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3S(7)

「ブラキオ・・・ブラキオ!!」

 ベシッ!!

 リリーが呆けているブラキオの頭を思いっきり引っ叩いた。

「いでっ!!な、何すんだっ!?」

「何すんだ、じゃないでしょ!!アンタがボケボケしてるから、目を覚ましてやったのよ!!」

「あ・・・はっ!!」

 呆けていたブラキオの顔が、急に真面目になる。

「お嬢!!教えてくれ!!男が確実にクローン転生できるようになるには、どうしたらいい!?」

「は?今はそんな話してる場合じゃないでしょ?」

「そう言わずに、頼む!!オレは美女に囲まれた世界になるまで生きていなきゃいけねえんだ!!このままじゃあ、夜も眠れやしねえ!!」

「アンタねえ・・・ちょっとカイン先生からも言ってやってくださいよ。今は3Sの解析中なんだから・・・」

「まあまあ、ボクも男だからねえ。男性のクローン転生の問題点は教えてほしいところかな」

「はぁ・・・カイン先生まで・・・しょうがないですね。確かに私が言いだしたことが切っ掛けなんだし」

「そうしてくれると助かるよ。ボクにとっても他人事じゃないからね」

「ブラキオ、アンタもちゃんと聞くのよ!!」

 コクコクコク・・・。ブラキオは首を激しく縦に振った。

「クローンは卵子から核を取り出した『除核卵』に体細胞核移植することによって作られることはわかってるわよね?女性なら自分の卵子で作れるけど、男性は他人の卵子を使うしかない。ここまではOK?」

「ちょっと待ってくれ。クローン技術は男でもすでにほぼ100%に近いクローンが作れるはずだぜ」

「それは遺伝子レベルの話でしょ?遺伝子はわかりやすく言えば、肉体の設計図。魂情報はまた別の話だと思って」

「魂情報って何だ?」

「ちょっと難しい話をするわよ。魂は『幽子(Spectron)』と『霊子(Spiritron)』で出来ているの。魂は単純に言うと128個の玉が繋がった糸のようなものね。玉は『PN(Psycho Nucleus=魂核子)』って言うんだけど、幽子を霊子が取り囲んで出来ているわ。ちょうど原子が、陽子と中性子からなる原子核と、それを取り囲む電子で構成されているようにね。PNという玉は幽子の数によって4種類あるの。PNが128個繋がった糸を『PSC(Psycho Strands Code=魂糸符)』って言うんだけど、これが遺伝子のような魂の情報の設計図ってところね。ここまで、OK?」

「え~と、魂にも遺伝子みたいな情報があるってことでいいか?」

「思ったよりブラキオが理解してくれていて、嬉しいわ。それでPSCという魂情報は、何種類あるかわかる?」

「4種類が128個だろ?500ぐらいか?」

「バカ。アンタ、4×128で計算したでしょ。4の128乗よ。計算できる?」

「ブラキオ君、2の256乗に置き換えた方が計算しやすいね。・・・いや、凄い数字が出てきた。ハハハ・・・とんでもない数だ」

「4の128乗は、115,792,089,237,316,195,423,570,985,008,687,907,853,269,984,665,640,564,039,457,584,007,913,129,639,936 よ。78桁になるわね。数字以外で表す言葉は存在しないわ」

「・・・・・・」

 ブラキオは言葉が出ない。

「PSCの魂情報を個性というなら、人間の魂は78桁の種類があるってこと。過去も含めて同じ人間が存在しないのも理解できるわね」




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