まさか!まさかそんな!だめだそんなこと!
学校生活と寮生活にも慣れ始め、何となく話の合う友だちができ始めた頃に同級生4人が校則違反で退学処分になった。義務教育との違いを直視することになりかなり驚いた。
中学校では退学処分なんてことはないからだ。
そして同じクラスの仲がいいグループの中にも退学者が出た。
その生徒は昨年出席日数が足りなかったかなにか理由があって2回目の1年生をしていた生徒だったがそれを気にする様子もなく話も合うので仲良くできた。同じクラスに好きな子がいるけど告白しづらいなんて相談を受けたりもしてニヤニヤしながら恋路を見守っていた生徒だった。
その生徒も校則違反をしたのだ。退学処分になって学校から出るとき、みんなで見送りをした。その生徒はそういうことを嫌がる様子も見せずあっさり手を振って学校を後にした。そんな長い付き合いではなかったがそれなりに仲良くしていたので寂しくてしばらくは同じグループ全体的にしょんぼりしていた。
中学校に行っていなかったという経験者も多い学校だったので、校則違反以外にも中退してしまう生徒は時々でた。帰省日で地元に帰った後、帰寮日に返ってこないまま中退する生徒もいた。
私の高校はありえない程の山中にあるが、「脱走」とか「脱獄」などの伝説があった。基本的に学校の敷地外に出るためには担任の許可をもらい、寮の事務室にいる宿直当番の先生に見せ外出するのが正規のルートだが夜中に部屋から抜け出す行為を「脱走」や「脱獄」と言われていた。
そんなに厳重な門ではないので敷地外に出ること自体はそんなに難しくないのだが、バスがない夜となると話は別だ。敷地を出た後、街に出るまでに途方もない距離を歩く必要があるからだ。脱走して向かうのは自宅なのかもしれないがほとんどの生徒は最低でも市外だ。夜中に脱走して、徒歩で街に着くのは朝なのでは?と思うような山中。しかも猪や鹿なんかも出るとかでないとか。脱走の伝説を聞いたことはあったが想像するだけでゾッとする距離なのでそれをする気は全くなかった。「脱走する!」と友だちが言い出した時は全力で「まさか!まさかそんな!だめだそんなこと!」と止めに入っていた。
しかし同級生の中にもその伝説を実際の物にする生徒もいた。そしてそのまま中退してしまうのだ。
私の学年は特に退学、中退が多い学年で卒業までに何度も編入生が入った。入ったが全体の3割の生徒は卒業できなかった。




