪役令嬢と呼ばれなければいけないほどのことはしていませんでしたわ。


 ……確かに一部のゲームでは、悪役令嬢と呼ばれるにふさわしい行動をしているものもありましたけど……いっ、一部でしたし!


 さらにもっとひどいのは、逆ハーエンドです。

 これは馬鹿にしているレベルではありません。

 国家転覆レベルですもの。


 次代の国を背負うと目される優秀な方々が、ヒロインに誑かされて、身を持ち崩すなんて。

 本人たちにそんな気持ちはないでしょうけど、こんな方たちが国政を握ったらと考えると、もう恐ろしくて、恐ろしくて……。


 それにネットで読んでいた物語もいただけなかったのですわ。

 転生もの、前世の記憶もち、チート能力のお話は様々で、非常に興味を惹かれるものがあったのは事実ですわ。


 中には悪いことをしていた悪役令嬢が断罪されたり、実は冤罪でヒロインや攻略者たちを逆に断罪してみたり……といろいろな話がありましたわね。


 うっ……ヒロイン断罪もので胸がスカッとしたなんて申しませんわ。


 コホンッ。


 でも、彼女はいろいろ読まれていまして、似た話ばかり読まれていたので、困惑に拍車をかけましたものね。


 ええ、そうなのよ。

 あまりにも乙女ゲームの話にショックを受けすぎまして、記憶が吹っ飛びましたの。


 仕方ないですわよね。今まで信じていた価値観を全否定されたように感じましたもの。

 それに、悪役令嬢と呼ばれた公爵令嬢の性格にもショックを受けましたし。

 ゲームに出てきた悪役令嬢は揃って、高飛車で高慢ちきで我儘なお嬢様でしたわ。


 私、公爵令嬢だし、言われてみれば、ゲームに出てきた令嬢みたいに高笑いしていたし、思い当たることがいっぱいで……。


 ああーーーーー。

 穴があったら入りたい!

 いえ、すべてを、忘れてやり直したい!!!


 そう、思いましたの。


 ええっ、思いましたのよ!


 だから……


 だから……


 忘れてしまったのかしら……?


8話→12話

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