クールに去るぜ
寮生活というのはいいところもあるが勿論しんどいところもある。人それぞれ違うとは思うが、私は弱っているときに頼れる人を見つけられないことがしんどかった。悩みや愚痴の内容によっては友だちに話せるが、私だけの味方が欲しいと強く思うことがあった。そんな時、部活の先輩がそんな存在になりつつあった。
寮の部屋には私物が沢山あるが、本屋は近くにないしお金もないのでお互いに漫画の貸し借りをすることはよくあった。が、私のバイブル「ぼのぼの」という漫画は寮内でも不人気で、他の漫画はよく借り手があったのに「ぼのぼの」だけは借り手がいなかった。「こんなにいい本なのに」と不人気の理由が分からなかったのだが、先輩は「ぼのぼの」が好きでそこから始まった交友関係だった。
「自分だけの味方が欲しい」といった話にも同感してくれ「それが彼氏彼女にあたるのかも」なんて話もした。明るくて話しやすくて週末に私と2人で会ってくれる事にも特別感があって私は密かに恋心を抱き始めた。2人で話す時間も増えて「これはまさか両想いなのでは?」と恥ずかしくも考えて始めていた。そんな時「相談がある」と呼び出され「これはもう告白だろう!」と意気揚々出かけたある日。
「好きな人とかいる……?」と下を向き、言いにくそうに、そして恥ずかしそうに話す先輩。
「これもう間違いねぇ」と内心思いながら
「急にどうしたんですか?」と平穏を装い答える。
「好きな人がいるんだけど……」と先輩。キタキター!
「君の友だちのあの子なんだけど」
ん?なんか違う話になってきたぞ?
その友だちというのは私がよく一緒にいて寮の役員なども一緒にしていたモテる生徒学年ベスト3にはいる。なるほどそりゃ好きになるわ。いい子だし。私の淡い恋心が盛大に粉砕した一瞬だった。
その生徒に好きな人は居るのかと聞かれ確かフリーだったと教える。
「先輩とも仲がいいし告白してみたら成功しそう」とアドバイスし、その数日後友だちと先輩は付き合い始めた。
「相談に乗ってくれてありがとう!」と一点の曇りもなくお礼を言う先輩。一方曇りだらけで「おめでとう!」と返す私。なんという地獄絵図。
そんな訳で私は淡い恋心をその辺に捨てて「幸せになれよ」とクールに去ったのだ。




