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団扇
「団扇ってズルくない?」
階段を降りながら言う。
「そうかなぁ。他にも使ってる人いるよ?
あぁ、扇ぎますよ。」
そう言うと圭太は私の方へ向けてパタパタしてくる。
(扇いでくれるのは嬉しいけど、生温い風なんだよね・・・)
「あんまり、変わんないかも・・・」
「気持ち、涼しくない?」
廊下を曲がる。
「・・・まぁ、気持ちね。」
少し考える素振りを見せて、そう返すとニコニコされた。
同意がもらえて嬉しいのか、まるで子どもみたい。
「私的には普通の教室にもクーラーか、最悪扇風機が付いてくれた方がいいかな。」
「!?
ホントだね!この時期だと、体育の後とか地獄だもん。あったらいいなぁ・・・」
圭太には思いもつかなかったのか分からないけど、驚かれた。
ふと、視線を窓にやると、私は自分が少し笑っている事に気付いた。