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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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10-6 勉強を始めま・・・す?

ローザ様だけでなく、マイン様、フィリナ様にも泣かれてしまいました。

私は・・・先ほど泣いたので泣いてません。

いや、ウルッとはしたんですよ。


ただね、お兄様と目が合って・・・。

さっき大泣きしたから、目がまだ赤いかな、とか。

まぶたが腫れてないかな、とか。

顔がむくんでないかな、とか。

思ったら・・・涙が引っ込みました。


乙女心をわかってください。


しばらくしてみなさまが泣き止んで・・・。

うん。気まずいよね。

私達だけならまだしも、お兄様がいらっしゃるのですもの。

ほんと、どうしましょう。


キュリアさんがまたまた、おしぼりを用意してくれました。

そうして紅茶を入れてくれました。

温かさにホッとします。


「みっともないところをお見せしてしまったわ」

「いえ、気が利かなくてすみませんでした」


ああ、わざといらしてくださっていたのですね。

そうですね。あとで、会うほうがもっと気まずいですものね。


「そういえばお兄様、先ほど、手に持っていたものは何ですか」

「ああ、これかい。セリアの今日の勉強に使えるかと思って持ってきたんだ」

「私、まだ勉強らしいことをしてないですよね」

「うん。父上たちも何から始めるか手配に困っていてね。とりあえず、体力をつけることを一番にしていたからね」

「そうなのですね」

「でね、セリアは今までに何か疑問に思ったことはないかな。今日は僕たちでそれに答えてあげようとおもってね」


疑問ですか。

確かに、訊きたいことはいくつかあります。


「そうですね。私も訊きたいことはいくつかあります。あと、確認したいことも」

「それじゃあ、みんなで答えてあげるね」


お兄様の言葉にみなさま頷きました。


「それでは、まずは、確認です。この国はリングスタット王国でいいのですよね」

「はい~。そうですの~」

「では、王都の名前は?」

「リングスフォルトですの~」

「リングスフォルト?フォルト(ブルクじゃないんだ)・・・」

「どうかしたの?」

「いえ。では、フォングラム領の館があるところは・・・えっと、街?の名前かしら」

「ああ、館がある街の名前だね。フォングブルクというんだよ」

「フォングブルクですのね(えっ、こっちはブルクなの。ブルクって確かドイツ語で都市って意味だったわよね)えっと、えっと・・・」

「セリア、慌てなくていいよ。ゆっくり考えてからでいいからね」


都市の名前にちょっと混乱しました。

お兄様の言葉に、ここは彼女のいた世界ではないと、改めて思いました。

そうね、じゃあ、次は。


「では、お兄様。フォングラム公爵家はおじい様、おばあ様、お父様、お母様、お兄様、私の6人でよろしのですか」

「うん。そうだよ」

「お父様の兄弟はサンフェリス国のキャバリエ公爵家に嫁がれたカテリア伯母様と、アルンスト侯爵家にいかれたアーマド叔父様で、お母様の兄弟はルートガー公爵家のウルリーケ叔母様ですのよね」

「うん。そう」

「おじい様、おばあ様の兄弟はいらっしゃるのですか」

「おじい様は女性の兄弟が3人いてみんな、他国に嫁がれたよ。おばあ様には兄弟はいらっしゃらないよ」

「そうですか」


ふむふむ。これで、親族についてはわかったかな。

他はまた、訊きましょう。

それでは、次に。


「そういえば、今日は何月何日ですか?」

「・・・」


あれ、みんなフリーズしました。

で、お兄様を見てます。

お兄様の顔に苦笑が浮かびました。


「ごめん。本当、何してたんだろうね。伝え忘れてたなんて。今日は10月20日だよ」

「ひと月は何日ですか」

「30日よ、セリア」

「では、私が倒れた王妃様のお茶会は9月30日に開かれたのですね」

「えっ、何でわかったの」

「えっと、私が倒れてから7日間目を覚まさなくて、目を覚ましてから王宮を辞するまでが6日で、今日来ていただく約束をしたのが7日前なので、足すと丁度20ですから、引いて9月30日と・・・」


あれ、簡単な足し算引き算よね。

なんで、驚くの?


「すごいですわ、セリアテス様。よく、覚えていらっしゃいましたね」

「ほんとうよね。倒れてから目覚めるまでの日は教えてもらったかもしれないけど、王宮にいた日にちなんて、何かに書いておかなきゃ忘れちゃうわよ。」

「それに~、けいさんがはやいですの~」


いや、突っ込みどころがいっぱいなんだけど。

覚えているのって変ですか?

紙に書かないと忘れちゃうって、たった6日ですよね。

これくらい暗算できるよね。


「セリア、よく、わかったね。もしかしたら覚えてるかなとは思っていたけど、それで計算までしちゃうなんてすごいね。紙に書かないで計算しちゃうなんて」

「えっ、暗算で計算しないのですか。一桁なのに」

「あんざん?ひとけた?」


あっ、やっちゃった。

かな?



107話です。


ミルフォードに話を進めてもらうはずが・・・。

また変な方向に?


セリア~、早いってば!

いや、この世界の計算法がおかしいのか?


なんか、改革することいっぱいありそう。


では、次話で。



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