表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/404

降霊術解析(1)

 「総帥、今回の解析ではかなりの新発見がありました。何から報告すればよいのかわからないほどです」

 OSRC(オカルトサイエンスリサーチセンター:Occult Science Research Center)の科学主任が声を弾ませた。彼はここ数か月の間ずっとエクセル・バイオ出向中で、ヴィクトール・クローネル総帥の実験や研究解析の中心人物でもある。エクセル・バイオの社員と間違われても、異論が出ないほどだ。OSRCはISCO加盟研究団体であり、若手の実力者数名をTPRFの構成員として出向させていた。今回の降霊術の解析にも3名ほど参加している。OSRCの科学主任は図らずも今回の降霊術の解析プロジェクトのリーダーとなっていた。

 「時系列に従って報告してください」

 冷ややかな声で総帥が言う。

 「しょ、承知いたしました。・・・ではまず霊媒師の解析結果から報告しましょう」

 「妖精」の地階、50人ほどが着席できる会議室の大きなモニターに解析グラフが表示された。

 「至って普通の人間です。脈拍、心電図、脳波とも特筆すべきことはありませんでした。一方の魂糸符・・・失礼。『PSC』の配列に特記することはありません。強いて言えば『PN-D型』が多くみられたことぐらいでしょうか。霊媒師の『PN-D型』は128個のうち81個にも及びます。ちなみに『反霊子(Anti-Spiritron)』は検出されていません」

 PN-D型は幽子が4つある『魂核子』である。A型は1つ、B型は2つ、C型は3つの幽子を持っている。現状、それ以外のPNは発見されていなかった。


 「時系列順で進めますと、総帥の解析結果となります。PSCは『1個人に対し1種類のPSCしか検出されない』ということが定説となっていましたが、覆すことになりそうです」

 会議室内がわずかにどよめく。ヴィクトールの片眉がピクリと上がり、科学主任に続きを促した。

 「・・・はい、続けます。総帥の首筋から肩にかけたラインを計測したGMCデバイスの解析結果によると、総帥のPSCとは全く別の配列を持つPSCが検出されました。スピリチュアル学からの見解を申しますと、恐らくこのPSCは総帥の守護霊のものと推測します」

 「私の守護霊が『リオネル初代様』ということですか」

 「はい。守護霊は祖先とか血縁者が多いですから、可能性はかなり高いですね。必要であれば、霊子鑑定を持つ霊能者を紹介いたしますが?」

 「・・・その話は後ほど検討しましょう。まずは報告を続けてください」

 「承知いたしました。こちらの、一応『初代様の』と申しておきます。初代様のPSCの特徴ですが、霊子の働きが活発ではありません。総帥との霊子交換も為されていないようなので、総帥への影響は無いとは申しませんが、軽微であると推測します」

 「ふむ・・・」

 ヴィクトールは自身の右肩をちらりと見やる。霊視鑑定を持っていたら、リオネルの霊が視えるのだろうか。すぐにヴィクトールはOSRCの科学主任の方を向く。

 「続けてください」

 「承知いたしました」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