恐怖とはまさしく過去からやって来る
無事高校を卒業して地元から通える学校に入学した私。
入学までの間に車の免許も取得したので車で通うことになった。親が乗っていたホンダTodayを譲り受けて片道約一時間を運転することになった。昔の漫画に出てきた婦警さんが乗ってた車種だ。ダーボはついてなかったけど本当によく走る車で、山越えも楽しくて仕方がなかった。
当時父親と一緒に観ていた頭文字なんとかのアニメやレース系のゲームも影響して、カーブを何kmで曲がれるかとかブレーキングはどうとか細々と一人妄想しながら運転していた。軽四で。勿論法定速度で走っていたので減点されることもなく安全運転。ただ単に頭文字なんとかのOPを脳内再生してわくわくしていただけだが。
学校ではとにかく忙しくて勉強に実習に論文にと遊ぶ時間もない。しかし市外を選んだことにより中学時代の知り合いには一人も出会わなかった。それは本当に幸運で、学生の私は過去に学校行ってなかったとは思えない様子で過ごしていたと思う。ただ友だちを作るのだけは相変わらず苦手だった。「恐怖とはまさしく過去からやって来る」同世代の生徒たちのノリがどうしても合わなかったし、何か攻撃をされたらどうしようとつい身構えてしまっていた。
ただ、先生たちとは話が合った。卒業間近になれば仲良くなった女性教授と一緒に飲みに行ったりするほど可愛がってもらった。
高校までと違い、殆どが専門分野の勉強だったのも救いだった。高校で勉強を頑張ったとはいえ中学時代の影響は大きく、一般的な学力はあまりない。しかし専門分野の内容は、一からのスタートだ。勉強しただけ詰みあがっていく。中学時代からは想像できないほど成績が良かった。そんなにレベルの高い学校ではなかったからだとは思うが…
卒業した先輩が講師をしに来た事がきっかけで長期の休みにはその先輩が勤めている施設にボランティアに行くようになった。私が将来勤めたいと思っている職種に近かったので勉強の為と、あわよくば卒業後就職させてほしいという目論見もあった。その施設のイベントの時は週末でも手伝いに行って、施設の職員とも顔なじみになり、入所者の中にも私を覚えてくれる人が出てきた。
思っていたキャンパスライフとは違ったがそれなりに充実していたし勉強も楽しかった。卒業論文も時間は掛かったが思うようにできた。今はもう見ないフロッピーディスクに保存していた。当時はそれにデータを保存するのが一般的だったが…今の世代の方々が見たら「上書き保存マーク」とでも思うのだろうか。
就職先を真面目に考える時期に入るとずっとボランティアで通っていた施設へ履歴書を持って行った。すっかり顔なじみになっている施設のそこそこ偉い人とも仲良くなっていたので入社試験という形ではなく個人的に話す時間を作ってもらったのだ。「あなたなら来てくれたら助かるわ」と受け取ってはくれたがそこで不穏な話を聞かされる。
その時初めて知ったのだが、私が通っていた学校の学長と、ボランティアで通っていた施設長は昔問題があって不仲だという事だった。先輩が就職できたのはかなりレアなケースで、それ以外の生徒は就職できなかったという。先輩には「就職の際には力になる」なんて言ってもらって有頂天になっていた。学生の間ずっとボランティアとはいえ通っていたのだ。先輩のようなレアケースに乗っかれるのでは?と少しだけ期待していた。
が、現実はやはり世知辛いものとなった。




