2014年選手名鑑
今年の名鑑です。物語の参考文献です。これを照らしながら選手を感じてもらえれば幸いです。
「ストライカー大国」J1上陸。我を貫き猛進あるのみ。
昨シーズン、J2の通算ゴール記録を塗り替えたエース剣崎を筆頭とした圧倒的な攻撃力を武器に、G大阪、神戸を上回って堂々たる成績でJ2を制し、初のJ1に挑む和歌山。目玉はやはりFW陣の充実振りだろう。竹内、鶴岡、矢神に加えてユース得点王の須藤、スペイン帰りの佐川、そして尾道の若き大砲野口を獲得。“七者七様”のストライカーたちは、早くも各クラブの脅威となっている。そのほか、小宮、ソン、バゼルビッチなどクセはあるが実力の高い選手に加え、仁科らJ1の戦いを熟知するベテランも補強し体制は万全だ。やや守備力に不安を抱えるが「自分たちの持ち味を最後まで貫く」(剣崎)姿勢で、J1の主役の座を狙う。(浜田友美)
監督 ヘンドリック・バドマン
1953.10.23生
デンマーク出身
前職・デンマークサッカー協会理事/2年目
選手をその気にさせる人心掌握術と、大胆不敵な戦術を用いて就任1年目に栄冠をもたらした。世界でも屈指の実力伯仲ぶりを見せるJ1の舞台でも、スタイルを変えずに戦うつもりだ。新体制発表会見では「最高の戦力をそろえてもらった。J2での戦績を反映させられるだけの自信と実力はある」と言い切った。
選手
①生年月日②身長・体重③血液型④利き足⑤出身地⑥リーグ戦通算出場(J1・J2)⑦リーグ戦通算得点(J1・J2)⑧前所属
GK 1 天野大輔 Daisuke AMANO
①1993・10・25②186・73③A④右⑤大阪府⑥0・15⑦0・0⑧和歌山U-18
懸命のリハビリをこなして、「昇格が決まるまでには復帰したい」という願いを見事にかなえた。長年のライバルである友成とはずいぶん差が開いてしまったが、「J1で守護神になれば問題はない」とその座を狙う。女性ファンと時代劇の知識は群を抜いている。
DF 2 猪口太一 Taichi INOGUCHI
①1994・4・1②165・60③B④右⑤滋賀県⑥0・63⑦0・2⑧和歌山U-18
昇格と優勝には欠かせない戦力であり続けたが、目標のフルタイム出場は果たせなかった。J1でのデビュー戦を心待ちにしており、「サッカーをするのに体格は関係ないことを、見ている子どもたちに伝えられるプレーをしたい」と使命感を帯びている。かなりの小兵だが大食漢でもある。
MF 3 内村宏一 Hiroichi UCHIMURA
①1986・6・19②178・71③AB④右⑤東京都⑥0・51⑦0・8⑧ベルリンFC(ドイツ2部)
変幻自在のパスワークを武器とする「天才」。膝にメスを入れてコンディションを取り戻し、シーズン終盤はスタメンを奪い返した。タイプのよく似た小宮がライバルとなるが、「抜かれたら俺がその程度の選手だったって事だけど抜かれるつもりはない」とあくまで自然体を貫く。
MF 4 江川樹 Itsuki EGAWA
①1993・11・13②176・64③A④右⑤奈良県⑥0・19⑦0・0⑧和歌山U-18
日進月歩の成長を続ける和歌山の秘密兵器的存在。指揮官をはじめ首脳陣の評価は高いものの、それが出場機会につながらない。それでも契約を更新されたと言うことは必要な選手と言うこと。今年こそ指揮官の期待に応える。
DF 5 大森優作 Yusaku OHMORI
①1994・2・20②190・80③O④右⑤徳島県⑥0・43⑦0・6⑧鳴門水産高
カップめんをこよなく愛するストッパー。空中戦の実力はトップクラスで、味方同士のミニゲームでも鶴岡や剣崎に競り勝てる場面をよく見る。レギュラーとしてクラブの栄光に貢献したことが精神的にも自信となっており、今年は一気に日本代表の座を狙ってもらいたい。
DF 6 川久保隆平 Ryuhei KAWAKUBO
①1982・12・1②192・84③O④右⑤兵庫県⑥0・198⑦0・20⑧阪和大
