11-4 みんなにお話し?・・・です
何がと聞かれましたが、何から答えたものでしょうか。
「そうですね。事の起こりは9月30日に行われた王妃様のお茶会ですね。そこで怪我をして倒れてしまったのです」
「それ。なんで、怪我をしたの」
「庭園で花を見ていたらそばにいた令嬢がハチに驚いて、逃げた先にいた私にぶつかって、そのせいで倒れてしまったのです」
「なんですって。それはどこの令嬢なの。私のかわいいセリアテスに怪我をさせたのは」
「姉さん、落ち着いて。あれから何日経ったと思っているの。その令嬢は叔父さんや叔母さんがいいようにしたはずだよ」
いいようにとはどのようになのでしょうか?
「クラーラお姉様、ローラントお兄様。いいようにがどのような事かわかりませんが、その方とは謝っていただいたので親しくお付き合いをさせてもらってますが」
「はあ~。何言ってるの。セリアテスに怪我をさせたんでしょ。なんで親しくできるの」
「えっ?オスカーお兄様。仲良くしてはいけないのですか?」
あれ?私、もしかして間違えてました。上級貴族の立場としてはおかしかったのでしょうか。
お兄様の方を見たらやさしく微笑んで頷いてくれました。
「クラーラ、ローラント、オスカー。セリアに何が起こったのか話すから、話を聞いてからにしてもらえるかな」
そうして、お兄様が今までのことを話してくれました。
時々、お姉様方が質問をするので、それにお兄様と私で答えていきます。
ですが、改めてお兄様が話してくれた内容に思いました。
うん。私が今の私になってまだ、16日です。なんかこの半月でいろいろありすぎたような?
お姉様達は王宮での話に・・・いいえ、みなさま王宮での話に聞き入っていました。
そういえば、シュレイン様、ビアンカ様、ギルベルト様、アマリア様に話してなかったですね。
貴族的でない考え方の言葉にみなさま食いついてきました。
お兄様が具体的に私がフィリナ様と会話したことを言っていますが・・・どこから聞いてきたのですか?
お兄様いませんでしたよね。
はっ!報告は家族にもされたのですか。
何か、穴があったら入りたいです。
それで、フィリナ様が私と勉強を・・・あっ、違います。勉強の手伝いです。
それをすることになったと言ったら、ビアンカ様、アマリア様が納得した顔になりました。
って、あれ?お姉様、お兄様達の様子が。
もじもじしていらっしゃいますが、もしかして我慢していらっしゃいます?
ちょうど王宮から帰るところまで来たので一休みしましょう。
「お兄様、一休みしませんか。みなさまも喉が渇きませんか」
「そうね。それならお土産その2を出しましょうか」
「「「「「お土産その2?」」」」」
クラーラお姉様の言葉にお兄様を抜かした私達の声が重なりました。
侍女さんがお茶の支度をしてくれている間に私は自分の部屋に戻りました。なぜかビアンカ様もついてきました。なので、ビアンカ様にも持ってもらうことにしました。
私の部屋には宛名が書かれた包装された箱が3個ありました。見たことのない名前だったので誰だろうとおもっていたのです。
「ねえ、これ。わざわざ用意したの」
ビアンカ様が聞いてきました。私は首を振りながら答えます。
「いえ。私が用意したものではないのです」
「えっ、でも、これ」
「あー、そう思いますよね。まあ、用意したのは私と言えば私なんですけど」
「なに?」
「記憶を失くす前の私です。用意したのは。だから何が入っているかは知らないのです」
「・・・それを渡すの?」
「はい。セリアテスの気持ちを無駄にしたくないので」
ビアンカ様が立ち止まりました。つられて私も止まりました。
「あの、ビアンカ様。どうかしましたか」
私の言葉にも顔をうつむいたままです。そういえば家に来た時も何か言いたそうにしてました。
首を傾けて顔が見える位置まで頭を下げてのぞき込んだら、ビアンカ様が驚かれました。
「何してるのよ。あなたは」
「だって顔が見えなかったのですもの」
そう言ったら笑いかけて・・・すぐに表情が曇ってしまいました。
「あのね、セリア。ちょっといい」
そう言って近くのドアを開けました。中に入ると、あら。そこは私の衣裳部屋でした。そうか~、入ったことはなかったけど、ちゃんと廊下側にも扉があったのですね。
「なんで驚いてるの」
「衣裳部屋に入ったことがなかったのですもの」
「何を言って・・・ああ、そうね。覚えてないのよね」
「ビアンカ様は知っていたのですね」
「それは、前にカクレオニをしたから」
「カクレオニですか?」
「そう。5歳の時だったと思うわ。今日のようにキャバリエ公爵家が来ていて、みんなで遊んだのよ。私とあなたでここに隠れて」
その説明だとかくれんぼのことですね。
誰が伝えたのでしょうか。
118話です。
あれれ、ビアンカさん。
何を勝手に動いてくれるのですか。
話が伸びたらお仕置きしますよ。
さて、次話で彼女は何を語ってくれるのでしょうか?
それでは、次話で、会いましょう。




