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男装の秘密

「リオネル・クローネル殿の話は理解した。総帥殿の出自のこともな。でも何故、総帥殿は『ヴィクトール』という男性の名を付けられたのだ?女性ならば『ヴィクトリア』になるのではないのかな?」

「・・・あなたのせいでもあるのですよ、ヘイゼル」

「私が関与するのか?」

「ええ。直接ではありませんが」

「・・・足枷がなくなったということか」

 リオネルの第二世代クローンが一時期裏社会を牛耳ったこともあり『リオネル・クローネルの目の黒いうちは、エクセル・バイオには手を出さない』という暗黙の了解が裏社会には存在していたのである。当然リオネルが亡くなればエクセル・バイオを蹴落としたいという敵対組織は国家も含めて少なくない。

「リオネルが亡くなった直後から、敵対組織が裏社会を通じて攻撃してくるようになりました。島国を鎖国化したとはいえ、エクセル・バイオは裏社会を阻止できるほど堅牢ではありません。そこでユルティムは策を講じたのです」

 ユルティムは「エクセル・バイオがリオネル・クローネルを越える人材を作り上げた。今回は女性であり、生殖能力を有する」という本当の情報を裏社会にリークしたのである。情報を裏社会から仕入れた敵対組織は、エクセル・バイオの新技術を擁した赤子の誘拐を指示するようになる。どの組織も有能な人材は手に入れたい。赤子であれば教育次第で自分たちの強力な駒になるのだから。殺害よりもリターンが大きいと判断したのである。

「ユルティムはダミーとして体外育成カプセルで育てた赤子を、第七世代クローンの医師たちが勤務する病院へ入院させます。そしてエクセル・バイオ本社では私を男性として育て、いっしょに普通の女性も育てていたのです」

「確かに我が『永遠の輝き団』でも病院から女性の赤子を誘拐するという仕事を依頼されたことがあったな・・・そんな裏があったとは」

「ユルティムの作戦勝ちと言ったところでしょうか」

「・・・なるほどな。総帥殿が日頃男装していたのも納得した。ちなみにいっしょに育てられたという女性は、どうしている?」

「エクセル・バイオにいました。『極東高度研究所(Far East Advanced Research Institute)』の所長だった『ケイト・イーストウッド(Kate Eastwood)』がそうです。彼女に霊能力はなく、幽体離脱が出来ないので、まだクローン転生していませんが」

「オリジナルの総帥殿と同じ年齢ならば、もういい年ではないかな?」

「もうすぐ90歳ですね。本人が老後生活を満喫しているようなので、転生を強制はしていませんが、さすがにそろそろ転生させましょうか」

「どうせ本人の意思は無視するのであろう?」

「どうもヘイゼルは私に対して不当なイメージを持っているようですね。有能な人材を失いたくないだけです」



ケイトは「妖精(2)」から出てきた所長のことです。名前を付けるつもりはなかったのに、付ける流れになってしまいました。

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