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Jペーパーコラム〜野口拓斗のカラーを出せ

今回は新聞記事のコラムっぽい内容です。

 剣崎と小宮がアジア大会のためにチームを離脱している間、アガーラ和歌山のリーグ戦4試合(24~27節)は、2勝2敗と五分の成績であった。


24節 鳥栖 勝ち 2-1 佐川2(4)

25節 東京 負け 1-4 久岡

26節 川崎 負け 1-3 佐川(5)

27節 甲府 勝ち 1-0 栗栖(2)


 27試合13勝10敗4分け 勝ち点43 得点60 失点49 得失点差+11


 この間和歌山はただでさえ飛車角落ちの状況に加え、脚に張りを抱える竹内が、マッケンジーフィジカルコーチの判断で1カ月の強制休養。さらに関原、仁科ら守備陣に離脱者が相次ぎ、若いメンバーを固定して戦う日々が続いていた。佐川がその間3得点と活躍したが、甲府戦でイエロー2枚。累積と退場による2試合の出場停止が課されるという厳しい状況だった。

 そしてその間、4試合とも2トップの一角で起用されながら、ゴールはおろかシュートすら計6本という低調な出来に終わった野口にとって、試練ともいえる1カ月だった。


「それは・・・あまり言いたくない答えですね」

天翔杯準々決勝を翌日に控えた練習日。その後の囲み取材でとある質問の受けてのバドマン監督の第一声だった。どんな質問なのかというと「この4試合、野口選手がどこかでゴールを決めていればもう少し流れが変わったのでは?」だ。

「今更かもしれませんが・・・現代サッカーにおいてFWに求められるものはゴールだけとは限りません。それを取ってくれるにこしたことはありませんが、野口と剣崎は全く別の選手。事実、佐川との連携は良く、彼の3得点はいずれも野口のサポートあってのもの。野口が期待に応えていないというわけでは、断じてないとお答えしましょう」

 記者たちの間でも、野口のポストプレーや前線からの守備の献身性は一定の評価がある。それでもそのような質問が飛んだのは、FWの陣容がそろっている状況にあえて身を投じてきた野口に対する期待値と現状のギャップが小さくなかったことにあるだろう。

 昨年プロ2年目にしてJ2で18得点を記録し、ジェミルダート尾道の次世代エースとしての素質を開花させた野口。その才能にほれ込んだ今石GMの2年越しのラブコールを期限付き移籍という形で実らせ、入団会見では別格の扱いを受けた。故に剣崎とのダブルエースとしてJ1での和歌山の奮闘に一役買ってくれるだろうという野口に対する期待値は、おそらく今シーズン移籍加入した選手の中ではピカイチだったろう。

 だが、現状は・・・辛辣に言えば「落第点」だった。

 全く活躍しなかったわけではない。4月の清水戦でJ1初ゴール、そして一気にハットトリック(実は和歌山という歴史においてもJ1での第1号)を達成。W杯の中断期間明けの浦和戦では決勝点を決めるなど印象的な活躍はあった。通算7ゴールはチームで3番目の数字で、出場機会の少なさをかんがみるとむしろ合格点だろう。ただ、一つ上の竹内にはダブル、リーグ得点王の剣崎と比較するとトリプルスコアの差をつけられている。無論この2人が抜きんでているというのもある(そもそも3人で6割の42点も取っているのだから異常な攻撃力であることを証明している)が、J1のスピードへの対応が遅れたことが今もその差となって現れたままとなっている。


「なんとかゴール決めたかったんですけどねえ・・・とどのつまりFWはやっぱゴールですからね」


 当の本人も、剣崎と竹内(プラス小宮)がいない間に結果を残したいという思いもあったろう。甲府戦後にそうため息混じりに呟いたこともあった。

 断りながらもなおもラブコールを贈ってくれた和歌山と、戦力不足ながら快く送り出してくれた尾道。今の野口は、二つの期待を背負っている。生真面目で責任感の強い性格も手伝い、思うように結果を残せていないことに対するもどかしさ、焦りもあるのだろう。

 ただ、だからこそ自分の持ち味を再認識することが重要である。相手DFに競り勝つ強さと前線のリズムにタメをつくるキープ力が彼の『カラー』である。何よりも和歌山の選手たちは、そのカラーを互いに最大限発揮しあうのが特徴だ。『FW』だからとゴールという結果にとらわれるのではなく、『野口拓斗』という個のカラーをライバルたちとぶつけ合うことがより良い結果を産み出すはずだ。天翔杯準々決勝でのプレーに注目したい。


他人のキャラなのにいじめてるみたいです(汗)

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