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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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12-3 キラキラの糸は・・・

ジーク叔父様はテーブルに座っている人を見ました。いえ、リングスタット王家の方々に視線を向けたのです。


「兄が出した条件は、私が立太子することだった。その条件を呑まなければ、サンフェリスから出ることを禁ずるとまで言われてね。兄と1日話し合ったが、条件を変えてくれなくて。仕方がないから呑むことにした。年が明けたら、私の立太子が各国に公布されることになったんだ」


えーと、ジーク伯父様は今はサンフェリス国王の弟で、外交担当のキャバリエ公爵。そして、年が明けると立太子をして・・・立太子って、王太子?じゃあ。


「ジーク伯父様は王太子になられるのですか。では、次期国王?」

「まあ、そういうことになるね」


ジーク伯父様は苦笑しています。私は驚きすぎて目を見開いて叔父様の方をみていたので、気がつきませんでした。お父様達が意味ありげに目を見交わし合っていたことに。


「セリアテス、君は大切な姪だからね。今までと同じようにジーク伯父さんと呼んでくれるかな」

「は、はい。ジーク伯父様」


私の返事に惚れ惚れとするいい笑顔をなさいました。


「もし何か困ったことがあったら頼ってくれていいからね」

「そうそう。国を出たくなったらいつでもいってよ。セリアテスなら大歓迎だよ」

「もちろん、叔父様方もいつでもいらしてくださいね。一族だけでなく使用人もすべて面倒見ますから」

「あなたたち、冗談でもそのようなことは言わないの。本気にされたら困るでしょ」


伯母様、諌めてる振りをして、諌めてませんよね。表情が楽しそうですもの。


「あ、ですが、来年からはキャバリエ公爵ではなくなるのですよね」

「そうだね。発表されたらサンフェリスを名乗ることになるだろうね」


ああ、やはり国の名前が王家の名前になるのですね。と、言うことはクラーラお姉様も、ローラントお兄様も、オスカーお兄様も、サンフェリスの名に・・・。えっ?!


『オスカー・エルハルト・サンフェリス。サンフェリス国の第2王子!』


突然その言葉が頭の中に浮かびました。なんで、あのゲームにはサンフェリス国の第2王子は出てこなかったはずなのに。


突然のことに混乱しました。思い出せないことが気持ち悪いです。


「セリアテス?嫌だ。あなた真っ青じゃない。どうしたの、大丈夫なの?」


クラーラお姉様の声に、お姉様の方に目を向けます。


「また、何か思い出したの。大丈夫」


これは、言えない。何とか誤魔化さないと。その時何かが動いているのが目に入りました。

私は手を持ち上げて、それを指さしました。


「違うの。あ、あれ」


みなさまがそちらを見ました。そこには手のひらほどの大きさのクモがいました。


「まあぁ~。誰かそのクモを外に出して頂戴」


エリザ王妃様が衛兵に指示しました。すぐに衛兵がクモを捕まえて部屋の外に追い出しました。


「ごめんなさいね、セリアテス。きっと飼育小屋から逃げ出したのね。見慣れてないとビックリするわよね」


はい? 飼育小屋? 逃げ出した? 何ですかそれは!


「セリアは知らないものね。私の服のここの所、キラキラしているでしょう。ここに使われている糸はクモから取られたものなのよ。うちの国の特産の糸なの」


ローザ様が教えてくれましたが、はい? 

まさかのクモの糸が服に使われていたとは。どおりで、みなさま平気なのですね。

そのあとは、クモについて説明していただきました。


それでわかったのは、この世界の糸事情です。前にお茶の葉を食べる虫がいたと聞いたのですが、その虫があのクモだったそうです。何かが、違う気がしますが、そうなんだと納得・・・できません。彼女の知識ではクモは虫を捕らえるものだったのに、こちらは葉っぱを食べるんですよ。そして、クモが食べる葉はカリアグラという木だそうです。この木は椿と似ているようです。人にとっては毒性があるため薪としては使えませんが、その煙で虫を燻して退治するそうです。この木からの抽出液を窓に塗っておけば、夏場にでる蚊が寄り付かないと聞きました。邪魔になる葉っぱをクモが食べてくれて、その毒に耐性があるし、美しい糸が採れると重宝されているそうです。ただ、糸は卵の周りに巻き付けるので、孵化する前に取り出さなければいけなくて、そこが大変らしいです。蚕の繭みたいなものなのでしょうか。今度見せてもらえることになりました。

他にも、蚕ではなくコイムという名の虫からも糸が採れるそうです。こちらは蚕と同じみたいです。あと、植物から採れる糸も何種類かあるそうです。


食事が終わると部屋を移動して私が作った服をみんなで見ました。

国王陛下と王子様達が期待したような目を向けましたが・・・すみません。4人の分はないです。

宰相様と魔術師長の分はあります。ローブです。

いや、だから、4人用には作ってないので、誰用でもないものを調節してください。

という目で見ていたらお父様が代わりに言ってくれました。


「こちらの服は誰用でもないから、好きに選んでくれ。急がないと調節する時間がなくなるぞ」


そして、女性陣は部屋を移動したのでした。



126話です。


さて、何かあったかな?

ん~~~、ポン。

ファンタジーっぽくなりましたかね。不思議素材のクモの糸。

セリアちゃんも納得してませんね。クモが草食だなんて。


いいじゃん。クモが草食だって。巣を作らなくたってね。


というところで、次話で会いましょう。

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