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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ある少年Aの噺

作者: 夜月

 今日も今日とて、変わらない日々を過ごしている。


 いや、今も刻々と変化している変わらない日々を過ごしていると言った方が正しいかな……







 気持ち早めの朝を迎えて、



 いってきますと外に出て、



 友達と他愛もない話をして、



 子守唄のような先生の授業を受けて、



 人と談笑しながら歩き、



 ただいまと家に入り、



 お風呂で体をほぐして、



 テレビの前に陣取り、



 大量の課題をさっさと片付け、



 今日も変わらないなと思って、







 今日はちょっと首を絞めてみて、








 ああ、やっぱり変わらないと呟いて、



 どうすれば変わるかなと考えて、



 面倒くさいと諦めて、






 自分が死んだらどうなるだろうと目を綴じて、




 愉しくないからまあいいやと力を抜いた。














 今日は変わったこともあった。


 だけど、きっと、この日も『日常』に飲み込まれて行くのだろう。






 気持ち早めの朝を迎えて、



 いってきますと外に出て、



 友達と他愛もない話をして、



 子守唄のような先生の授業を受けて、



 人と談笑しながら歩き、



 ただいまと家に入り、



 お風呂で体をほぐして、



 テレビの前に座り込み、



 大量の課題をさっさと片付け、



 今日も変わらないなと思って、







 今日は強く首を絞めてみて、







 ああ、やっぱりダメだなぁと呟いて、



 どうすればいいのかなぁと考えて、



 面倒くさいと投げ出して、






 マッカな月を見上げながらも倒れ込み、




 怖いコワイ、不気味だなァ。と力を抜いた。














 今日も変わらない日を過ごした。







 今日も変わらない日を過ごした。






 今日は少しだけ変わった日だった。

  でもすぐに、いつもの様に、『日常』に飲み込まれた。






 今日も変わらない日だった。






 今日も変わらなかった。






 今日も変わらない。









 今日は流れ星を見た。

  すぐにお願いをしたけど、間に合わなかった。












 今日は初めてお祈りをした。

  でもカミサマは意地悪なようだ。

 だってやっぱり変わらない。











 今日はすごい変化があった。

  きっとカミサマに祈ったおかげだろう。

 でもマダ変わらない。







 今日は変わらない日を過ごした。

  つまらない。







 今日も変化なし。





 今日も変わらない。





 今日は*****だった。でも……変わらない。


















 今日、頑張って試してみた。

  変わったと思って喜んだけど、結局ソレは偽物だった。

 落胆した。







 今日も変わらない日だった。






 今日も変化がなかった。





 今日も変わらない。少しだけ虚しくなった。

    でも、それも、飲み込まれ、て…………









 今日は***を大規模にやってみた。

  なのに全然変わらない。






 今日も、






 今日も、






 今日も、








 今日は試 たく  ったコ をやってみ 。

     シ  ナカ    と     タ

  誰 気付かな  ら変わ  い。

   モ    イカ   ラな










 今日、やっと変化が訪れた。

  皆慌てふためくのが面白い。ああ、やっぱり、こうでなくちゃ。





















 今日も今日とて、変わらない日々を過ごしている。






 少し早めの朝を迎えて、

    ( アナタを見たくないから )



 友達と他愛もない話をして、

    ( 誰も気付かない、仮面の奥のボク )



 少々難解な授業を受けて、

    ( ああムズカシイ、人の心のコトなんて )







 死にたいなぁと考えて、

    ( だって気付いてくれないでしょう? )







 急な坂を駆け上がって、

    ( 迫る濃紺からニゲルように )






 課題をカンペキに終わらせて、

    ( 完璧に、そう、カンペキに 完璧じゃなくてはいけないのです )







 見てくれないなぁと呟いて、

    ( 知ったフリして、誰も見てない )





 寂しいなぁと考えて、

    ( そういう資格はないんだろうけど )











 そうして、また。










  眠る君の横顔に微笑みを向けながら、

    眠るキミの目の前で、こっそり首を絞めてみる。







             (キミは気付いてくれるかな?)






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