11-9 お風呂で浪漫を見つけ・・・
居間に場所を移して、侍女がお茶を入れてくれたのを、一口飲みました、
私の様子を見ながらおばあ様が尋ねてきました。
「どう。気分は落ち着いたかしら、セリアテス。落ち着いたのなら泣いた理由を教えてくれないかしら」
私はおばあ様の顔を見ました。また、涙が目に浮かんできました。
「あらあら、困ったわね。何があなたの涙を誘うのか、教えてくれない」
「おばあ様」
「大丈夫よ。ゆっくりでいいからお話しして。ね」
お母様の顔を見ると微笑んで頷いています。
他の人は何も言わずに見守ってくれています。
私は一度深呼吸をしました。
隣にいるお母様のドレスをギュッと握りました。
「さっき・・・クラーラお姉様、ローラントお兄様、オスカーお兄様に・・・セリアテスが用意していた、プレゼントを、渡したのです。・・・その時に・・・思い出したの。それを、用意したときのこと・・・。その時の気持ちも。・・・でも、私じゃないの。わたし、知らない。・・・わからないの。だって、さっき思い出したのは、私が見たものじゃないの。・・・まるで、お芝居を見ているみたいで・・・。だから、わたしはセリアテスじゃないんじゃないかと思って。・・・違う誰かが・・・セリアテスの体を・・・乗っ取っちゃったのかなって。・・・ウルバーン医師のいう通りだったのかなって・・・」
涙が溢れてきました。いつの間にか下を向いていたので、ドレスに涙のシミが出来ていきます。
お母様が私の頭を抱えるように抱きしめてきました。
「バカね、セリア。そんなことを思っていたの。でも、そうなの。クラーラに作ったレースのケープ。それを作った時の事を思い出したのね。あなたは一生懸命作っていたわね。・・・あのね、人の記憶なんて曖昧な物よ。ちゃんと覚えているつもりでも、ちょっとした勘違いや思い込みで、同じ時間を過ごしたはずなのに、全然違う風に覚えていることだってあるのよ。あなたがお芝居を見ているみたいといったけど、思い出す記憶なんて、私もお芝居みたいだと思うときもあるわ。セリア、あなたは記憶を失くす前と今では確かに違うわ。別人のようだといえば、別人と云えなくもないわね。でもね、あなたは、セリアテスよ。私の可愛い娘。他の誰かじゃないのよ」
「お母様!」
お母様にギュッと抱きつきました。
「もう、どうしてこう可愛くなってしまったのかしら」
「それはミリーに似たからだとおもうな」
「あら、私はこんなかわいいことできないわよ」
「そうかな。初めてあった頃と、ミリーは全然かわってないよ」
お父様とお母様が言い合ったけど・・・なんか甘い雰囲気がしている気がします。
「あの、父上、母上、そういうのは2人の時にお願いします」
えーと、お兄様ナイスです。
頭に誰かの手が置かれました。そのままやさしく撫ぜてくれます。
「セリア、突然思い出したことで、不安に思ったかもしれないが、ミリーが言ったようにセリアはセリアだ。それにセリアは全然前と変わっていないから」
お父様の方を見上げると微笑まれました。お父様は私のわきの下に手を差し入れると抱き上げてきました。
「だから安心しなさい。それよりも、急いでセリアの力を借りなくてはならないことが出来てね。聞いてくれるかい」
お父様が私の顔を覗き込むように見てきました。
私が頷くとお父様は私が座っていた椅子に座りました。
私はそのままお父様の膝の上です。
お父様の話は明日のことでした。
王宮で御前会議が開かれるので、ここにいる全員で行くそうです。
そして、私が作り出した服をその場で見せることになる、ということ。
今から、みなさま用に作った以外の服を手直しして、キャバリエ公爵家の皆に合わせること。
はい? なんで? えっ? どうして?
私が混乱している間にこの前の服の山が~。
目の前に運び込まれてきました。何で、みなさまの分もあるのですか。
それからの大騒ぎは・・・・・。
夕食もみなさまでいただきました。
そして、なぜでしょう。この状況は?
今、私は迎賓棟のクラーラお姉様の部屋にいます。
いえ、私だけではないです。ビアンカとアマリア様も一緒にいます。
今日はアルンスト侯爵家とルートガー公爵家も家に泊まることになりました。
そして、クラーラお姉様が泊まる部屋にもう一つベッドを運び込んで、4人で寝ることになりました。
それから・・・知りませんでした。お風呂・・・フォングラム公爵家には大浴場があったのです。
なので、みなさまで入りました。・・・あっ、も、もちろん、男女別々です。
私達4人が入っていると、お母様たちまで入ってきて・・・。
いいな。私も成長したら、あんなスタイルになれるのかな。
ボン、とまでいかなくていいからそこそこの大きさで、キュッとしまって、ボンまでいかないけど、スラリとした・・・。
ハア~。いいなあ~。
123話です。
これで、16日目話は終わります。
すみません。力尽きました。あれこれは(物語の)明日以降にいれます。
えっ? キャバリエ公爵家のこと?
もちろん忘れてません。
17日目にわかりますから。
お風呂・・・。
文字数を稼ぐためにだしたわけじゃないからね。
ただ、お泊りするなら、一緒にお風呂かな~。
と思っただけなんだからね。
大浴場を作るのに執事長が活躍したなんて言わないからね!
あっ!
それでは、次話で。




