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ハッピーうれピーよろピくねー

 自分の人生においての重要人物が同じクラスにはいない。

 それが思ったよりも快適だった中学3年生。休み時間は隣のクラスにいるオタク仲間の所に行って当時ハマっていた漫画の話をして盛り上がっていた。同じクラスには友だちと呼べる人を作るつもりもなく過ごしていたが、私から立ち上るオタク臭があったのか意外にも同じクラスにも友だちができ始めていた。


 初めから好きに過ごしていたクラスだったので成績が悪いことも全体的に態度が悪いことも分かっているのに仲良くしてくれた。重要人物なんて同じクラスには必要ないと思ってはいたが、新しく友だちができるのは嬉しくもあった。


 修学旅行も「どうせ面白くないんだろ?」と思いつつ参加するつもりだったが、修学旅行前に友だちができたので幸運にも楽しかった記憶がある。小学生の修学旅行は欲しい写真は一枚もなかったが、中学校の修学旅行は欲しいと思える写真があった。


 とはいえ、出席日数もほとんどないし、学力は地を這うレベルでひどい。

 そもそも普通に高校生活が送れる予感は一切なかったので、高校は通信制に行くつもりでいた。というか、自分の今後の人生に何もビジョンはなかったのだ。


 両親は私のそんな状態と感じ取っていたのか進学について特に口出しはしてこなかったが、秘密裏に県外の高校の見学に行っていたらしいと後日知る。全寮制の高校で、出席日数も考えなくていい。私のようなどうしようもない状態の中学生も受け入れるとの事だった。しかし倍率が凄かった。県外からの受験生は特に枠が少なく10倍だと言われた。「10人に1人の合格者・・・だと?」


 両親は「受からなかったら通信制でも夜間でもいい。でももし受かったら入学してほしい」と気を使いながら話した。「受かる訳ない」と高を括って受験することを承諾した。実は少しだけ期待もあった。

「もしかしたらここから人生やり直すことができるかもしれない。受からなかったらそこまでと思って諦めもつく。」


 県外からの受験生が多いとの事だったが私の地元に試験会場は無く、学校まで受験しに行くしかなかった。両親は仕事をしていたが長距離ということもあって何とか調整して同行してくれた。というか両親と私の3人揃っての面接があった。高校受験で両親込みの面接とか・・・特別感半端ない。


 試験内容も作文と面接のみ。三次試験まで用意されていたように思う。

 試験当日、これもう陸の孤島だろ?ってくらいの山の中にその学校はあった。まだ開校して年数も浅いため建物も綺麗で驚いた。しかも山の中だからか運動場も広すぎるくらい広かった。第一印象は「綺麗な学校」第二印象は「とにかく山」だった。


 試験は作文からということで親を離れ教室に向かう。昔から漫画も小説も好きだったので文章を書く事に抵抗もなく、作文の課題は「自分が大切にしてること」だったかな・・・「私は第一印象で人を判断しがちなので判断する前に相手をよく知ろうと思う」のようなことを書いた気がする。覚えてないけど。


 面接ではまず私だけ面接。その後両親も一緒に面接だった。


 3人面接官。教頭、生活指導の男女・・・だったかな。緊張しまくって参加したが威圧的な感じは一切なく和やかに会話は弾んだ。両親が同席してからも和やかな雰囲気はそのままに進んでいった。


「では質問は以上です」と面接官が会話を打ち切ろうとしたとき、父が「ちょっといいですか!」と発言した。私は父も好きだし仲が良かったが、友だちも敵も多くて、ガサツで声の大きい父は面接向きの上品なタイプではない。私と母が嫌な予感しかしないと恐る恐る父の発言を待った。「ハッピーうれピーよろピくねー」とふざけた事を言うのではないかと胃がきゅぅっと縮まった。


 「うちの子は!とても健康です!熱があっても食欲だけはあるんです!!!」

 鼻息荒く自信満々にいう父。「マジかよ」と顔面蒼白になる私と母。面接官の一人が「僕もです~」と返答し面接は終わった。


 面接が終わった後、父になぜあんな発言をしたのか聞くと「全寮制では体の丈夫さも大事だろ!?そこアピールしておいた!!」と今までで一番のどや顔をした。「そういうとこ私は好きだけど面接ではうけないでしょ・・・」これはもうダメかもしれない。と諦めの境地で結果が送られてくるのを待った。

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