帰り道
終業式も終わり、学校から家に帰る途中も自己嫌悪に陥っていた。
(はぁ、あれから喋れず、学校終わっちゃった・・・
1ヶ月会えないし・・・、はぁ・・・)
「未唯~、お~い!一緒に帰ろ~!」
後ろから私の今の気分とは対照的な元気な声が聞こえる。相手にする気分じゃないから気付かない振りしてそのまま歩く。
ガッ
数秒後に肩を掴まれる。
「待ってって言ってるでしょーがっ!」
息を切らしながら私の肩を掴むのは親友の真壁陽菜(まかべひな)。
陽菜とは保育園からの付き合いになる。
私の様子を見て、息を整えながら言う。
「どうしたん?元気なくね?」
性格と喋り方は結構男らしい。髪もショートでいかにもスポーツ少女といった外見。
まさにイケメン。男だったら良かったのにね。
「うん・・、ちょっとね。自己嫌悪中。」
今の気分だけ伝える。
「そっか、じゃあ、ケーキ食べに行こうか!」
「陽菜のおごりならいいよ。」
「陽菜さんに任せなさい!」
大きな笑顔で言う。
「ふふっ、陽菜ってホントイケメンだね。」
思わず、ほくそ笑む。
「おっ、笑ったね。未唯は可愛いんだから笑わないと損だよ。」
「ありがと。フォローのタイミングいつも神だよね。」
「どういたしまして。じゃ、駅前のケーキ屋さんで良い?先週、新作出たってクラスの子が言ってたから。」
「陽菜が選んでくれる所なら何処でもいいよ。」
「そんなに頼りきられたら、お店の人に頼んで、激辛シュークリームとか出してもらおっかなー。」
「なんの罰ゲーム!?リアクション芸人じゃないからやめてよ!」
二人して笑いながら駅に向かって行った。
陽菜と一緒だと、笑っていれる気がする。
話に夢中になるあまり、スマホが震えてる事に気付かなかった。