幽霊になって、初めて知りました。
私は、こんな世界が嫌いだった。親にも愛されてないと思っていたし、友達からも嫌われていた。だから、生きようが生きまいがどうでも良かった。
ピッピッピ
病室内に心電図が響く。私は、病気だった。脳腫瘍で、病気が発覚したのは十歳のときだった。二年生存率は、5%にも満たないと主治医から言われた。私は、ふぅ〜んとしか思わなかった。別に、こんな人生早く終わればいいのにと思っていたから嬉しかった。私は、死んだらどこに行くのだろう…?
「おーい!起きてー!」
ふぇ?なんだ?子供の声だよね?なぜ?
むっくり私は、起き上がる。
「あ、起きた。」
と、謎の少女が言い、ドアップの顔が、うった。
「ぎゃああああ!」
私は、思わず絶叫してしまった。
「絶叫はなくない?あ、申し遅れました!わたしの名前は、凛子だよ!よろしくね!凜!」
な、なんでわたしの名前を知ってるだろう?
「凛子、あなたは何者?」
「フッフッ!それは、ひ、み、つ!」
「は?」
思わず言ってしまった。何よ、ひ、み、つ、って!
「あ、そうそう、言わなくちゃいけないことがあるんだ。
ここは、天国で、凜は、死んだんだよ。」
天国あったんだ。それよりも!死んだの?
そんな声が凛子には届いたのか、
そうだよ、と答えた。
ヌッ!
「きゃぁっ!」
思わず、悲鳴を上げる私。
「凜ですね。私は、神様。よろしく。」
か、神様???
いやいや、ナイナイ。だって、神様パジャマ姿だよ?ウッソだー。
そんな神様は、心の声が聞こえるのか
「むっ!失礼だぞ!」
と言った。
「凜〜。私の友達紹介するから、早くきてよ!」
手を振りながら言う凛子。
いってらっしゃい、と神様が言った。
「こちらは、拓馬!」
「拓馬、こちら凜だよ!」
と拓馬を紹介してくれた。
「よ、よろしく。」
おどおどして言う拓馬。
「よろしく。」
「よーっし!自己紹介終わったね!じゃ、拓馬また後で!」
「ん」
この日から私の日常は、どんどん変わっていった。
凛子や拓馬の他愛のない会話。話していると、どんどん日は、過ぎていった。
そして迎えた決断の前日の日。
私は、ある事実を聞くことになる。
「凜、今まで隠してたんだけどね。私、あなたの前世なの。」
凛子が急によくわからないことを言った。
「どういう事?」
「どういうこともないよ。言ったまんま。」
ショックを受けた。はっきりいって。
「お話し中失礼。凜、ちょっとこっちに来て。」
と、急に神様からも呼び出された。
突然の事に私は、頭が混乱してしまった。
そんな中、私が見せられたのはあるビデオだった。
「凜。ごめんね。愛情表現を見せない親で。でもね、これだけは覚えていてほしいの。あなたが、もう生き返らないのはわかってる。でもね、この気持ちは変わらない。凜、愛してる。」
ポロリ、ポロリ
あぁ、涙がとめどなく落ちてくる。
そして、見せられたビデオには、憔悴したお母さんが写っていた。お母さん、もう届かないかもしれないけど、大好き!
「凜、決断は、三つあります。一つは、あなたのお母さんの元にまた、生まれ変わるか。それとも、違う親のところに生き返るか。このまま天国にいるか。明日までに選んでくださいね。」
と、神様はそう言い残して消えた。
ついに、迎えた五十日目。
迷ったけどこれしかない!
「神様、私は、お母さんの元に生まれ変わります。」
そう、これが最後の決断。
「分かった。お別れしておいで。」
「り〜ん。今までほんとにありがとう!」
と凛子が言ってくれた。
「凜。元気でね。」
サクッと、拓馬が言ってくれた。
「じゃあねー」
そう言って、私の天国の生活は終わりを告げた。
十年後
「お母さん!早く、早く!」
とお母さんを攻めたてる子供がいる。
「待ってよ!凜〜」
その子の母親が言う。
この、幸せそうな二人を拓馬と凛子と神様は天国から見守っていたのでした。