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第7話〜Cランク昇格試験〜

俺はクリスタとウルカに家の事を任せた日からまた沢山依頼をこなして、遂にCランク昇格試験を受けられるまでになった。


 「よう。来たな、ローウェン」


 「ああ。今日はCランクへの昇格試験を受けに来たんだが」


 「ああ。ちょっと待ってろ」


 ヒュースはそう言うと、自分の机の引き出しを開けて書類を探っていた。


 「おお、これだこれだ」


 「どんな内容なんだ?」


 「お前さんも聞いてるだろうがCランクへの昇格条件は盗賊の捕縛及び討伐になる。これが対象の盗賊団の概要だ」


 俺はヒュースから受け取った書類に目を落とした。


 「そいつらはここから徒歩で2日程離れた平原に現れては通りかかった商人達を襲って金品や商品を奪い取ってるんだ。盗賊団の名前は「紅蓮のトカゲ団」だ。頭の名前はゴーマンと言って、実力はCランクの冒険者くらいはあると思う。どうだ?受けてくれるか?」


 「勿論だ。受理してくれ」


 「ああ。頼んだぞ」


 俺はヒュースと握手を交わし、下に降りた。


 下に降りた俺はエリカに声を掛けた。


 「エリカ。今からCランクの昇格試験をやってくる」


 「いよいよだね。気を付けてね。あいつら人数もそこそこいるから」


 「分かってる」


 「じゃあ、行ってらっしゃい」


 「おう」


 俺はギルドを後にし、盗賊が現れると言う平原を目指して王都を出発した。


 盗賊の出現場所まで本来なら徒歩で2日程かかる距離にあると言われていたが、俺は<スピードアップ>のバフを自身に掛けていたこともあり依頼を受けた次の日には到着していた。


 (さて、そろそろ依頼のあった場所のはずだが盗賊達は何処にいるかな?)


 俺は盗賊達を探す為、周囲に索敵魔法を発動させた。


 「<サーチ>」


 自身の魔力を伸ばすイメージで索敵魔法を展開させると、森の中にこちらの様子を伺っている奴らを10人ほど見つけた。


 「おい!そこにいる奴ら。出てこいよ。いるのは分かってんだぜ?」


 俺が声を掛けた森の中から盗賊と見られる怪しい連中が現れた。


 「へっ!ここらは俺達「紅蓮のトカゲ団」の縄張りだぜ?怪我したくなければ有り金全部と持ってる荷物を置いて行きな」


 「お前達か。最近ここらを通る商人を襲っては金品や商品、果ては怪我まで負わせてるって言う盗賊団は」


 「そうだ!と言ったら?」


 「お前達の捕縛及び討伐依頼が出ている。俺がお前達を捕らえる」


 すると盗賊達は腹を抱えて笑い出した。


 「お前1人に何が出来るんだよ!お前ら!やっちまうぞ!」


 「「「おう!!!」」」


 すると盗賊達は、全員で襲いかかってきた。


 「遅いな。<テンペスト>」


 全ての攻撃を交わした俺は、盗賊達に向かって水属性と風属性の複合魔法である<テンペスト>を発動させた。


 魔法の直撃を受けた盗賊達は、嵐に打ち上げられ体を地面に叩きつけられていた。


 「体の何ヶ所かの骨が折れている。これでお前らは満足に動けないはずだ。」


 「くそっ!まさか俺たちがやられるなんてな」


 俺は盗賊達を縛り上げて、ある質問をした。


 「さて、団員であるお前達は捕らえたわけだがお前達の頭は何処だ?ここにいないってことはまだアジトか?」


 そう。こいつらと遭遇した時、鑑定魔法で全員を見たがボスのゴーマンという奴がいなかったのだ。


 「そんなの言うわけないだろ!俺達を捕らえてもボスさえ逃げてくれればまた盗賊団は復帰できるんだよ」


 「そうか。じゃあ、お前達に協力してもらうぞ」


 「なっ!何を!?」


 「こうするんだ。<スリープ>」


 俺がデバフ魔法である<スリープ>を唱えると捕らえた盗賊たち全員が眠ってしまった。


 「これは対象を暫くの間、眠らせておく魔法だ。そして、見させて貰うぞ。<記憶干渉(メモリー・リリース)>」


 俺は記憶干渉の魔法を使い、眠った盗賊からアジトの場所を見るのだった。


 (なるほどな。こいつらのアジトはここからそんなに離れていないようだな)


