祖母話3 思考におちいって・・・
すごくお待たせしました。
セリアテスが眠っている間に私達は何が起こったのか話し、事後対策をすることになったわ。
まず、記憶がないために魔力暴走を起こしたセリアテスに魔封じの腕輪をつけさせることになったわね。
そして、一度目を覚ましたセリアテスに腕輪をつけて安心させると、もう一度眠らせたの。
セリアテス付きのキュリアに後を任せて、一旦裁縫室に向かったわ。
実物を見せられて皆言葉を失っていたけど。
そうしてどうするか話し合いが始まったけど・・・。
珍しくセルジアスの反応が悪かったわ。
リチャードの顔色を伺うなんて。
結局リチャードが動くことを宣言することになったわね。
魔物の大量発生。
この40年、大量といわれる規模で起こっていないわ。
それが意味することが判っているのは、リチャードと私とセルジアス。
でも、セルジアスはどこまでわかっているのかしらね。
ちゃんと教えたつもりだけど、アーマドは半信半疑なようだし。
それよりもリチャードが言った「わしが盗る」って、本気かしら。
昔から、頭の回転が速くて先を見通す力は強いけど、セリアテスのためにそこまでするかしら。
いえ、違うわ。
盾の役目を全うするためなら、私心は捨てて実を取る人だもの。
何か考えがあるのよね。
やはり、現役をしりぞいたリチャードと領地でのんびりし過ぎたみたいね。
彼の思考についていけてないわ。
「王家の青」
これを言い出したのだから、私と会った時と状況が似ているのよね。
まあ、リチャードが本気で動いたら、王家の立場なんて意味がないもの。
そうね。散々うちをコケにしてくれたあのこには、いい薬かしら。
いいえ、薬は薬でも劇薬だわ。
気がついたときには死に至る直前だなんて、洒落にはならないわね。
ああ、悔しいわ。
もう少しで答えに届きそうなのに。
他に何て言ったかしら。
そうよ。セルジアスに宰相になれと。7年後のことを考えて、今の内に変わっておけと。
アーマドが反対のことを言って・・・流石に、アーマドも気がついたのね。
で、セルジアスは宰相にはならない。距離を置きたいと言ったのよね。
それを聞いたあの人はとてもいい笑顔をみせて・・・。
ああ、そういうこと。
これまでのあれこれが7年後に片がつくと思っているのね。
あの方のほうも7年後には・・・。
それに、ああ!忘れてたわ。あの方との約束。
そうね。約束を果たすためには「盗る」しかないわね。
ああ、違うわ。「盗る」のではなく「返して」もらうのよ。
そう、私はそちらのことに気を取られたために、セリアテスの小さな変化を見落としてしまったのね。
魔力暴走を起こした後だもの。
強制的に眠らせて体力の回復に努めたのに、セリアテスの作り出した服が気になって、目が覚めたあの子に無理をさせたことに気がつかなかったなんてね。
セリアテスに魔力の枯渇のことや、魔力を分け与えたことを、気付かせないことに成功したとおもっていたの。
普通に考えれば、昨日1日はセリアテスを安静にして、極力人と合わせないようにしなければならなかったのに、ソフィティアとウルリーケが侍女と職人を連れてきて、服の合わせがどうの、ボタンがどうで、ベルトがああで、と、やってればセリアテスは休めるわけはなかったわね。
ソフィティアも、ウルリーケも、ミリアリアが大好きで仕方がなくて、その娘であるセリアテスのことも、自分たちが守るんだって意気込んでいたから、だからあんなことになってしまったのね。
今さら言っても仕方がないことだけど、新しい物を知るということはどうしてあんなにも視野をせばめてしまうのかしら。
今日だってそう。ずっと楽しみにしていたのは、昨日のミリアリアとの遣り取りや、朝からの態度でもわかっていたのに、ね。
それにあの二人はこちら寄りの考え方をするから、王族に対したときに辛口の反応をしてしまうのよ。
今日のセリアテスは朝からずっとソワソワして、気もそぞろだったの。
私達はその様子を微笑ましく見ていたわ。
それほどスクワーレ伯爵令嬢と会えるのを楽しみにしていたのよね。
約束通りの時間にご令嬢はいらっしゃったわ。
それだけでなく、ローザ王女とマイン王女までいらっしゃって。
3人と一緒に居間に入ってきたセリアテスの表情を見た時、まずいと思ったわ。
止めようと思ったけど、ローザ王女の先制にソフィティアが反応してしまったのよ。
それで、セリアテスを怒らせてしまったなんて。
前のあの子なら嫌なものは嫌とはっきり言っていたから、何も言わないから大丈夫と思ってしまったのよね。
性格が変わったから。前と違うから。なんて言い訳にもならないわ。
113話です。
私の中で話が止まって1ヶ月ぶりです。
間に1話投稿したけど、それは止まる前に書いていたので、本当に久しぶりにセリアテスの世界に戻ってきました。
番外編が思ったより長くなり、この話のネタバレも入ってますので、よろしければ読んでください。
えー、おばあさまの3話目です。
今話は番外編を読んでいると2度美味しい・・・じゃなくて、「わしが盗る」はまだ早いか。「盾の役目」一応軽く書いてあったね。「王家の青」は説明があるからね。「私と会った時と状況が似ている」事情が書かれている。です。
お休みしている間にブックマークをしてくれた方が700件を超えました。
本当にありがとうございます。
これからも皆様に楽しんでいただける話になっていればいいなと思います。
よろしければ、感想やご意見、誤字脱字の指摘などをいただけると、うれしいです。必ずお返事しますから。
他の方に見られるのは嫌だという方は、下の方に作者マイページがありますので、そこをポチして、右上のメールするでくださってもいいですよ。
本当に返事しますからね。
それでは、次話で、会いましょう。