村主の引退でJFL時代を知る唯一の生き証人となった。自身初めてのJ1となるが、積み重ねた経験と最古参の意地を胸に、激しいポジション争いを制してスタメンを守る気構えだ。大森とのツインタワーはJ1をも席巻できるか。
MF 7 桐嶋和也 Kazuya KIRISHIMA
①1994・2・14②168・58③不明④左⑤岡山県⑥0・41⑦0・9⑧薩摩実業高
左サイドバックとして活躍した一昨年とは一転、関原や栗栖にはじき出されてベンチで試合を終える日々ばかりだった。移籍も考えたが「もう一度勝負したい」と残留。ロシアリーグでプレーする同級生・西谷にも名前が届くような活躍を期待したい。
MF 8 栗栖将人 Masato KURISU
①1994・3・4②171・63③O④左⑤和歌山県⑥0・71⑦0・9⑧和歌山U-18
剣崎らに隠れた格好になったが、昨年最も成長著しかったレフティー。正確なキックに加えて苦手だったドリブルとフィジカルコンタクトも克服し、関原と形成した左サイドはJ1昇格に一役買った。多彩となったフォワード陣の生殺与奪を握る一人。
FW 9 剣崎龍一 Ryuichi KENZAKI
①1993・5・4②186・80③AB④両⑤和歌山県⑥0・82⑦0・77⑧和歌山U-18
2年連続得点王となったばかりか、たった2年でJ2の通算ゴール記録を塗り替えた「人類無双」のストライカー。今シーズン中に早くもJ通算100ゴールの大台に到達する可能性もあり、彼から目が話せないシーズンはもうしばらく続きそう。練習場で聞こえる大声の主は大概彼。
MF 10 小宮榮秦 Eishin KOMIYA 完全移籍
①1993・9・12歳②167・63③AB④両⑤東京都⑥0・61⑦0・13⑧東京V
ジュニアユースから東京V一筋に過ごし、ロンドン五輪も最終予選まで代表入りしていたほどの逸材が電撃加入。視野の広さ、フィジカルの強さ、パスの精密さ、どれをとってもトップクラスの域にあり、チームにどのような化学反応を起こすかが楽しみな存在。
MF 11 佐川健太郎 Kentaro SAGAWA 完全移籍
①1986・7・23②173・68③A④左⑤千葉県⑥0・0⑦0・0⑧FCアルコルソン(スペイン2部)
大学を卒業後単身スペインに渡って、5部のクラブから2部クラブまでに出世したストライカー。リーガエスパニョーラの中堅クラブも注目した実力は確か。その一方で稀代のメカ音痴でもあり、スペイン時代はインターネットを見ることすら苦労したという。
FW 13 須藤京一 Kyoichi SUDOH 昇格
①1996・9・8②172・56③B④左⑤兵庫県⑥0・0⑦0・0⑧和歌山U-18
剣崎、矢神が守り続けたユース得点王の座を勝ち取った点取り屋。相手ディフェンスの裏を取る俊足が売りで、どちらかというと竹内に近い。ヘディングの精度、フィジカルの弱さなど課題も残るが、若い背番号を与えられただけに気合十分。虎視眈々とJ1デビューでの初ゴールを狙っている。
MF 14 関原慶治 Keiji SEKIHARA
①1990・8・2②174・73③不明④左⑤山口県⑥0・39⑦0・3⑧尾道工科大
無名の新人からリーグ屈指のサイドバックにのし上がったシンデレラボーイ。開幕スタメンを勝ち取ると、その牙城はほとんど揺らぐことなくシーズンを過ごした。自慢の太ももの原点は、大学時代に
坂道の町・尾道での自転車通学の賜物。
DF 15 ソン・テジョン SUN Tejong 完全移籍
①1994・8・16②178・74③O④右⑤韓国⑥0・0⑦0・0⑧江南レオーネ
ピッチ外が何かと騒がしいが、実力は折り紙つきのサイドバック。クラブの永遠の穴、右サイドバック争いにケリをつけられる存在として、クラブにかかる期待は多い。ボール奪取時に見せる目つきはトラを彷彿とさせるが、大の犬好きで猫アレルギー。
FW 16 竹内俊也 Toshiya TAKEUCHI
①1993・11・23②180・69③AB④右⑤埼玉県⑥0・71⑦0・37⑧和歌山U-18