 俺は魔法を切り、眠った盗賊達を空間魔法で作った箱に入れた後、ボスであるゴーマンを倒し捕らえる為アジトに向かった。


 バフのお陰でこいつらのアジトにはすぐ着いた。


 「この中にあいつらのボスがいるのか。良し」


 俺は意を決して、敵陣の中に入り込むのだった。


 アジトである洞窟を進み、突き当たりの大きな部屋に辿り着くと1人の大男が酒盛りをしていた。


 「ったく!あいつら遅すぎだろ!何やってんだよ」


 「お前の仲間なら来ないぜ?」


 「誰だ!」


 「俺はDランク冒険者だ。お前は「紅蓮のトカゲ団」ボスのゴーマンだな?」


 「何で知っていやがる!?」


 「あんたは有名だからな。お前達「紅蓮のトカゲ団」に対して捕縛及び討伐依頼が出ている。お前達を捕らえる!」


 「やれるもんならやってみろよぉ」


 ゴーマンは自分の武器である大剣を構えた。


 「いくぜ!」


 ゴーマンは上段の構えから斬りかかってきたが俺には遅すぎた。


 「遅いな」


 俺はゴーマンの攻撃を交わすと、奴の背中に魔法を放った。


 <スパーク>!」


 俺が放ったのは雷属性の魔法で、当たった対象を痺れさせることの出来る魔法だ。


 「くそがっ!このままじゃあ、終われねぇよな。来い!キングリザード」


 「キングリザードだって!?」


 ゴーマンがキングリザードを呼ぶと、洞窟の奥から2体のキングリザードが現れた。


 俺がこの前狩ったグリーンリザードは単体でDランクくらいの魔物だったが、キングリザードは文字通りリザード種のボスであり単体でもBランク上位くらいに位置している魔物だ。


 (何でこんな所に上位種がいるんだ?)


 「何で?って顔してやがるな。答えを言うと俺がこいつらが小さい時から飼い慣らしてるからだよ。こいつらは俺の命令なら契約してなくても言う事を聞くぜ!良し!お前達。こいつを潰せ!」


 「「グォォォォォォォォ」」


 2体のキングリザードは俺に向かって突進を仕掛けてきた。


 (当たったらやばそうだが、当たらなければ問題はない。ここは狭いから大きい魔法は使えない。あれで行くか)


 俺はキングリザード達の猛攻を避けながらも作戦を立て続けた。


 そして、キングリザード達の猛攻が止んだ所で俺は魔法を唱えた。


 「良し!今度はこっちの番だ。<天撃>」


 俺は無属性の魔法である<天撃>を唱えた。


 この魔法は対象の内部のみを破壊する魔法で外傷を与えない為、凄く便利な魔法である。


 魔法が直撃したキングリザード達は断末魔を上げることすらなく絶命し、倒れた。


 「討伐完了」


 「嘘だろっ!?こんなことが...」


 俺はボスであるゴーマンの首筋に剣を突きつけた。


 「観念しろ。お前達はここで終わりだ」


 「くそがっ!」


 俺はゴーマンを闇属性の上級魔法である<シャドウバインド>で縛り上げた後、仲間達同様空間魔法で作った箱に入れた。


 「良し。これで依頼達成だな。帰ろう」


 俺は「紅蓮のトカゲ団」が集めたであろう金品全てをアイテムボックスに突っ込んだ後王都に帰った。


 1日野宿をした後、王都に着いた俺はギルドに入った。


 「よう、エリカ。ヒュースはいるか?」


 「ローウェン君おかえり。マスターならいるよ。ちょっと待っててね」


 エリカは自身の席に「離席中」の札を置くと、奥へ下がっていった。


 暫く待っていると、エリカが帰ってきた。


 「お待たせ。マスターが連れて来てくれって言ってたから一緒に行こう」


 「ああ」


 俺はエリカと一緒にヒュースのいる執務室に向かった。


 コンコン


 「おう!」


 「マスター。ローウェン君をお連れしました」


 「入ってくれ」


 「失礼します」


 部屋に入ると、ヒュースは書類に目を通していた。


 「少ししたら終わるからソファーに腰を掛けて待っててくれ。エリカは3人分紅茶を淹れてくれるか?」


 「分かりました」


 俺はソファーに深く座り、エリカは紅茶を淹れにいった。


 数分後、エリカが紅茶と茶菓子を持って戻って来たタイミングでヒュースが一息ついた。


 「すまんなローウェン。俺も仕事が残っててな」


 「構わないぞ。それで依頼の件だけど」


 「どうだった?」


 「依頼達成だ。後で下で出すが奴らは捕らえてある。捕縛でも大丈夫だったよな?」


 「ああ。問題ない」


 「ただ、今回は俺にも予想外の事が起きて少し焦ったけどな」


 「?何があったんだ?」


 「実は部下達を捕らえた後、ボスのところに行ったんだが奴を追い詰めたらアジトの奥からキングリザードが2体現れたんだ」


 俺の口からBランク上位に位置する魔物の名前が出たのが衝撃だったのかヒュースもエリカもかなり驚いていた。


 「キングリザードだと!?」


 「かなり高位の魔物だよ!?」


 「ああ。流石の俺でも驚いたけど逃げれる状況じゃなかったし、何より外に出て来てしまったら被害がもっと大きくなるような気がしたから俺の手で倒したよ。高位の魔物だから俺も超級魔法を使ったけどな」


