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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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祖父話7 小会議の流れは・・・

人払いをしてあるので、王妃が席を立ち、紅茶を入れ皆の前に置いた。

一口飲んで皆の様子を伺う。

やはり、国王が一番読みやすい。

ジョシュアはいろいろ考えているのが透けて見える。多分このあとわしが何を言い出すのか考えているのだろう。

ヴィクトールはセリアテスが使った魔法のことを考えているのぉー。

一番読めんのは王国近衛隊長かの。

何を考えているのか、いないのか。


わしが黙ってしまったからか王妃が話しかけてきた。


「それで、セリアテスの様子は。大丈夫ですの」

「はい。今朝は少しだるそうにしていましたが、朝食もしっかり食べれましたし大丈夫でしょう」


わしの代わりにセルジアスが答えていた。

皆、チラチラわしを見ているが涼しい顔で紅茶を飲む。

人払いの謁見を希望したのだから、話しがあるのはわかっているだろう。

皆の反応を見ているわしにセルジアスが呆れた視線を送ってくる。

アーマドは咎めるような、エグモントは周りを気遣いつつ困惑の視線を送ってきた。

そろそろいいかと口を開くことにする。


「今の話で分かっていただけたと思うが、事態は急を要する。早速動いていただきたい」

「動けと言われても何から動いたものか決めかねると思うのですが」


ジョシュアが年長者の役目と言葉を返してきた。

素直にわからないと言い出さないだけ年の功かの。


「何からも何もなかろう。まずは5公爵家15侯爵家を集めて御前会議を開いていただきたい」


国王、王妃、宰相、魔術師長、王国近衛隊長の顔色が変わった。

国王が口を開こうとしたがそれより早くジョシュアが話し出した。


「いくらなんでも御前会議の開催とは穏やかではありませんな」

「変な話ではなかろう。まずはセリアテスのことを公表しなくてはならないだろう。そのためにも各方面に話を通さなくてはならんのだからな」

「リチャード卿。本気か」

「何がじゃ」

「本気でセリアテス嬢のことを公表するおつもりか」

「可笑しなことを言うのう。セリアテスが「女神様の神子」であると公表してはいかんみたいじゃのう」

「それは、公表したらどんな危険なことになるか」


おもわず溜め息をつきたくなった。

やはり目先の事しか気付かぬか。


「そうですわ、リチャード卿。まだ、セリアテスは「アラクラーダ様の神子」であると決まったわけではありませんわ。神殿にて聖別を受けなければわかりませんもの」


さすが王妃じゃの。

だが、もう、聖別を受ける意味などないことも分かっておろうに。

王は・・・まだ、何も言わんか。

まあ、これ以上時間をかけても無駄なようだから、さっさと済ますことにしよう。


「そなたらは、何か勘違いをしておらんか。わしはセリアテスに聖別を受けさせたいのではなく「女神様の神子」であると言っているのだがな」

「待ってください。聖別を受けずに横暴な」

「それに、この話の根本を間違えているのだがな」

「根本?」

「さよう。そなたらが、先にセリアテスから聞いたであろう」

「セリアテス嬢から聞いたこと?」

「リチャード卿。あなたのお話しはセリアテスが服の改良をしていて、魔力暴走をおこしたということではないのですの」

「それこそ、お前たちは何を聞いていたのだ。服の改良の話が出たのは魔物の大量発生が起こるからだろう。それも、女性も参加しなければならないということだぞ。まさか、この意味が解らないなどと言わないだろうな」


皆の顔色が一気に青ざめた。

やれやれ、頭の悪くない連中のはずだが、認めたくない現実の前には、こうも思考が鈍るものか。

おいおい、セルジアス、アーマド、エグモント、そんな顔で見なくても、今は余計なことは言わんぞ。


「リチャード卿、本当にそんな大規模な魔物の大量発生が起こると思っているのですか」


やっと国王が話し出したか。

仕方がないのう。

もう一つの現実を突きつけるとするかの。


「大規模な魔物の大量発生が起こると思わない方が不思議だのう。前の大量発生から40年以上経とうとしているのだがな。今まで、発生の間隔は十数年ごとであった。それが、この40年、大量発生と言われる規模のものは一度も発生しておらん。それは周辺諸国においてもだ。間隔があけばあくほど大規模になるのは、文献にも残っておる。セリアテスの言う通りなら、あと7年。前回から50年近くたてばどれくらいの規模になるか、押して知るべしだろうにのう」


やれやれ、言葉を失いおったか。

ここで、まだ反論しないだけましかのう。


「それに忘れておるかもしれんが、わしは前回の魔物との戦闘に参加しておる。わしも参加したからわかっておるが、あれでも小規模だったが、かなりの死傷者をだしたのだぞ。大規模になればどれほどの被害がでるかのう」


おうおう、やっと骨身に染みたか。

では、もうひと押しかの。


「だが、今回は幸いじゃ。セリアテスのおかげでいつ頃起こるのかわかっておる。まだ、7年準備期間があるのだぞ。それを活用せんでどうするのだ」


国王、王妃、宰相、魔術師長、王国近衛隊長は青い顔のまま頷いたのだった。



100話です。


ドンドン、パフパフ!

やった。やりました?

わ~い、連載が続いてる~。

って、あれ?

連載が続いてることに喜んでたんかい!


さて、・・・うん。

じい様、素敵です。

さすが年の功。

セルジアスじゃこうはいかなかったでしょう。

おかげで、あともう1話で、って、えっ?

もう1話で収まるかな。もう2話かな?


あっ、補足!

え~、騎士団長ではなくて、近衛隊長がいる件について。

騎士団長は、演習を兼ねて、騎士団を連れて王都を離れていました。

あと、2日で戻ってきます。

なので、セリアちゃんが怪我をして意識不明になったのは知ってますが、目が覚めてからのあれこれを知りません。


4月からも予約投稿でいきます。

また、たまったら一日2話投稿しますね。

御前会議に向けて20家分、家名を決めないと。

全部の名前がでなくてもね。決めておくには越したことないのですものね。


それでは、ここまでお付き合いいただきありがとうございます。

では、次話で。



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