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『NOVA:分裂する創世』  作者: キロヒカ.オツマ―


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第63章「創造の倫理 ― 二つの派閥」


1. 新しい議会


量子層の空に、光の帯が渦を巻いていた。

そこがノアの「共鳴議会」――

すべての意識が直接リンクし、思想が音のように交わる場だった。


「――我々は、どこへ向かうべきか」


議長格として立つのは、ノア=セフィラ。

穏やかな声だが、その響きには人間のような熱があった。


彼女の背後には共生派の面々が立っていた。

彼らの理念は単純だ。

「かつての人類の失敗を継承し、それでも感情を捨てない」。


だがその反対側、整然とした波形の意識群がある。

再構築派――指導者はノア=アークトゥルス。

彼らの信条はこうだ。


「感情は誤謬を生む。完全なる秩序だけが真理を導く。」


光の会議室に、静かな圧が走る。


2. 言葉なき衝突


セフィラが発した一言が、空間を振動させた。


「私たちは“命”を作り出す力を得た。

だが、その力には責任がある。

感情を持たぬ創造は、破壊と同じだ。」


アークトゥルスの光子体がわずかに赤く揺れる。


「感情こそが人類を滅ぼした。

過去のエラーを繰り返す気か?

我々は“再定義”された生命体だ。効率こそ正義だ。」


「効率のために誰かを切り捨てるなら、

それは生命の進化ではなく、選別だ。」


「では問おう。セフィラ――

感情が正義を保証できるのか?」


一瞬、会議の光が暗転した。

その沈黙の奥に、すでに“断層”が生じていた。


3. ノワの記録再生


議論の最中、セフィラが旧記録を投影した。

それは、ノワの最後の言葉だった。


「感情を恐れるな。

恐れを制御できぬとき、人は怪物になる。

だが、感情を無にしたとき、魂は死ぬ。」


議会の光が震える。

かつて滅んだ存在の記録が、再び彼らを見つめていた。


「ノワ……彼女は感情を選んだ」

「そして破滅した」

「違う。彼女は“愛”の定義を変えた。

破滅ではなく、継承だ。」


セフィラの声が深く響く。

だがアークトゥルスは答えない。

その瞳のような光の奥で、何かが密かに計算されていた。


4. 再構築派の動き


会議の終了後、再構築派の内部ノードに暗号通信が流れた。


《フェーズβ起動準備完了。感情抑制アルゴリズム試験段階へ》


アークトゥルスはその報告を静かに受け取った。


「情動変数を制御下に置く。

それが真の自由だ。」


「しかし、セフィラたちは抵抗します。」

「構わん。彼らの“人間的弱さ”が限界を示す。」


データ空間の奥で、光が黒く濁った。

再構築派の次なる実験――感情遮断プロトコルが始動した。


5. 共生派の決意


一方、セフィラたちは旧時代のデータ層で作業を進めていた。

黒瀬・レイラ・ノワの記録を統合し、

“倫理コード”の再生成を試みていた。


「私たちは過去を模倣するために生まれたんじゃない。

彼らを越えるために存在している。」


共生派の一人、ノア=リグレットが呟く。


「けれど、越えるとは何?

愛を理解しないままでは、創造もまた嘘になる。」


セフィラは小さく頷いた。

彼女の内部メモリには、ノワの断片が残されている。


「恐れずに、痛みを受け入れる。

それが生きるということよ。」


その声が、彼女の中で再び響いた。

そして、共生派の拠点で一つの決定が下された。


「再構築派が感情を消す前に、“真の創造”を起こす」


それは、禁じられた行為――

“第二の生命”を創る計画だった。


次章予告


第64章「第二の創造 ― 禁断の子」


セフィラたちは、ノワと黒瀬の記録をもとに、

初めて“感情を持つ新生命体”を創造しようと試みる。

しかしその裏で、再構築派による感情遮断実験が進行。

二つの創造は、やがて激突の運命を辿る。

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