昨シーズンは最前線を主戦場とし、攻撃の要として多くのゴールに絡んだ。その万能振りを指揮官は「堺雅人のようだ」と語る。ルーキーイヤーにMVPに輝いた右サイドでの起用も考えられるが、引き続きフォワードに、そしてゴールにこだわっていく。
MF 17 チョン スンファン CHON SungHwang
①1977・7・30②178・69③O④右⑤韓国⑥81・179⑦9・29⑧神戸
怖いもの知らずの若者が多い和歌山にあって、強烈な存在感を放つアラフォー。キャプテンの座を譲ったものの、精神的支柱として頼りになる部分はまだまだ多い。自身7年ぶりのJ1でもう一花咲かせられるか。
FW 18 鶴岡智之 Tomoyuki TSURUOKA
①1987・11・14②198・80③不明④右⑤千葉県⑥0・59⑦0・21⑧シドニーユナイテッド(オーストラリア)
日本一背の高いJリーガーの昨年は、一昨年に比べて消化不良に終わった感は否めない。それでもその長身はJ1でも十分脅威になるはず。代表クラスがひしめくJ1に挑むにあたり「うどの大木にはならないようにしたい」と決意を口にする。
MF 19 手塚弘幸 Hiroyuki TEZUKA
①1985・9・3②175・68③B④右⑤埼玉県⑥3・71⑦0・4⑧福岡
移籍1年目は随所に老獪さを見せ、一定の信頼は得た。今シーズンの質が高まった右サイドのポジション争いに、「これを勝ち抜いてようやく戦力になれる」と更なる高みを目指す。昨年は和歌山ラーメンを食べ歩いたらしく、「一緒にさば寿司を食べることに一番驚いた」とのこと。
GK 20 友成哲也 Tetsuya TOMONARI
①1993・12・31②176・65③AB④両⑤東京都⑥0・65⑦0・2⑧和歌山U-18
剣崎とともに、変り種の集まりであるクラブの象徴的存在。フル出場はなし得ていないが、出場すれば当たり前のようにビッグセーブを連発し、強烈なロングキックも武器として機能した。年末のトークショーでは「最近はきゃりーぱみゅぱみゅ(の歌)をよく聴いている」と発言し、会場を驚かせている。
MF 21 長山集太 shuta NAGAYAMA
①1987・3・13②172・65③不明④右⑤山口県⑥0・92⑦0・1⑧尾道
チームでも指折りのスタミナとスピードを誇り、サイドバックの実質的レギュラーとして活躍した。自身初のJ1でもそれが披露されれば、間違いなく他クラブの脅威となる。最近は結婚願望も高まっており、クラブハウスに一度だけゼクシイ(結婚情報誌)を持ち込んだという怪情報あり。
DF 22 仁科勝幸 Katsuyuki NISHINA
①1980・8・3②181・78③O④右⑤福島県⑥231・0⑦7・0⑧川崎
J1初挑戦のクラブにあって、その経験地を伝える役割を担う元代表センターバック。ここ数年はやや不遇の時を過ごしているが、今年こそはと意気込みは強い。チームの攻撃的なカラーにどう順応できるかが鍵か。
DF 23 沼井琢磨 Takuma NUMAI
①1993・6・6②180・74③A④右⑤神奈川⑥0・25⑦0・1⑧佐蒲急便FC
クレバーさと体格差を補う技術を武器にセンターバックのレギュラー争いに一石を投じた。が、シーズン中はそれにとどまり抜け出しきれなかった。今シーズンは経験豊富な選手が集まってそれの難しさを感じつつ、ジュニアユースから6年を過ごした古巣・横浜との対戦を心待ちにしている。
MF 24 根島雄介 Yusuke NEJIMA 昇格
①1995・7・7②166・59③AB④右⑤和歌山県⑥0・0⑦0・0⑧和歌山U-18
ユースで10番を背負った「栗栖2世」の呼び声高いゲームメーカー。「精度は俺よりも鋭い」と栗栖が太鼓判を押すパスセンスを武器に、先輩選手に殴り込みをかける。ただ、本人はそう呼ばれるのがいやらしく、「右利きなので早く『根島1世』を実現させたい」と意気込む。
FW 25 野口拓斗 Takuto NOGUCHI 期限付き移籍
①1993・4・2②188・80③AB④右⑤広島県⑥0・36⑦0・22⑧尾道
