第5話〜冒険者登録完了!と初依頼〜
翌日、朝食を食べた俺はギルド近くの路地裏に転移魔法で移動してギルドを訪れた。
「おはよう、エリカ。昨日ぶりだね」
「あ!ローウェン君。おはよう。早速きたのね。カードならマスターから預かってるからこっちに来てくれる?」
「ああ」
俺はエリカに付いていき、彼女の席に向かった。
「ギルドカードを渡す前に説明があるんだけど聞く?」
「軽くは知ってるが一応頼む」
「分かったわ。まずは冒険者ランクと依頼について説明するわね。まずランクについてだけど1番下はFランクから始まって、1番上はSランクになるわ。ランクの上げ方は自分のランクと同じ依頼を10回受けてその後一個上のランク依頼を受けて達成すると昇格するわ。ただしCランクに上がる時だけは盗賊の討伐依頼に限定されるわ。Sランク目指して頑張ってね」
「ありがとう。魔物にもランクはあるんだろ?」
「そうね。Fランクはスライムやゴブリンが該当されて、Sランクはドラゴン等ね。これで説明を終わるけど何か分からない事はある?」
「いや、大丈夫だ。ありがとう」
「では、カードを渡すわね。はい、どうぞ」
「ありがとう。えっ!?Dランク?間違えてないか?」
「間違えてないわよ。ローウェン君はDランクスタートにしてくれってマスターがね」
「ヒュースが?」
「ええ。マスターは実力があるやつはちゃんと評価されるべきだって言ってるからね。だから、遠慮せずに受けちゃってよ」
「分かった。ありがとう。ヒュースにもお礼を言っておいてくれ」
「分かったわ。早速依頼を受ける?」
「そうだな。取り敢えず見てくるよ」
「ええ」
俺はそう言うと、依頼ボードに向かった。
(Dランクだとグリーンリザードやオークなどが対象のようだな。ん?これにするか」
俺はグリーンリザードの討伐依頼を受ける為、依頼書を剥がしてエリカの元に戻った。
「ローウェン君、良いのは見つかった?」
「ああ。こいつを受けさせてもらうよ」
「グリーンリザードの討伐依頼ね。はい、受理したわよ。グリーンリザードの証明部位は尻尾だけど全身から取れる鱗も防具に加工出来るから全部持って帰ってくれるなら査定をプラスで見れるわ」
「分かった」
俺はギルドを後にし、グリーンリザードを倒す為王都から馬車で1日くらいの場所にあるルイカスイ湿原に向かった。
業者のおっちゃんにお金を払い場所を降りた俺はグリーンリザードを見つける為歩き回った。
歩き始めて10分後、目的のグリーンリザードを見つけた。
(あれがグリーンリザードか。単体だとDランクだけど、群れでくるとCランクに上がるんだったな。でも、どう見てもあれは5匹以上いるから群れで確定だな。近付かれたら厄介だろうし遠くから魔法で倒すか)
魔法で行くことにした俺は体内で魔力を練り上げた。
「行くぞ!<氷槍雨>」
俺はグリーンリザードからある程度距離を取って中級の氷属性魔法である氷槍雨を放った。
魔法を放つと、グリーンリザード達の頭上にキラキラとした冷気が氷の槍を5本形取り全てがグリーンリザードに直撃した。
グリーンリザードは氷漬けにされて絶命していた。
「ふぅ。何とか討伐完了だな。これ全部持ってかえるか」
俺はアイテムボックスの中に討伐したグリーンリザード5体を収納し、王都に転移で帰った。
「エリカ、今いいか?」
「おかえり、ローウェン君。依頼終わったの?」
「ああ。出したいから奥の解体部屋を借りてもいいか?あと、エリカも付き合ってくれ」
「分かったわ。少し待ってて」
エリカは自分の席に離席中の札を置くと、俺の元にやってきた。
「解体部屋はこっちよ」
俺はエリカに道案内してもらいながら解体部屋に向かった。
解体部屋に着いた俺はアイテムボックス内からグリーンリザード5体分を取り出した。
「ほらよ」
「ちょっと待って!ローウェン君が受けたのってグリーンリザード1体の討伐よね?何で5体もいるの?」
「実は群れに遭遇しちまってな。群れだと依頼ランクが上がるのは知っていたが魔法でちょちょいっとやってしまった」
エリカは全然笑っていなかったが、次第に笑みを溢すと...
「なんてね。ローウェン君のあのステータスならいきなり群れのグリーンリザードを倒してきても不思議じゃないね。じゃあ、戻ろっか。リン!悪いけど査定をしておいてくれる?」
「分かりました!」
俺とエリカは、鑑定士であるリンに査定は任せて元いた所に戻るのだった。
「さて、これで初依頼は終わりだけどこれからどうするの?」
「ん〜。そうだな。追放されるなら国からも出て行った方が良いのかな?って思ってたけど国自体は好きだしここのギルドも気に入ったから王都で暮らすのもありかなって思ってるんだよね。追放されたと言っても喧嘩別れとか一方的に言い渡された訳じゃなくて俺も納得しての事だからな。だから依頼で離れる以外はここに帰ってこようと思ってる」
「そうなんだ!ローウェン君が決めた事なら私もマスターも応援するよ」
「ありがとう。ところでエリカ」
「どうしたの?」
「俺は今はあの家にいるがあと数日で出なければいけない。だから、それまでの間に家を見つけておきたいんだが、良い不動産屋はないかな?」
「そうだね〜。明日まで待ってくれる?それまでには調べておくから」
「分かった。じゃあ、明日また来るよ」
「うん。じゃあ、これ今回の依頼達成の報酬よ」
エリカは報酬の入った袋を渡してくれた。
「ありがとう。じゃあ、また明日な」
「ええ」
エリカと別れた俺はギルドを後にし、人気のない所まで行った後家近くの林に転移した。
「マジで便利だよな。これ」
俺はそう呟きながら、家に入るのだった。
こんにちは!ユウキです。
今回は初登場の魔物がいたのでその個体について解説したいと思います。
グリーンリザード:単体ではDランクの魔物であり、群れに遭遇するとCランクに格上げされてしまう。
全身が鱗で覆われており、討伐証明部位は尻尾だが鱗は防具素材にもなる為全身売れる。