表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/139

正統派、異端児、不思議系

タイトルはキーパーについてです。それぞれ、渡、友成、林堂を指しています。

「んーと…おら、林堂基文りんどう・もとふみだす。まあ下手じゃねえんで安心してけれ」

 Bチームの部屋では、キーパーを任された林堂がずうずう弁で挨拶していた。所属は都会のAC東京だが、元々は秋田県生まれで初めの2年は当時JFLのライトサウス青森でプレーし、去年はJFLベストイレブンにも輝いた。PKなどセットプレーでの反応が良く、初日の試験でのセーブ数は渡、友成を上回る数字を残していた。


「まあ〜、剣崎けんざく君がこっちにいっから、正直しょうずく助がったべ。んだども、小宮ごみやが向こうにいるのは怖いべさ」


「ずうずう弁きつくて何言ってっかわかんねえな」

 剣崎の正直すぎる感想に、林堂は苦笑いするだけだ。

「んだども、標準語ひょうずんごはぞーもうまぐ言えんでな。ながなが覚える気にならねえべ」

「しかし、チカも方言丸出しだしな。まあ、個性と言うやつじゃねえか?」

「なんねヒデ。別に標準語しゃべらなあかんつう決まりばなかとね。本心伝えんなら喋りやすい方がよか」



 このままでは言葉だけがテーマで終わりそうなので、竹内が咳払いして本題に入った。


「こっちのチームが勝つとしたら…月並みだけど、向こうの小宮をどう抑えて、どう剣崎に繋ぐかだ。ただ、正直小宮を潰すには生半可な策じゃダメだ」

 竹内の展望に内海が頷く。

「竹内の言う通りだ。小宮は『古きよきファンタジスタ』なんて言われてるけど、スピードやフィジカルはちゃんと現代仕様だ。ただ張り付くだけじゃ簡単にかわされる」

 続くのは何度かマークマン役を担ってきた猪口も、肌で感じた小宮のすごさを語る。

「マークに付くなら距離感と集中力が大事だけど・・・。それでも必ず抜かれるときがある。そういうときのリカバリーの速さが大事だよ」

 そして攻撃について。友成のことをそれほど知らないメンバーは、その攻略を聞く。剣崎は至極単純な答えを言った。

「ねじ伏せりゃいいんだ。あいつが驚くぐらいのすげえシュートをな」

「あんまいい答えになっとらんと・・・。実際どげんしたらいい、トシ」

 いまいちすっきりしない近松は竹内にふるが、竹内は剣崎の回答を肯定する。

「いや、実際のところ駆け引きよりもシンプルに行ったほうがいい。まず考えようとしたらのまれるから」

「のまれる?」

 意味が分からず、新潟のサイドアタッカー、菊瀬健太きくせ・けんたが聞き返す。

「なんつうか・・・オーラがヤバいんだよ。うーん、ジェイソンが日本刀二本持って待ち構えてるというか・・・」

「余計訳が分からんが・・・えげつなさそうなのは何とかわかるな」

「それに、あの野郎とにかくジャンプが速くて高い。全身バネだから勝負できねえ。だから俺がミドルブチ込んだほうが点になる!」

「・・・どういう結論だよ剣崎。しかし、確かにミドルっているのは手かもな」

 二人の説明にもう一つすっきりしない菊瀬だったが、とりあえず納得した。剣崎は全員にこういった。

「偉そうで悪いけどよ。みんなとにかく踏ん張ってゴール守ってくれ。あとはどんなボールでもいいから俺にくれ。そしたら俺がぶち込んでやるぜっ!!」


 しばしの沈黙。最初に突っ込んだのは、AC東京のMF、末守良和すえもり・よしかず。初対面で命令口調の剣崎に、少し思うところがあるようだ。

「フン。てめえいったい何様のつもりだよ。リーグ戦で結果残してるからって、俺たちに命令するだけかよ」

「何様?へっ!『人類最強のストライカー、剣崎龍一様』に決まってんだろ?」

 ひるむことなく言い返す剣崎。再び静かになると、にらみ合いの末に末吉が笑う。

「はっはっは。お前ほんと大したもんだぜ。デカい口もここまで堂々と叩かれると、逆に信用できるな。おいヒデ。俺はこいつに乗ろうと思ってるけど、キャプテンとしてどう思う?」

 他の選手も内海を見る。しかし、内海の腹も決まっていた。

「いいだろ。剣崎。叶宮監督が惚れ込んだストライカーだからな。とりあえず託してやる。キーパーと最終ラインがゴールを守って、奪ったボールを中盤につないで、お前までに必ずつなぐ。お手並み拝見と行かせてもらうぜ」

「おう。まかせろってんだ」




「あ、来た来た」

 時間になり、選手がピッチにやってきた。22人の選手の表情に、叶宮監督は満足げだった。

「ウフフ。いい顔してるわね。世界を相手にするなら、それぐらいの目つきが必要よ」


 ゲーム前、叶宮監督は特別ルールを説明する。

「えっと。ゲーム中、アタシが3回笛を吹いたらシャッフルタイムね?」

「シャッフルタイム?」

「そ。アタシが状況に応じて突発的に選手を入れ替えるの。ゲームからあぶれた選手をね」

「え、交代選手を監督が決めるんですか?」

「そうよ。アタシが『ここ変わったらどうなるんだろう~』っていう感覚でころころ変えちゃおうってわけ。出来不出来に関わらずね」

「なんつうルールだよ・・・」


 戸惑う選手をよそに、叶宮監督は号令をかけた。


「最後に一言。アタシを思いっきり楽しませてね!それじゃあキックオーフ!」


 ホイッスルが鳴り響き、Aチームボールで試合が始まった。

そのうち選手の簡単なプロフィール書こうかと思ってます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