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Fox-Veil(7)

 オープンテラスの端っこの席で、一人もくもくとスィーツを頬張るレイラ。甘さ控えめかと思いきや、激甘高カロリーのスィーツも混じっていた。見た目は全て可愛らしく、どれが激甘なのかレイラにはさっぱりわからない。超能力である透視をしたところで糖度などわかるはずもなく、ゼーに聞かされたファンタジー小説の「鑑定」の魔法が欲しいとさえ思う。レイラはまるでロシアンルーレットに挑むが如く、緊張感たっぷりに数多くのスィーツと向き合っていた。

「意外と好評なんだけどな、激甘スィーツ」

「あ、洋子さん」

 気づけば佐藤洋子がすぐ傍まで来ていた。気を抜いていたわけではないが、佐藤洋子の霊能力は高いと聞く。

「アハハ、ゼーに良く言われてるんだよ。『洋子は浮遊霊とかが憑きやすいから、日頃から気配を消す訓練をしておけ』って。宇宙に浮遊霊なんていないと思うんだけどね」

 事も無げにレイラの思考を読まれた。佐藤洋子は二重人格であり、ゼーの本体で主人格だ。ゼーが高度な超能力者と言うことは、同一人物の佐藤洋子もまた高度な超能力の素質を持っているということでもある。ぽやっとした天真爛漫な性格から攻撃的な超能力は有していないものの、瞬間移動はできるらしい。

「アハハ、ゼーのおかげだよ。ゼーがヘイゼルさんに弟子入りして特訓までして、次々と超能力を覚えてくるからね。私は普通のオバちゃんだよ」

「あ、その・・・」

「あぁ、ごめんごめん。私ばっかり話しちゃって。ゼーに会いに来たんでしょ?」

「あ・・・はい」

 素のレイラは人見知りなので可愛い娘だと洋子はゼーから聞いている。それでいて永遠の輝き団の「HINA」として、敵からは「モンストリーナ(Monstrina=小さな怪物)」と呼ばれて恐れられているのだ。洋子としてはレイラも二重人格みたいで親近感が沸く。

「ごめんね~、今はゼーが留守なんだ」

「る・・・留守?」

 二重人格の片方が留守って、どういうこと?

「アハハ、ゼーはね。元々、ヘイゼルさんの『分体』を教えてもらうために弟子入りしたんだよ」

 ヘイゼル・ブランカは21人の魂の集積体である。有り余る霊力により、自らの魂を分身させることができるのだ。

「ゼーは短時間なら分体ができるようになったんだ。この前、レイラさんに会いに行った時も、分体して行ったんだよ」

 分体はレイラにも出来はしない。そもそも一つの魂を二つに分けることなど不可能なのだから。

「え~、ゼーは生き霊みたいなものだって、言ってたよ」

 いやいや、意識して生き霊飛ばせる人間なんて、いないと思うけど。

「そんなわけで、ゼーは今、お出かけ中だから、ちょっと待っててね」

「・・・はい」

 ゼーが極めて非常識な存在なのだと、改めて思い直したレイラであった。



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