 「そうなんだ。ローウェン君が無事で良かったよ」


 エリカは俺が無事で帰って来たことにホッとしているようだった。


 「その倒したキングリザード2体の素材はどうしたんだ?」


 「アイテムボックスに入れてあるから後で盗賊達と一緒に出すよ」


 「そうしてくれ。エリカは先に行って鑑定士達を集めておけ。状態が良ければ依頼料に加えて金を出す」


 「分かりました」


 エリカはそう言うと、一足先に部屋を出ていった。


 「ところで捕まえた盗賊達だが、この後憲兵に突き出しておこうか?」


 「そうしてもらえると助かる。俺のサインを入れた依頼書を見せてくれれば良いと思う。それにしても盗賊団の捕縛にキングリザード2体の討伐か。Cランクとは思えないな」


 「ありがとう。これからも早く上に上がれるよう頑張るよ」


 「おう!頑張ってくれ」


 俺はヒュースと握手を交わした後部屋を後にしてエリカの元へ向かった。


 「あ!来たきた。ローウェン君。こっちだよ」


 「待たせたな。そういえばあんたは確かリンだったよな。隣の男性は?」


 「1回しか会ってないのに名前を覚えてくださってるんですね!嬉しいです!改めましてギルド職員で鑑定士のリンです。隣の男性は同じく鑑定士のコランです」


 コランと紹介された男性は一歩前に出て来た。


 「ただいまご紹介に預かりましたコランです。見ての通りエルフ族です。リン共々よろしくお願いしますね」


 「ああ。よろしく頼む」


 俺とコランは握手を交わした。


 「さて、こいつが俺が討伐したキングリザード2体だ。鑑定を頼むよ」


 俺がアイテムボックスからキングリザード2体を出すと、リンもコランもかなり驚いていた。


 「本当にキングリザードですね。かなり高位の魔物ですよ」


 「しかもかなり状態が良いですね。これは査定もプラスされるでしょう」


 「そうか。俺は今から憲兵の所に行くから査定が終わったらエリカに預けておいてくれ」


 「分かりました」


 俺は素材の鑑定をコラン達に任せ、ギルドを後にした。


 ギルドから出て数分後、俺は憲兵がいる詰所に来た。


 「すまない。誰かいるか?」


 俺が奥に呼びかけると、奥から若い男性とガタイのいい男性が現れた。


 「どうしたんだ?」


 「俺は王都ギルドの冒険者でローウェンと言う。実は依頼で盗賊の討伐を受けて、捕縛したから出したいんだがどこに出せばいい?」


 「盗賊の名前は分かるかい?」


 「ああ。盗賊団の名前は紅蓮のトカゲ団でボスの名前はゴーマンだな」


 「紅蓮のトカゲ団を捕まえたのか!ありがたい」


 「盗賊団は地下の牢屋に出してくれるかい?案内するよ」


 「頼む」


 「そういえば自己紹介をしてなかったね。僕はラフ。そしてガタイの大きいのがルクラだよ」


 「ルクラだ。よろしくな」


 俺はラフとルクラとそれぞれ握手を交わした後、ラフに付いていき地下の牢屋を目指した。


 「着いたね。部下達はこっちに入れて、ボスはこっちに入れてくれるかい?」


 「分かった」


 俺は言われた通りボスのゴーマンと部下達を分けて牢屋に入れた。


 「眠っているようだね」


 「ああ。暴れられると面倒だから眠らせたんだ。その後俺のオリジナル魔法でもある記憶を見る魔法で情報を見させてもらったよ」


 「そんな魔法があるのかい!?盗賊達は拷問しても絶対に情報を吐かないから結構大変なんだけどローウェン君のその魔法なら簡単に抜き取れそうだね」


 「ああ。俺が暇な時で盗賊の情報が見たい時はギルドに指名依頼をしてくれれば手伝いに来るぜ」


 「助かるよ!もし有事の時は頼むよ」


 俺はラフと握手を交わして上に上がった。


 「じゃあ、またな」


 「おう」


 俺はラフ達と別れ、再びギルドに向かい報酬金を受け取って家に帰った。

どうも!ユウキです。


今回は魔物の解説をします。


キングリザード:リザード種のボスであり単体でもBランク上位、群れになるとAランク上位に位置する程の危険な魔物。

得意戦法は大きな体格を活かした突進攻撃や武術であり、まともに食らってしまえば致命傷は避けられない攻撃力を持っているが、逆にその体格ゆえスピードはそんなにない。

討伐証明部位は尻尾。



オーウェン君もいよいよCランクに昇格しましたね。


次回ではローウェン君の初めてのパーティーメンバーになる人物が登場します。お楽しみに

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