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「いつの間にかこうなってた」剣崎龍一インタビュー

 今シーズン、J1初昇格ながらリーグ戦全34試合で得点するという、驚異的な攻撃力で6位と健闘したアガーラ和歌山。その中心だったのが、25得点と2位以下を圧倒的に引き離す数字で得点王に輝いたエースストライカーだった。シュートしか能のなかったフォワードは、「俺はこれしかできない」とゴールという結果を追い求め、その技術を研ぎ澄まし、アジアの舞台でも結果を得た。今や日本代表待望のストライカーとなった男が、がむしゃらに走り続けた一年を振り返る(聞き手:浜田友美)



『開幕戦でゴールできたのがよかった』


 まず今シーズン、得点王とベストイレブン、おめでとうございます。

「あざっす」

 1年間素晴らしい活躍でしたね。

「いやあ形に残る結果を残したんで、すごい充実してます。正直こんなに点取ってるとは思いませんでしたね。得点王にしてもベストイレブンにしても、『いつの間にかこうなってた』って感じなんで」

 まだ実感がわいてないと?

「そうっすね。多分もっといろんなメディアに連れまわされて実感するんでしょうね。浜さん(筆者)にはいつも取材されてるんで、あんま実感ないっす(笑)」

 失礼な(笑)。では改めて、今シーズンはどんな一年でした?

「うーん・・・。最近結構それ聞かれますけど・・・正直あんま覚えてないんすよね。年明けとか不安ばっかでしたからね」

 J2で2年連続得点王、通算得点の新記録も打ち立てたのに、ですか?

「ガラじゃないかもしんないですけど、今シーズンはとにかく外野を気にしちゃいましたね。期待も大きかったし、その中で結果残せんかったら『J2だったからか』と絶対言われるでしょうからね。そう言われたくは絶対なかったんで、もう必死でしたよ。俺個人は」

 フロック扱いが嫌だった、というわけですか?

「というか、俺はいくら叩かれてもええんすけど、俺が点取れないことでJ2を低く見られんのが嫌やったんすよね。偉そうかもしれんけど、お互いに必死こいた中での結果だったんで、それを『カテゴリーの差』のひとくくりで片づけられたくなかったんすよ。J2での2年間が自分と相手が全力を尽くしたうえで結果だったんで、それを否定させないように気張りましたね」

 シーズンを通して、その不安は払しょくできましたように思いますけど。

「全然。点取れんときはホンマに取れんようになるんで、不安がなくなることはなかったすね。ただ、手ごたえつうか『J1でやれる』と思ったんは開幕戦でゴールで来たからっすかね」

 あのらしいミドルシュートの。

「J2でやってきたことをまんま実現で来たんで、あれで『やれるんや』みたいな感じはしたんすよ。だから開幕戦でゴールできたんは大きかったすね」



『Jリーグは俺に任せろってのは言っておきたかった』


 剣崎選手を一躍全国区にした試合は、神戸戦(第16節)だったと思いますが。

「まあそうでしょうね。痛い目みた(笑、顔面シュート)し」

 それがハットトリックだったわけですね。

「両足と頭、それから顔とホンマに全身で点取りましたからね。自分らしいプレーができてたと思います」

 それ以上にヒーローインタビューが印象的でしたね。

「あの時はW杯でボロボロにされて、その上海外移籍する選手がいてたんで・・・それがものすごい悔しかったっすね。ついでましたね」

 普段から剣崎選手は海外移籍についてかなり否定的ですね。根本はどういうものがあるんでしょうか。

「まあ知っている人は知ってる通り、俺はホンマに下手くそな選手で『よう取ったな、こんな下手くそ』って言うぐらいの。やっぱり俺をユースに入れて育ててくれたオヤジ(今石GM)や、受け入れてくれたクラブへの恩ってのが一番すかね。この和歌山県をもっと盛り上げても行きたいし、あとは世界で勝負するうえで国内の力が絶対重要なんすよね。俺が懲り固まってるかもしんないけど、日本代表を応援する人ってJリーグ知ってる人少ないちゃうんって思ってるんすよ」

 Jリーグをもっと盛り上げたいという事ですか?

「そういう事っすね。こんな狭い日本に今は50以上クラブがあるわけやし、何処にでも優勝の可能性のあるリーグなんで絶対おもろいはずですからね。もっと日本代表“だけ”サポーターをJリーグに引き込みたいっすね」



『FWって何が仕事かってのをもっと訴えたい』


 日本代表といえば、剣崎選手はリオ五輪を目指す叶宮ジャパンでも結果を残しました。青いユニフォームの着心地はどうでしたか?

「人生で2番目によかったっすね。あと結構重かったなっていう印象っすね」

 1番は和歌山のですね(笑)。重いというのは責任という事ですか?

「やっぱ結果に対しての反応が全然違いますからね。間違いなくマスコミの露出は多いし、Jリーグ見ない人でもあーだこーだ言うんでね。やっぱそれだけ期待が大きいんやなあ、応えないかんなあって実感しましたね」

 和歌山では同じ世代のチームメートが多いわけですが、代表で印象に残った選手はいますか?

「そうっすね・・・。やっぱヒデ(内海秀人、湘南DF)じゃないっすかね。身体も強いし足も速いしね。あんな身軽で強いセンターバックがいるんやなって。J2の時はなかなか対戦するタイミングがなかったんで・・・来年はリーグ戦で当たるんで楽しみっすね」

 来年といえば、チームも監督が変わります。

「楽しみ半分不安半分すね。まあオヤジが見つけた人なんでいい監督なのは間違いない。監督の求めることにきっちり応えて、ACLも結果残したいっすね」

 個人的な目標は何かありますか?

「まあ得点王とか代表戦のゴールとか上げたらキリないっすけど、やっぱ『フォワードの仕事とは何か』って言うのをプレーで見せれたらいいっすね。相手のゴールに一番近いポジションなんで、やっぱり得点ていう結果が求められるしね。日本のFWって守備とかつなぎとか頑張るけど、そういうとこをちゃんとできる選手って少ないと思うんで、自分はそれをとことん追い求めたいっすね」

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