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インターン

 一度「ノヴァ・サイキック・アカデミー(Nova Psychic Academy)」に戻った助教授は、翌月にはアカデミーから20名のインターン希望の学生を引き連れて「妖精」にやってきていた。ヴィクトールがアカデミーの学生のインターンを許可したためである。世界に名だたる大企業グループ「エクセルシオン・バイオメディカル」の最先端研究施設での体験入社に、学生たちの希望が殺到した。100人を超える希望者が出たため、アカデミーと助教授が20名までに厳選したのである。

「え~と、こんなに連れてきてもよかったのでしょうか?」

「聞きました。わざわざ厳選なさったとか。『妖精』でのインターンに限らないのであれば、100人でも1000人でも受け入れますよ」

 地球全土に支社や関連企業を持つエクセル・バイオ・グループの従業員数は5000万人を超えている。場所を問わなければ、1000人のインターンも十分に可能であった。

「今後、私たちの事業は拡大していくでしょう。優秀な人材は多すぎて困ることはありませんから」

「ありがとうございます」

 インターンの学生は大きく2種類に分かれていて、超心理学(Parapsychology)の研究を専門的に学んでいる学生が15名。透視やテレパシーなどのESP能力を発現させた「超能力者 (psychic)」の学生が5名である。

 インターンの学生たちの中で、ヴィクトールは二人の少女に目が留まった。同じ容姿をした黒髪ストレートロングの、双子と思われる細身の少女である。総帥の目線に気が付いた助教授が、彼女たちの能力を説明する。

「彼女たちはアカデミーで最も優れたテレパシスト(telepathist)で、『ユリ (Yuri)』と『リリー (Lily)』という名の双子です。アカデミーの最上級生で今年は卒業なのですが、彼女たちは飛び級ですので、まだ17歳なんですよ」

「どうりで若いと思いました」

「アカデミーで行った実験では、地球の裏側にいてもお互いがテレパシーで会話できることが証明されました。彼女たちに真っ先に目が行くとは、総帥様もお目が高いですね」

「もっと詳しく教えてもらえませんか?」

「はい。テレパシーとは霊子による通信です。実験によるとお互いの霊子を交換することにより、情報を得て会話していると報告されています。しかもテレパシーによる霊子通信は光の速さである重力波通信より速いのではないか、とさえされています」

「本当ですか?」

「残念ながら地球上ではどんなに離れていても、光ならばコンマ2秒足らずで届いてしまいます。誤差の範囲とは言いませんが、アカデミーではなかなか検証しにくいのです」

「それは興味深い。通信に革命が起きるかもしれません。テレパシーの実験をエクセル・バイオで行ってもよろしいですか?広大な宇宙であれば、検証も容易いでしょう」

「アカデミーから、インターンの学生の能力を利用した実験の許可は得ています。可能であれば、こちらからもお願いします・・・あ」

「どうかしましたか?」

「いえ、彼女たちが『良ければ』ですね」

「そうでしたね。彼女たちの同意が必要ですね」





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