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月光の姫と信望者たち  作者: 山之上 舞花
第1章 セリアテスと記憶喪失と王宮の人々
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兄話1-3 妹が可愛いからって……周りをみてから……ね!

 セリアの頭を撫でながら、僕は父上達が来たらすぐに家に帰れるよと言った。

 その言葉に安心したのか、段々セリアも落ち着いてきたようだった。

 声をあげないすすり泣きに変わってきたからね。


 でも、これはどう考えればいいのだろう。

 言い方もなんか子供っぽいし……。こんなセリアは見たことがない。

 父上達が来たら相談しようと思ったのに……。


 この後、僕達は暴走してしまうことになったんだ。

 部屋に来た両親ともにセリアの可愛い様子に、セリアの願いをかなえてあげたくなって、父上が抱き上げて家に連れ帰ろうとしたんだ。


 有能で冷静沈着で通っている父上が、強引に娘を連れ帰ろうとしたから、王宮内はかなりの騒ぎになったと、後で王子達に教えられたんだ。

 それに人当たりのいい父上が、部屋を出る時に冷淡に侍女に対応していたことも、後で噂になっていたそうだ。


 結局、僕達は廊下の角を曲がったところで、捕まってしまったんだ。

 立ち止まった父上の前には女官長が立ちはだかっていた。


 僕はこの女官長が、苦手です。

 第二王子と同い年ということで王子の友人になった僕は、度々王宮に来ていたんだ。その時にこの人に叱られたことが何度かある。

 大概は王子の無茶につき合わされて叱られたけど、王子の従者なら諌めることをしなくては駄目だと言われたんだ。

 従者になったつもりはないのにという、不満が顔に出ていたんだろう。

 さらに「貴方は将来国王になられる王子の側近になります。自分の立場を自覚しなさい」ともいわれたんだ。

 あの第二王子が国王になるとはあり得ないと思うけど…・・・。

 それも顔に出たのか、女官長には深いため息をつかれてしまった。


 王子の従者というのは、僕や他の貴族の子息たちの、王子たちの遊び相手としてくる者に与えられた呼び名だというのは、後で知った。

 それと三人の王子の誰が王になったとしても、王子の遊び相手に選ばれた者は、国王になられた方の側近になることが出来るのだということも、知ったのだった。


 父上も女官長が苦手なのか、返答に精彩がなかった。

 女官長と友人の母上も加勢したけど、女官長には勝てなかったよ。

 気が付いたら、女官長の後ろに近衛騎士が現れていたし。

 それに後ろから来た人たちも追いついてしまったんだよね。

 (とど)めとばかりに、国王陛下も彼らの後ろから現れてしまった。


 父上が盛大に舌打ちをしていたけど、さすがに陛下を無視して帰るわけにはいかないよね。


 ……でも父上、いくら陛下と友人だからって……それはあまりに……不敬……ですよ。

 陛下も父上の顔を面白そうに見ないでください。


 はい。

 結果は、部屋に逆戻りです。

 部屋にいた侍女と母上にセリアのことを任せて、父上と僕は国王陛下のもとに向かいました。

 会議室には国王陛下に王妃様、宰相、魔術師長、医師、学者、各大臣方まで集まっていました。

 そうそうたるメンバーに気後れしそうになります。


 父上は冷静になったのか、先ほどの暴走を隣で詫びています。

 あれは結構な騒ぎとなってしまったからね。

 よく考えればわかることだけど、いくらセリアが家に帰りたいと言ったからって手続きせずに連れ帰ろうなんて駄目だよね。

 父上が頭を下げたので、僕も一緒に頭を下げた。


 この後、目覚めてからのセリアの様子を聞かれたんだ。

 僕が見たままの様子を話すと、医師と学者の眉間にしわが寄っていった。

 話し終わって、陛下が医師と学者に見解を聞いた。

 高熱による意識の混乱による幼児退行ではないかということだった。


 この後僕や父上の話だけでは判断できないということで、セリアに話を聞くことになったんだ。

 セリアの部屋にいた侍女が、セリアの支度が出来たと伝えにきたからだ。


 陛下と医師たちと学者と魔術師長と共にセリアの部屋に行った僕たちは、セリアに会って侍女が言っていたことがわかった。

 セリアは着替えをしていて、身支度を整えたからかさっぱりとした顔をしていた。

 泣いたせいで、少しまぶたが腫れているようだけど、それでもとっても可愛いとおもう。


 父上が、セリアにこの七日間のことを話した。

 セリアは黙って話を聞いていたけど、話を聞き終わりセリアは、首をかしげながら(その様子がまたかわいいんだ!)聞いてきた。


「あの、魔力ってなんですか?」


 と。



12話→9話


読んでいただきありがとうございました。

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