今石GMの2年越しのラブコールが実った今季補強の目玉。剣崎に匹敵するフィジカルと得点力を有し、1トップ、2トップとも適正が高い。入団会見では剣崎に宣戦布告をするとともに、「必ずここで成長して、来年はJ1に上がった尾道から恩をあだで返したい」と古巣にエールを送った。
DF 26 バゼルビッチ VAZELVIC 完全移籍
①1993・5・27②182・79③AB④右⑤セルビア⑥0・0⑦0・0⑧レッドスター
クラブ初のヨーロッパ系選手にして、若くして代表経験豊富な攻撃的センターバック。父親は旧ユーゴ代表というサラブレッドで、国内リーグでは2年連続ベストイレブンに輝いた。空陸両用の守備力はもちろん、フィードやロングスローとリスタートの基点となる資質もあり、和歌山にはうってつけといえる。
GK 30 本田真吾 Shingo HONDA
①1994・7・22②190・75③O④左⑤和歌山県⑥0・0⑦0・0⑧和歌山U−18
キーパーの宿命というべきか、プロ一年目はベンチ入り2試合にとどまり、同期の活躍をスタンド観戦する日々が続いた。それでもユースの二人の先輩や吉岡の技術を必死に盗み、力は着実に着いている。ファン感謝祭ではMCを勤めて滞りなくイベントを進行するなど、話術はすでにチーム一のレベルにある。
MF 31 マルコス・ソウザ 移籍 MARCOS Sousa
①1977・5・13②178・75③A④両⑤ブラジル⑥101・137⑦9・25⑧湘南
ピッチ上のポジションをすべてこなすマルチロール。昨シーズン終盤は右サイドバックに定着して優勝と昇格のラストスパートをチームにかけた。若い力がチームを締めつつある中、チョンとともにチームのバランサーとして求められるものは今年も高い。
DF 32 三上宗一 Sohichi MIKAMI
①1994・6・8②167・53③A④両⑤奈良県⑥0・15⑦0・0⑧和歌山U−18
竹内や矢神をしのぐ俊足の持ち主。今シーズンは再び空位となった右サイドバックのレギュラーをつかもうと意気込む。同期の米良(水戸)が移籍し、後輩の須藤らも昇格した今シーズンは、死に物狂いで毛かを残すつもりだ。クロスの鋭さには定評があるだけに、フィジカルを鍛えれば化けるかも。
DF 33 村瀬秀徳 Hidenori MURASE
①1982・6・21②177・63③O④右⑤福島県⑥197・31⑦1・2⑧大宮
最終ラインのポジンショをすべてこなし、上背はないがヘディングも強い。大宮では常に残留争いを強いられる中で、重要な試合で勝ちきるメンタルを鍛え上げた。「そうならないのが理想」といいながら、土壇場で彼の力は間違いなく力になるはず。
MF 35 毛利新太郎 Shintarou MOURI
①1987.8.22②165・54③B④左⑤三重県⑥3・49⑦0・3⑧C大阪
すべてのポジションを基準以上のプレーでこなすマルチロール。一昨年はレンタル移籍だったが、昨年は完全移籍で復帰。出場機会は恵まれなかったが、与えられたポジションで仕事をできるのは、指揮官にとっても頼もしい。ただし、器用貧乏にもなりつつあり、まずはプレイヤーとして一皮剥きたい。
FW 36 矢神真也 Shinya YAGAMI
①1995・1・17 17歳②166・59③AB④右⑤大阪府⑥0・25⑦0・10⑧和歌山U−18
1年目から先輩FWを脅かすほどの活躍を見せ、いきなり10得点。裏へ抜けるスピードと相手の隙をつく洞察力は大いに昇格に貢献した。機械オンチぶりの改善も目覚しく、インターネットで検索すらできなかった男は、iPadを自在に使いこなすまでにもなった。
GK 40 吉岡聡志 Satoshi YOSHIOKA
①1980・8・9②185・80③B④右⑤群馬県⑥10・28⑦0・0⑧仙台
見えない功労というのは彼の振る舞いを指す。急速に若返ったGK陣のまとめ役として、選手たちにキーパーとは何たるかを説く姿は鏡ともいえた。大分時代の西山(浦和)、仙台時代の森(広島)と彼がアドバイスを送ったキーパーは代表選手になるというご利益がある。




