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やれやれだぜ

 受験会場で多数の受験生がいたが、市外の学校だけあって中学時代までの知り合いは居なさそうだ。もし仮にここにいる全員が合格しても中学までの私のことを知っている人は居ない。それは心底安心した。高校3年間である程度社会復帰を果たしたが、かといって過去の辛かった出来事をきれいさっぱり忘れられるはずもなく、もし過去の同級生に会おうものなら受験を冷静に受けることなどできなかったかもしれない。


 小論文も面接もつつがなく終わった。

 高校受験の面接で父親がやらかした「ハッピーうれピーよろピくねー」事件もなく平穏無事に試験は終わった。試験結果も寮に届くようにしていたのかどうかも覚えていなかったがあっさり合格しあとは卒業を待つばかりだった。


 卒業式の前夜には「退寮式」がある。今まで寮の行事に関わってきたが退寮式は2年生1年生と先生たちが計画してくれる。サプライズ的に先生や生徒が出し物をしてくれるのだ。行事を計画する大変さは知っているし、過去の退寮式も企画したのでどんな事をしてくれるのかわくわくした。そしてとてもいい式だった。感動して泣くというよりも笑いすぎて涙が出た。明るく送り出してくれる後輩たちと先生たちに感謝した。


 卒業式の時期は両親の仕事が一番忙しい時期に重なっている。受験や入学の時は無理してきてくれていたが、3年間学校と自宅を行き来すれば自分一人で自宅に帰ることに何ら問題なかった。そういえば高校に入ってから体育祭や文化祭など行事が沢山あったが特に親に来てもらった記憶がない。遠いし、多分、自分から来なくていいと言ったのだろう。そんな訳で卒業式も親が来ることなく始まった。


「中学校の卒業式では笑いが止まらなくなったなぁ」なんて思い出していたが、笑いが止まらないということは無かった。多少のトラブルは合ったが基本的には同級生みんなと仲が良く過ごせた。周囲を見れば涙を流す同級生たち。笑いが止まないどころか絶対泣かないぞと謎の気合をもって耐えようとしていた。


 しかし「卒業生退場」のアナウンスとともに流れた曲が当時流行っていた映画の曲で学校側からの「泣かせてやる」の圧を感じる感動的なもの。昨夜の笑いすぎて涙が出る陽気な退寮式から一転して泣かせにかかってやがる。そういうことするよね。「やれやれだぜ」この学校は。と思ったらうっかり涙が出た。


 小学校から始まった不登校生活。この高校に入学しなかったら私は社会復帰も難しかったかもしれない。でも今は真っ当に高校を卒業しようとしている。学校という組織に嫌な思いしかなかった私がこの高校へ本心から感謝している。ありがとうございました。おかげで社会復帰できました。

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