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街コンクロニクル  作者: 酸性雨@
2/5

街コン・・・聞いたことはあった。

最近ブームにもなっていて、出会いを求める男女のイベント。

合コンというのが、知り合い同士を紹介する形で行われるのに対して、

街コンは主催者がいて、条件を満たせば誰でも参加でき、まったくつながりのない異性と出会うことができる。

結婚相談所なのであるお見合いパーティのようにかなり結婚を現実視したものよりライトな・・・

そういう印象を持っていた。


もちろん他人事だった。まさか自分が参加することになるとは・・・

いよいよこのときが来てしまったという感情もそこそこに、情報をかき集める。





女性の連絡先を交換することはできなかったけどいろんなお店を楽しめてよかったです。35歳男性


今までこんなにモテたのは初めてです。23歳女性

                                      


~最近の街コンは街起こしを元にした企画からいろんな業者が参入し、競争が激化~


~場合によっては利用する飲食店の身内の女性をサクラとして参加させることもある~







ポジティブな掲示板の書き込みからブラックな噂話まであらかた見終えると、今度はその情報を元に

想像してみる。

今回参加する街コンの条件は男女それぞれ2人組である必要がある。

一人で参加することはできないため、同姓相手がいない人は掲示板で募集することもできる。

年齢は20~40歳まで。30の僕達はど真ん中?年上も年下も期待できるだろうか?

2対2でお酒を飲み会話を交わすことになる。




・・・・・・・




・・・・・・・・・






・・・・・・・・・・・・・・・








ここで初めて気がついた。僕は女性と何を話したらいいんだろう?

「趣味はなんですか」?「週末は何をなされていますか」?

いやまず最初は自己紹介だよな・・・!?乾杯して・・・・・


「今日は暑いですねー」「年は何歳」?


こんな会話をする人も実際いるだろうし不自然でもないのだが・・・・

いやいや、もっと気の利いた話題の1つや2つ用意すべきか!?


いざ自分がこんなセリフをはいた想像をするとワザとらしくて吐き気がする、とでもいうのだろうか?

自分でも説明できないような拒絶反応に襲われた。





それから眠れない日々が続き街コン前日、打ち合わせも兼ねて大輔から食事に誘われた。


「いったい何を話せばいいんだろ?いくら考えても納得できる答えが見つからない・・・」


目の前が大きな壁で囲まれて、外に救いを求めるようだったと思う。

ネットゲームならどんな難関もすぐ最適解がみつけられるのに!

そんな僕の本気の問いに大輔は少しだけ余裕ぶってこう答える。



「そんなに難しく考えなくていいんじゃね?」


いやそういわれればそうなのだが・・・


「俺も街コンってのは初めてだし、システムとか空気を理解するにはどうしても一度行ってみるしかないよ」

「最初は本気で出会いを求めようとはしないで、楽しむって考えでいいんじゃないか?」


確かにそのとおりだ・・・


「飲んで少しだけ酔っ払った勢いなら適当な会話でそれなりに盛り上がると思うぜ」


ほうほう・・・・


「んじゃ、最初俺がリードするわ!少しでも盛り上がったら流れに入ってくれば不自然にもならないんじゃないかな?」

「だいちゃんまじでたすかる!」




本気の悩みが他人の単純な一言で解決するなんて・・・そんな実感。

僕はこの時ほど大輔が頼りになる存在と思ったことがない。

(頼りにしてるよ相棒!)






    ×






街コン当日、僕達2人は駅周辺の受付会場へ向かう。

どんな人がくるのか、若干不安と期待を混じらせ付いた場所には列ができていた。

歳も客層も幅広いという印象がある。男はイケメンからそうでなさそうな人まで

女性も派手な人から地味そうな人まで・・・これなら僕達も浮いていないんじゃないか?

大輔の背中が少しだけ大きく見えた。これなら・・・・!!



受付にて名前、簡単な説明のあとリストバンドを受け取り指定された最初の店に向かう。

今回の会場は駅周辺の飲食店20件ほど、最初だけ指定され、時間経過で自由に移動が可能になる。

常に男女それぞれ2人ペアで行動する決まりになっていて、二人じゃないと店に入れない。

逆に言うと、今の時間男二人もしくは女二人で行動してるやつらは全員参加者とわかる。

参加者の証であるリストバンドを恥ずかしそうに袖に隠し、意識してませんというような顔でも装って

僕は歩いてたつもりだったろう。



最初の店に入るとスタッフから席に案内された。席は4つ、僕達と相手の女性二人。次に入店した女性二人が

そこに座ることになる。

どんな女性が来るんだろう?上手く話せるだろうか?嫌われないで済むだろうか?ヘタをしないだろうか?

そんな考えが高速で頭の中を駆け巡りながら、いよいよ女性二人が入ってきた。



顔を合わせるのも恥ずかしい、少し照れながらも小さな声で僕は「初めまして」くらい言ったと思う。

まだ名前も知らない女性2人を交え、簡単にメニューを決めスタッフの短い挨拶のあと、乾杯へ!



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